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680話 内政

アレクはチョー不機嫌である。


それは、エデン島を探索しようとガレオン号に乗り込みいざ出発となった時に、取りやめになってしまったのである。

イリアが外遊に出てしまったのだ。オリオン王国でイリアがいなければ何も進まない。そのために王であるアレクが呼び戻されたのである。


「イリア姉はどこ行ったんだ。探せー。」

「陛下、陛下がいつもご自分でやっていることですよ。人にやられると困るでしょう。」


ニヤニヤ。


「くっ、ちきしょー。なんで俺が政務をやらなきゃならないんだ。俺は肉体派なんだぞ。」


次々と積まれていく書類の山、アレクのスピードでは部屋が書類で埋まりそうな勢いである。


「これイリア姉一人でやっていたのか。」

「いいえ、内政官が30人ほどおりました。」

「内政官をすぐに呼べ。」

「無理です。イリア様が連れて行ってしまってます。」

「なんでだ。」

「ロード殿が占領した地域の内政の為です。」

「ロードの奴、この恨みは・・・・・」


アレクは必死に事務仕事を行なっていた。


「ん、これなんだ。」


アレクの目にとまった書類は、魔人と呼ばれる者達からのものであった。

魔人族は過去に迫害され山の中で生活していた。3000年前にアレクスによって一時的に迫害は無くなったが、いまだに人間と姿かたちの違いから迫害が行われていたのである。


「魔人族か、確か元SEオリオンのに南の端にいる者達だよな。」

「はい、山の中を領地としている者が多いと聞いております。」

「そうだな元は平地にも領地を持っていたんだろうが、山の中に追い出されてしまったんだろうな。」

「陛下、その魔人族がいかがしましたか。」


アレクは秘書官に書類を見せる。

内容は、魔人族の住む山に人が入ってきているのである。資源の調達の為であるが、爆発的に発展を続けるオリオン王国では物があれば売れるのである。そのために木を伐採しハゲ山が幾つも出来てしまっていた。



「かなり拙いな、資源の枯渇か。」

「ですが今は地上にある資源を使うしか方法がありません。迷宮を支配していないのですから、地上で資源を確保するしかありません。」

「やはりすべての迷宮を支配しなければ資源は枯渇してしまうか。」

「オリオン王国の支配地域は広がっております、それ以上に人口が多くなっております。これは噂を聞き付けてオリオンに保護を求めて来る者達がいるからです。オリオンはこの者達を拒絶する事は出来ません。」

「嗚呼そうだな、拒絶は出来ない。」

「そうです、町を造り家を造らなければなりません。」

「迷宮攻略をやるか。」

「アレク様とカイン様であれば可能でしょう、それ以外の方では迷宮核を支配する事は出来ないでしょう。」

「そうなんだよな。あっあるぞ。ガレオン号に迷宮核があったな。」

「えっ。」



アレクは急ぎガレオン号に向かった。ガレオン号内のとある倉庫である。



「おーあったあった。これこれ。」

アレクの手に持っている物はフェイク迷宮核である。


「それは迷宮核ですか。」

「まぁ偽物の迷宮核だな。でもこれ一応迷宮になるんだよ。本物ほどではないけど資源専用ならば行けるだろう。」


アレクはそれから、何処にこのフェイク迷宮核を作るかの検討に入った。


「陛下、平地の山のない地域です。」

「まぁそうだろうな。」

「やはりロード殿の今いる地域でしょう。今ものすごい勢いで開発が進んでおります。イリア様もその手伝いで出ているぐらいですから。」

「よし、これは大事な任務だな。」

「さようです、オリオン王国の最重要案件です。フェイク核がもし盗まれでもしたらオリオンの損失は計り知れません。」

「そうだな、ならばその輸送はガレオン号にやってもらう。」ニヤリ。

「ガレオン号であれば心配ないでしょう。ですが陛下はお留守番ですよ。」

「お俺の俺の旗艦だぞ。俺がいなければ飛べないだろう。」

「ではこの部屋の書類を片付けてからですね。」ニコリ。


アレクは部屋の書類を眺めるが、1メートルの紙の束が6つもあるのだ。

こんな量の仕事が1日2日で終わる事等ありえないのである。それからアレクは10日かけて必死に仕事をしていた。


「いいか、この書類は没だ。こんな自慢話を報告するな。それに何だこの報告書は、己の手柄だと部下の手柄だろう。この担当者をすぐに城に呼べ。」


アレクは怒り狂っていた。いやいやしていた仕事であるが、新しく家臣となった者達の報告などが酷いものであった。自分の手柄は自分の物、部下の手柄は自分の物と全て自分の物としているのである。

これでは部下のやる気も忠誠心も育たない。



数日後の城内


「みなよく集まった。」


「「「「はっ」」」」」


アレク王に呼ばれた者達は、皆褒美がでると思っていた。そのために呼ばれたと思っているのであった。そのために皆、嬉しそうな顔をしている。何故かそれは報告書に武功や税収アップの報告をしている者達であったからである。


「オリオン東中央40街区346担当官。」

「はっ。」


物凄く誇らしげに返事をしている。他の者達も羨ましそうに見ている。大勢の中で一番に呼ばれたからである。褒美の場合通常一番に呼ばれるものが功績一位とされているからである。


アレクは無表情であった。だがこの担当官はアレクに初めて会った事でこれが普通と思っていたのである。


「のう担当官、この報告書では盗賊を500人うち滅ぼしたとあるが、500人もの盗賊をお前の警備部隊50人でやったのか。」

「はっ、我が精鋭の警備部隊は50人で10倍もの盗賊を討伐しました。」

「ほー、流石だな、野戦で仕留めたのか。」

此処で担当官は考える、さすがに野戦では50対500では拙いと考えたのであった。


「いいえ、さすがに10倍もの敵です、運よく敵のアジトを突き止めました。敵のアジトで夜襲をかけて仕留めました。」


「敵のアジトを突き止めて夜襲をかけて殲滅したと言う事か。」

「はっさようでございます。陛下。」

自慢げに語る担当官であった。

「ではこの報告書は不備という事だな。」

「はぁ?」

「敵のアジトに500人者の人がいて物資も何もなかったと言う事か。」

「あっ、そそそうでした、押収した盗賊の武器などの報告書は一緒に出したつもりでありました、すぐに取り寄せいたします。」


「まぁすぐに報告書を出すようにな、そ・れ・と、ここが一番大事だ。入れ。」

アレクの許可で一人の男が大広間に入ってくる。その姿を見た担当官は震えだしていた。


「見覚えがあるかな。」


担当官は震えて答える事が出来なかった。


「お前の言う、盗賊だ。」


それは盗賊はこの担当官であった。村を開発していた村人たちは必死に頑張っていた。そこで運よく砂金を見つけたのだ。この報告はすぐに上に報告された。村人たちは砂金がでようが換金する伝手が無いのだ。役人に渡して少しの褒美を貰えればよかったのだ。

だがこの地域の担当官は、欲深い者であった。砂金をすべて自分の物にしようとしたのだ。そのために村を盗賊が現われ皆殺しとなったと報告したのだ。そして盗賊を討伐したと報告していたのであった。



「おらはお前を許さねー。」


怒りに満ちた少年が担当官に剣を向けていた。

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