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684話 元領主たち

反オリオン同盟から逃げ込んできた者達は酷かった。

民の事等全く考えていなかった。自分が助かる為に、そして今の生活を守るためだけにオリオン王国に逃げ込んできたのだ。

自分の領地を捨て、民を置き去りにしてきたのである。



「マリア姉、あいつらダメですね。いずれ処分しましょう。」

「アレクいずれよ。今は駄目よ。」

「分かっていますよ。少しは苦労すれば変わる者も出てくるでしょう。」

「出ないわね。」

「言い切りますね。」

「そうよ。これ見なさい。」


マリアが見せた者は要望書であった。逃げ込んできた者達は一応貴族でありそこそこの屋敷を用意したのだが、それでも不満があるようで、家具が貧乏くさいだの、建物が安普請だのと言いたい放題であった。

その苦情はマリアとイリア迄陳情されていた。


「あいつら馬鹿なんでしょうね。自分たちが保護されている事をもう忘れているんでしょう。」

「完全に忘れているわね。町に出て魔道具を爆買いしている者もいるわ。」

「すぐに金なんてなくなるでしょう。これからの生活どう考えているんでしょうね。」

「オリオンにたかる気でしょうね。」

「出しませんよ。」




逃げて来た元領主一家



「お父様、私この町気に入ったわ。この町はあたしに合っているわ。町はきれいだし、物は豊富にあるわ。それに何といってもこの洋服よ。このデザインが素敵だわ。」

「・・・・・・今日いくら使ったのだ。」

「金貨40枚ぐらいよ。」

「デリカ、いいか金を使うな。収入が無いのだぞ。」

「えっ、お母様も使っていたわ。」

「お前、金を使ったのか。」

「ええ、お隣のご婦人たちにごちそうしたわ。いい気味だったわ。みんな私にひれ伏していたわ。オホホホホ。」


この一家の元の所持金は金貨2000枚と宝石を持って逃げて来た。金貨2000枚あれば一生食べるには困らない程の金額である。だが領主という生き物は見栄の塊のようなもの達が多いのである。

この一家はその代表のような者であった。

2000枚あった金貨はもう500枚を切っていた。



「収入が無いのだぞ。税も入らない。金が無いのだ。」

「大丈夫よあなた。オリオン王に借りればいいのよ。」

「そうよお父様。」

「・・・・」



一度贅沢した者達はその生活を落とすことが中々出来ない。それも田舎から金を持って都会に出てきたのだ。欲しい物が目の前にわんさかあるのだ。欲望を抑える事等出来るはずもないのだ。



この家族の転落は早かった。


このオリオンに逃げて1年も経つことなく破産状態に追い込まれていた。



「ワリ商会。金を貸してくれ。」

「無理ですな。担保がありません。」

「この屋敷を担保に入れる。」

「はぁー、この屋敷はオリオン王国の物ですよ。あなた様の者では無いでしょう。」

「・・・・・・」

「まぁ私も鬼ではありません。領主様の土地(村)を担保にして金貨100枚お貸ししましょう。」

「本当か、た助かる。」


領主は商会に対して領地を担保に金を借りた。書類も完ぺきである。


「領主様、この金を投資しませんか。今の領主様には収入がありません。ここで一儲けしなければ領地が無くなりますよ。」

「うっ、そうだな。投資というのはどのような者なのだ。」

「それはですね。このオリオン王国はこれから開発を進めていくます。木材や人はいくらあっても足りていないのです。」


領主はオリオンの発展を目のあたりにしている。これほど短期間で発展をした国を今迄見た事も来たこともなかったのだ。


「そうだな、人はいくらいても働く場所には困るまいな。」

「さようでございます。さすがは領主さまです。目の付け所が違います。さすがでございます。」

「まぁワシも領主だからな。ハハハハ。」

「そこで領主様、オリオン王国がこれから開発する村近くに魔物牧場を建設する予定なのです。この魔物牧場は開発者たちの胃袋を満たすだけではなく。開発後には村の主要産業となる物です。今投資しますとなな何と金貨100枚で年間金貨10枚の利益になります。どうですか。」ニコリ。

「金貨10枚になるのか。ならば10口入ろう。その金も貸してくれるのであろうな。」

「領主様、それは虫が良すぎましょう。金は領主様でご用意ください。金の工面にはご協力いたします。」



この元領主は、一緒に逃げて来た者達を集めて魔物牧場の説明会を行なった。

領主には一口ごとに金貨1枚のバックマージンが入る事になっている。


「この魔物牧場はこれからのオリオンの主要産業となっていくでしょう。この魔物牧場は食料だけではなく。薬の素材にもなる重要なものであります。」

「ほー、ワリ商会だったか。オリオンの開発はまことであろうな。」

「それは間違いありません、私共には優秀なブレーンがオリオン行政の中に入っております。それにこの都市を見てください。人人人であふれかえっております。この貴族街は静かな優雅な場所でありますが平民の町は人人人です。この者達は村の開発の為に集められた者達です。」

「そうだな、こんなに人がいるのだ。働き口がなければなその辺もオリオンは考えているのであろうな。」


この元領主たちは知ったかぶりが得意であった。オリオン王国と全く関係ないこの者達が開発に等関われる訳がないのである。ワリ商会も元領主たちも全く関係ないのである。

それをさも、自分たちはオリオンに影響があるかのようにふるまっていたのである。そこに着けこんだのがワリ商会である。このワリ商会悪徳商法の元締めである。

元領主たち金を根こそぎ奪うのであった。



「魔物牧場に私は10口だ。」

「では私は20口いこうかの。」

「くっ、」


「領主様、この魔物牧場はオリオン王国の民の胃袋を満たす物です。人は食べなければ死んでしまいます。1か所だけではありません。これから開発されていく村や町に作られていく事でしょう。」


「おおおー、そうであったな。ワシもオリオンから牧場の話を聞いたことがあったな。」



この元領主の一言が決め手となった。



この領主はオリオンの城に陳情に行った時に立ち聞きしただけであった。その内容な魔物の被害で牧場の牛が襲われたというものであった。

それを魔物・牧場で繋げてしまっただけである。


「ありがとうございます。この魔物牧場で皆さまが大儲けできるような仕組みも作っております。何と投資する方をご紹介していただけると一口に付き金貨3枚を紹介料としてお渡しいたします。」


「「「「「「おーーーーーーー」」」」」」


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