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708話 ドラゴンの温泉

盆地の村、そこはドラゴンたちの憩いの場となっていた。


ドラゴンルールによってこの盆地の村は守られていた。


盆地の村を中心とした、3つのトンネルは交通の要となっていた。

その為この村はトンネル付近に商業用施設を作り、村はそのままという少し変わった様相となっていた。

ドラゴンたちが村はこのままと言い張って譲らなかったのである。

何故かドラゴンたちはこの村を気に入り順番で居座るようになっていた。


「ハァー、この村いいね。」

「でしょう、体に安らぎを与えてくれるのよね。」

「そーそー、なんだかポカポカしていい気分になるね。」


「オギン、仕事だ。」

「げっアレクいたの。」

「いるに決まっているだろう。カイン兄とオギンを監視できるのは自慢だが俺しかいないからな。」

「し仕事って何よ。」

「オギンの定めたドラゴンルールの事だ。先ずは悪者は処刑、村人は税を納める。それと牧場建設。牧場なんて作るスペースないだろう。」

「うっ、だってお肉食べたいでしょう。」

「いいかオギン、ルールは出来る事を決める事だ。この盆地には牧場を作るスペースはない。それに悪人は処刑これもだめだ。悪人の定義が分からん。」

「じゃぁオリオン王国の法をそのまま使うわ。」

「ハァー、まぁいいか。俺が簡単な原案を作るからそれに肉付けしろ。」

「ありがとう。アレクぅ。」


そして決まったドラゴンルールは、泥棒は1回目は三日の労働、2回目以降は1年から3年の労働。他の犯罪も同じである。だが殺人は10年の重労働又は処刑。

税は3割とする。税は保護地区の治安維持費と開発費用である。

種族の平等であった。

この種族の平等が少し問題となってしまった。

人とは人間、獣人、エルフ、ドワーフ、魔人を指すものであった。ドラゴンはまだいい、人化のスキルもある為に人としての枠に納める事が出来た。だが魔物、魔物人、邪気、戯れも含めるのかが問題となっていた。

ドラゴンにしてみれば皆同じであった。

邪気も戯れも人とただ争っているだけであり、争いが終われば仲良くご飯を一緒に食べるだろうと言う考えであったのだ。


「えーーー、邪気と戯れって駄目なの。」

「駄目だな、人の敵だからな。」

「でも、臭いけどあれ人だよ。」

「んーー、そうなんだろうな。だけど人を奴隷とするものを仲間には出来ない。いつ裏切るか分からないからな。」

「それならこのオギン様が認めた者はいいでしょう。」

「まぁオギンが面倒見るならな。だが犯罪を犯せば処分しろよ。」

「分かっているわ。アレク。」


こうしてすべての種族は平等であるとドラゴン保護地区で決まったのだ。

この保護地区は大小の町や村が10ほどであり、広さ的には縦横100キロほどの広さであった。

殆んどが山であり。平地(農地)は2割ほどである。平地部分に村や町がありトンネルや街道で繋がっている状態である。



「オギンちゃーん。大変よ。大変。」

「ヒカリンどうしたの。」

「温泉が出たわ。」

「えっ、温泉。」


もうそれからは大騒ぎであった。盆地の村のすぐ近く(2時間ほどの距離)で山間から温泉が出たのだ。ヒカリンは村の行き来の為にトンネルを掘っていた。すると温かいお湯が出てきたのだ。

ヒカリンは狂喜乱舞した。温泉大好きだったのだ。

浮遊島にもドラゴンの湯という銭湯がある。温泉の元を入れただけの銭湯である。


「温泉作るよ。大きな温泉よ。ドラゴンがゆったり入れる温泉よ。温泉、温泉よーーー。」


だがヒカリン達ドラゴンはお金を持っていなかった。

温泉を掘り、ドラゴン用の湯舟は作れた。だがそれだけだった。

温泉と言えば宿、美味しい食事とお酒である。

料理は人が作らないと美味しくつくれない。大雑把なドラゴンたちは大味になってしまうのだ。人化によって人型になっても料理は駄目であった。

それと大工仕事も無理だった。力が強すぎて壊してしまうのだ。


「アレクぅ、お金貸して。」

「オギンお前なぁ。まぁいいか温泉だもんな。」


アレクの手配によって温泉街の建設が決まった。

この温泉街は盆地村の裏山の一つを使い大開発となってしまった。

ドラゴンたちの要望がものすごかったのだ。

まず大きな湯舟を3つ(ドラゴン作成)とドラゴン専用の宿(人化用)そして温泉街にお土産屋と酒場の建設であった。酒場は最低5つである。


アレクとドラゴンは喧嘩をした、どこにそんな金があるんだとアレクは怒り抵抗した。だが多勢に無勢であった。カインもドラゴン側に加わり、イリア、マリア迄ドラゴン側となってしまった。アレクに抵抗の手段は何もなかった。

逆らったバツとしてアレク個人の資産から温泉街の建設が決定したのだ。要望もエスカレートしていった。人の金で作るのである。皆が言いたいことを言い始めたのである。




「へへ、見てろよ俺専用の区画を作ってやる。絶対に誰も入れてやらない。」


アレクは大金を投入して温泉商店街と宿の町を造ったのだ。各宿にも専用の温泉、町としても一の湯、二の湯、三の湯と色々な思考を凝らした温泉施設を作っていった。

中でもバラの湯と、酒の湯は大人気となっていた。お肌すべすべになると評判になっていったのだ。


「どうだ見てみろこの洞窟風呂、ドワーフの好みに合った風呂だ。中で酒のサービスもあり、洞窟宿まであるぞ。それに森林の中の露天風呂だ、これはエルフようだな。そして極めつけはこの獣人用の風呂だ。風呂から出たらドライヤーでフワフワになるんだ。まぁドライヤーが顔に当たると面白顔になるのが難点だけどな。」


アレクに説明に不満の声を上げた者がいる。そうオギンである。


「アレク、ドラゴンの湯舟は普通ね。」

「お前たちは自分たちで作っていただろう。」

「うっ、そうだけど。」

「心配するな、人化した者ならばみんな使える。さすがにドラゴンの姿じゃ無理だからな。」


アレクはドラゴン専用の頑丈に造られた宿と酒場と食堂などドラゴンが殴っても崩れない頑丈な建物を作っていたのである。


ボコッ。

ボコッボコッ。


「こらー殴るな。壊れるだろ。」


「いやー、ほら本当に壊れないのかなーーっと思って。」

「いいか、いくら頑丈に造っても壊れるときは壊れる、大事に使え。万一建物を壊したドラゴンは一年間の入浴禁止とする。」


「「「「「ヒエーーーーーー」」」」」


ドラゴンたちはムンクの叫びのような顔をしていた。


「いいかこの温泉に入るには入場料が掛かるぞ。金の無い者は入れない。入りたければ働け。」


ちなみに温泉街の入場料は1000Gとなっていた。ドラゴンたちは一日働けば2万G(2食付き)貰えるのであった。飲んで食べてを好きなだけ出来るようにしていたのである。


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