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69話

ルドルフは、朝から、来客の相手をしている。


毎日が分刻みのスケジュールだ。かなり忙しい。


家臣


私もルドルフ様付きの、接客担当になった。大変だ。違う部署に移りたい。行政と財務以外がいい。あそこはダメだ。生きていけない。

同僚もみんな言っている、あそこには近づくなと。私は、興味本位で一度近くまで行ったことがある。

とんでもない所だ、書類を見るスピードが違う、私が1枚読む間に、5枚も読んでいる。考えられない。みんなの眼が怖かった。普通の白目部分が真っ赤だった。充血して戻らないようだと同僚が言っていた。

私は、立っているだけのしごとだ。朝から立ちっぱなしになる。辛い、でも給料が高い。やめられない。


「それでは、伯爵閣下どうぞよしなに。」

「関係改善はこちらも望むところです。善処します。」


おっと、仕事だ。ドアを開けなくては。


「伯爵閣下ではまたお会いしましょう。」


ルドルフ


「やっと帰ってくれた。」 「 君、お茶を頼む。」

「はい、ただいまお持ちいたします。」    今日初めて喋れた。嬉しい。おっと仕事だ。


「お茶を、お持ちしました。」      


「ルドルフ様、次の面会のお時間です。隣の部屋に移動をお願いいたします。」

「相手は、来ているのか。」

「はい、10分前には来ています。合図が来ておりました。」

「そうか。」


ルドルフは隣の部屋に出ていった。


家臣


やっと、誰もいなくなった。安らぎの時間だ。

早く、お茶を片付けないと、又、次が来るから。「カチャカチャ。」「パタン。」


部屋のチェックをしないと、よし、よし、よし、大丈夫だな。

あとどのくらい一人でいられるかな。もう今日は誰も来なければいいのになぁ。


耳から、同僚の合図が入る。


また来客か。


そしてまた、同じことの繰り返しをしている。      他より、楽だぞ。



ルドルフ


「今日は、あと何件だ。」

「あと4件です」

「もう少しだな。」

「はい、ただ面会後に会食がございます。奥様とご同伴です。」

「おぉ、クリスも一緒にか、楽しみだ、クリスに会うのも久しぶりだよ。」

「そうです、3日は会われていないかと。」


ルドルフは、4件の面会を終わらせ、会食に向かった。


「クリス、久しぶりに会えたね。」

「そうですわよ、ルドルフ。さみしかったです。」


今夜はミルトン王国の会食だ。ルドルフとクリスは、オリオン公国の外務大臣夫妻として出席をしている。外務大臣より、次期公王として注目されている。ルドルフは次期公王、クリスは次期公王妃だからだ。


オリオン公国は、魔道具販売、銀行、商会、魔法の開発と販売等、お金を稼いでいる。世界の富がオリオン公国に集まってきているのだ。

各国は、どうしても援助を引き出したい、貸してほしいのである。


ルドルフとクリスは、相手の話を華麗にかわし、相手の弱い所をチクリと刺す。


蝶のように舞い、蜂のように刺す。     アリだな。懐かしい。



レオン


「第7騎士団長、レオン団長に報告にまいりました。」「現在、我が団員の魔法取得が中級を完了しました。」

「そうか、やっとだな。」

「はい。これで一安心です。」


レオンの騎士団は、魔法部隊だ。

他の騎士団と内容が違う。魔法使いしかいないからだ。


「各、団員に第一から第六までの騎士団員の講師をさせろ。各騎士団長から講師の依頼が来ている。」

「又ですか、あいつら覚えが悪すぎですよ。」

「まぁ、そういうなブルー。同じ騎士団だからな。」

「同じローエム王国ですからでしょう。はーーーっ。」


このブルー、オリオン公国で、騎士爵を貰い。貴族になっていたが、レオンの直臣の為、ローエム王国で騎士団で騎士をしているのだ。ローエム王国とオリオン家の家臣は、歪な仕事関係になっている。

本人たちも歪と判っているが、二つの国に所属している以上どうにもならない。


ローエム王国もオリオン公国も触れてはいけない話題なのだ。


「団長は、ローエム王国騎士団長ではなく。これからは、オリオン大使として、パーティーに出席です。」

「俺も、自分でいいたくないが、大変だよな。」

二人で「「はーーーーーっ」」


ローエム王国迎賓館


「レオン殿、お久しぶりです。今日は騎士服ではないのですか。」

「ええ、今日はオリオン公国の大使で来ていますよ。」

「レオン殿も色々と役職が多いですからな。大変でしょうな。」

「出来たら、一つにしたいのですが、中々できません。」

「一つとは、興味深いですが聞かない事にしましょう。ではまたお会いしましょう。」


レオンは次々とあいさつを交わしていく。


オリオン家の人たちは大変だ、ローエム王国の貴族であるが、オリオン公国の貴族でもある。オリオン公国の爵位はローエム王国の爵位の一段下とみなす協定がある。だがオリオン家はローエム王家の親戚でもあるので、ローエム王国の貴族たちも、オリオン家への対応が複雑になっている。


獣人王国、国王バッハが、レオンに声を掛けてくる。

「レオン伯爵、お久しぶりです。」

「お久しぶりです。バッハ陛下。」

「陛下はやめてくれ、そんな柄ではない、バッハで頼む。」

「分かりました、バッハ殿。」

「少し、話がしたい。」

「場所を移しましょう。」


レオンとバッハは、応接室に移った。


「お話とはどのような事でしょう。」

「それなんだが・・・」


ローエム王国、いや山脈より北部では、今まで人間しかいなかった。だが今は、山脈がつながり行き来が出来るようになり、交流が出来た。

人間と獣人との差別はされない、されては居ないが区別をされている。これを改善したい。

オリオン公国では、差別も区別も無い。同じ人として接してくれている。他の2つの新国家も差別はないが区別をされる傾向がある。


「難しい問題ですね。」

「すぐには解決しないと分かっている、だが、今から何かをやっとかんと、いかんと思ってな。」


二人は色々と話をしていた。


「・・カインのところは、皆仲がいいですね。そうだ、迷宮都市はローエム王国内です。迷宮都市と家のオリオン北部に移住者を出してはどうでしょう。」

「そうだな、迷宮都市は、獣人が冒険者をしているな。」

「獣人を活躍させて、有名になれば、変わってきますよ。」「カインの所がいい例ですよ。獣人隊は英雄ですよ」

「カイン隊は獣人隊でもあるしな。」


カイン領は、獣人の方が人口は多い。元からの避難民が居るせいもあるが、人間の移住者も獣人が住んでいるのを知っていて移住をしてきた者なのだ。それにカインの軍隊は能力主義で雇ったため、獣人がほとんどを占めている。


カインは人間も獣人もエルフもドワーフも、何も気にしていない。いや違いを気づいていない。のかも。


「貴重な意見を聴けて、参考になります。」

「お近くですから、協力をしないといけないですから。それに新4か国の内、信用に値するのは、獣人王国ですから。」



政治は、本音と建前がありますな。


こうして夜も更けていった。


レオンは、新妻の待つ屋敷に足早に帰って行った。



その頃、アレクはオリオン領北部、領都の領主館の地下実験室で何かを作成していた。






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