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682話 カインの手柄

「やっちまった。」

「どうするのカイン。またアレクに怒られるよ。」

「・・・・・・」


カインはアース大陸北部で戯れと邪気の支配する都市を潰してしまったのだ。

戯れを殺した事はアレクの目的と合致する。全く問題は無いのだろう。


だが激しい戦闘で都市は破壊され人々は住む場所を失っていた。



「ねぇカイン、アレクに連絡とって丸投げしかないよ。」

「いいや、俺だって出来る。」


カインはやる気になっていた。

この戯れの支配していた都市はかなりの人間が住んでいた。


「カイン、どうするの。」

「都市を再建する。」


カインはすぐに行動する。地区のまとめ役や下級役人として働いていた者などを集め、話し合いをしていった。

「今の都市の半分にして住む事でいいか。」

「はいカイン様それで構いません。」

「あと食料の備蓄は足りるか。」

「何とかなります。ですが今年は乗り切れますが、来年は難しいでしょう。何か対策をしませんと餓死者が出るでしょう。」

「来年に餓死者?」

「はい、今年は何とか備蓄でしのげますが、来年は夏前に食料が無くなります。」

「それは俺が何とかするから心配ない。なぁレッド。」

「大丈夫だよ。食料は運んでくるよ。でもお金あるの。」

「うっ、この都市は金はあるのか。」

「金貨、銀貨、銅貨はございます。」

「なら問題ないな。アレクから売ってもらおう。輸送はレッドに任せるよ。」

「オッケーカイン。」



「じゃぁ後は任せたぞ。」



帰ろうとするカインの姿に都市の者達は唖然とする。一瞬遅れたがカインを必死に引き留めている。

このままカインに出ていかれたらこの都市は邪気たちのいい餌食になってしまうからである。


「お前たちは戦えないのか。」

「戦った事がありません。今まで邪気様たちの下働きをしておりました。都市に住む者達の多くは集積される作物の整理や、分配の事務屋です。」


此処でカインはオリオンの問題を思い出す。人手不足である。


「おーーー、ジムヤ?ジムってあの書類整理する奴だよな。」

「さようです、この地域全体の事務を行っておりました。」



ピカーン。



カインは閃いてしまった。アレクに人を派遣しよう。そして人を派遣する代わりに防衛を任せようと閃いてしまったのである。


「レッド、アレクの所に行ってきてくれ、事務屋を派遣すると伝えてくれ。」

「オッケー。」


レッドは外へ飛び出し飛び立っていく。小さな体が段々と大きくなっていく。



「「「「「「おおおおおおお。」」」」」」




「何ぃーーーー、カイン兄が都市を落とした。」

「そうだよアレク、そこにねジムが大勢いたんだよ。」

「ジム、じむ、あっ事務な。」

「事務をやる人が大勢いるんだ。カインがねアレクに派遣するから都市の防衛と整備をお願だって。」

「そんなに大量にいるのか。」

「うんいるよ都市全体が事務の仕事をしていたんだって。」

「ほーーっ、それは凄いな。」


アレクは早速その都市へ行こうとした。


「お待ちください陛下。」

「うっ、しまった。レッド行くぞー。」


逃げるアレクと追う家臣たち、それは喜劇であった。


「待てーー」

「待てと言われて待つ奴がいるか。」

「陛下を捕まえろ。」

偉い家臣たちが騎士や兵に指示を出すが、騎士や兵は王であるアレクを捕まえていいのかが判断がつかなかったのだ。そしてレッドと外まで行くとレッドの背に乗り飛び立ってしまった。


「あーーー、陛下ーーー。」

「大臣もうあきらめましょう。陛下は遠くへ行ってしまいました。」

「次官、お前よく平気だな。これでまたマリア様の仕事を振られるんだぞ。」

「あっ。・・・・・」




レッドの背に乗り飛んでいるアレクは地上を眺めている。そこには畑仕事を知る人や、駆けまわる子供たちの姿があった。


「なんだかこの風景いいな。」




「レッド、艦隊駐留地に行ってくれ。」

「艦隊を連れていくの。」

「そうだ、さすがに俺だけは拙いだろう。」







カインが潰した都市



「カイン兄。どうしたんだ。」


アレクの見たカインの姿は信じられない物であった。カインが畑を耕しているのだ。


「おっアレク、土はいいなー。」

「何言ってんだ、カイン兄は戦闘狂だろう。土をいじってほのぼのなんて似合わないだろう。」

「違うぞアレク、俺は目覚めたんだ。一粒の小麦で救われる命があるんだとな。」

「ねーよ、カイン兄、一粒の小麦で腹が膨れるか、小麦は纏まっていなければ腹の足しにもならないぞ。」

「うっ、知っているぞそのくらい。アレク、風流って言葉知っているか。」

「カイン兄、誰に感化されたんだ。」


それはレッドが飛び立ってからカインは大勢の人々に囲まれて色々な事を詰め込まれていた。この都市の人々はカインを領主にしようとしていたのである。

軽い洗脳されたカインは働く事の喜びと温和な気持ちを手に入れていた。


「カイン兄ぃ気持ち悪いぞ。いつものカイン兄の方がいいぞ。なぁレッド。」

「うんそうだね、カインおかしいよ。」

「うっ、みんなこの方がいいと言っているんだけどな。」

「まぁそんな事より代表者を集めてくれ。俺が話をする。」



そしてアレクとカインは代表者たちの前で話し出す。


「この町を新しく管理するアレクだ。防衛も俺が面倒見る。その代わりに人を派遣してもらうぞ。賃金も出す。」

「アレク様、それは家臣となるのでしょうか。」

「いいや違うあくまで派遣だ。」

「分かりました。賃金をいただけるのであれば問題はありません。」

「そうか、ならばオリオン王国に派遣できる者を募ってくれ。期間は半年サイクルでどうだ。」

「はい、それで構いません。」




オリオン王国は大量の内政事務職を手に入れる事が出来たのだ。これはオリオン王国にとって重要な事であった。オリオン王国の町や村に派遣できる人員の確保が出来たのである。

この事に一番喜んだのがマリアとイリアであった。そして一番悲しんだもの達は二人の下でこき使われている者達であった。この者達の仕事は減らなかったのだ。いや仕事は増えてしまった。

細かな仕事をする者達は多く雇えたが、その分仕事量が爆上げしてしまったのだ。



家臣たち


「俺の今月の給料だけど、こんなに貰っていいのかな。」

「あっそれ俺も思った。何でこんなに多いんだ。」

「あれお前たち知らないのか。給料3割アップに待ったんだよ。」

「えっマジで何で。」

「あー、それはなこれから仕事が2倍になるんだって。」

「「「・・・・・・・・」」」


「俺、やめようかな。」ボソッ



家臣たちの給料は3割アップになったが仕事量は2倍では済まなかった。






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