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704話 ドラゴンたち(ブルー)

アレクは新しい都市の輸送計画や行政の仕組みなど忙しく働いていた。


「アレク、早く戦に行こうぜー。」

「カイン兄、何言っているんです。仕事してください。」

「えーーっ、アレクがやれよ。俺は鍛えるのに忙しいから。」

「カイン兄の国でしょう。どこに他の国の内政をする王がいるんです。」

「其処に居るだろう。」


カインはアレクを指さしていた。


そうアレクはオリオン王国の王である。今いるのはカイン王国の都市である。その都市で必死に内政の指示を出しているのであった。


近隣の村長や他の支配地域の役人迄アレクの指示を待っている状態になっていた。

これも全てカインのせいであった。


カインはアレクに相談しろと指示を出していたのだ。

それに乗っかってしまったのが、イリアである。カインが仕事をしない為に全てイリアに来ていた仕事をアレクに振り分けていたのだ。


戦争の為に来たアレクであったが、やっている事は内政の仕事であった。


ブツブツ


何でオレがカイン兄の内政の指示迄出しているんだ。おかしいだろう。

それに何だこの報告書、書式がバラバラだ。統一しないとあとで困るぞ。



アレクはカイン王国の人口と農地の状況を把握するための指示を出し、商会の招致、職人の招致を促進計画を指示していた。



ブツブツ


やっぱり人口が少ないな。国の広さに比べて人口が少ないな。オリオン王国も一緒だけど、何とか人口増やさないとな。あっ人口増やすと作物が足りなくなるか。先に農作地を増やさないとな。農作地を増やすにも人がいるな。んーー。結局人だな。



「アレク様。」

「おっブルーどうした。そんな小さな窓から。」


ブルーは普通の大きさの窓からアレクの部屋を覗いていた。体の大きなドラゴンは建物の中には入れないのである。例外はレッドだけである。


「アレク様、浮遊島から連絡がありました。アレク様のご指示の新しい機人と木人の目処がたちました。」

「おおおお、やっとか。これで人の問題が解決するな。」


その報告は、アレクにとって待ち望んでいたものであった。


迷宮の殆んどが崩壊して機能不全となっていた事で、機人や木人の生産が出来なかったのだ。


「試作型が明日にでも届く事になっています。量産型は日に10体生産可能との事です。」

「機人もいいが木人は大量に生産できるのか。」

「はい、出来るようです。大昔の法を改正しましたので問題ないと言う事です。」

「あの法律か、浮遊島や国家の力を削ぐための法律だったな。あいつらも頭が固いんだよな。そんな法律無視すればいいのにな。」

「駄目ですよ、アレク王が法を犯したら王ではなくなります。きちんと法に則って法を作り直さなければいけないんです。」

「ハーー、めんどくさいがやっと機人と木人の生産が出来るな。浮遊島。オリオンの遺跡と山の迷宮だけだからな。機人をつくれるのは。」

「そうなんですよね。他の迷宮は何故作れないんでしょうか。」

「多分だけど、オリオンが制限をかけていたんだろうな。大昔は今より文明が進んでいた。強い者も多かったんだろう。迷宮主になれる者もいたのかもしれない。そこで迷宮に制限を掛けたんだろうな。」

「当時の事は覚えていますが、意味が分からなかったですね。」

「あっそうかブルーは当時はオリオン王国の王のもとに居たんだったな。」

「はいそうですが、ほとんど他のドラゴンと遊んでいましたからね。国の政策の場所になんか行けませんよ。それにこの大きさですからね。」

「ブルーもレッドの様に小さくなれるんじゃないか。」

「スキル玉があれば出来るようになります。レッドのは才能ですからね。」

「なら今度スキル玉を作るように指示出しとくぞ。大小のスキルだよな。」

「そうです。大小のスキルより人化のスキル玉の方がいいです。美味しいステーキと煮込み料理が食べたい。」


「あーー、そうだな。」


アレクはドラゴンたちにもなるべく美味い食事を出せるようにしていたが、何しろ体が大きい事で人の食べる料理を出すことは出来なかった。レッドはその事を他のドラゴンたちに自慢していたのであった。

涎を垂らしながら、レッドの話を聞くブルーやイエローは気が狂いそうになるほどであった。


レッドの話が又うまかった事も影響している。そこに食べ物があるかのように話すレッドは食欲をそそるのであった。その後に食べる生肉の何と不味い事か、想像でしか食べた事の無い食べ物であるが、レッドの説明が上手い為に想像できてしまったのだ。


アレクと再会してからは、多少の味付きの肉を食べる事が出来るようになった。その時の感動がまだ忘れられないのだ。この味よりももっと美味い物があるのだと分かっている為にブルーの欲望がメラメラと燃えてしまっていた。


「ブルー、他のドラゴンも人化のスキル玉を欲しがるか。」

「みんな欲しがると思うよ。だって美味しいもの食べたいもん。」

「だよなー。ドラゴン全員に人化のスキル玉を創るもは結構時間かかるぞ。とりあえずはブルーたちだけだぞ。」

「大丈夫だよ。上手く説明するから。」


宣言していたブルーであったが、翌日アレクに撤回していた。

それはブルーの説明が悪かったわけではない。ブルーはよくやった。必死にみんな説明して説得しようとしていた。だが食欲に勝つことができなかっただけである。

ブルーたちが人化のスキル玉を貰う事を伝えると、浮遊島にいる他のドラゴンたちも知ってしまったのだ。

他のドラゴンたちも俺も俺もと騒ぎ出したのだ。

ドラゴンの住む浮遊島で、その日は大きな地震が何度も起きていたという。空に浮かぶ島で地震が起きる怪現象が日に何度も起きてしまっていたのである。


アレクは隣の浮遊島からの報告とブルーからの説明を受けてため息しか出なかった。


「まぁ仕方ないよな、ブルー。美味しいは正義だからな。」

「そそうだよアレク。ドラゴンだって美味い物は食べたいんだ。」

「あっドラゴンって魔力で生きていいけるんじゃなかったか。食べなくともいいんじゃなかったか。」


アレクは気づいてしまった。ドラゴンは食べなくとも生きていけるのだ。


その時ブルーの姿は無くなっていた。



「まぁ仕方ないよな。美味しいものは食べたいしな。」



ブルーは急いでドラゴンたちを集めていた。作戦会議を開いたのだ。アレクが気づいてしまった事で人化スキルを貰えないかもしれないと思ってみんなを集めたのだ。


「プラカードもって抗議しよう。」


なぜかドラゴンたちはアレクに抗議の意味で大きなプラカードを持って抗議する事になった。



プラカードに書かれている言葉は、美味いご飯が食べたいと書かれていた。



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