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677話 ミリオンの民2

ミリオンの民たちの凄まじい反乱はそれからも続いていた。


その報告を聞いたロードもまた驚いていた。


「凄まじいな。」

「全くです。10人逃がすために100人以上を犠牲にしています。」

「元ミリオンの民は保護しても1か所に押し込める事は出来ないな。」

「そうですね、反乱を起こされたら厄介ですが、纏めると余計に厄介になるかと。」

「だな。如何するかな。」


ロードの下に続々と元ミリオンの者達が保護を求めてきているのであった。現状は占領した砦内で保護しているがそれもその内限界となるだろう。


「この地に村を作り開拓させますか。」

「それしかないな、憎むべき敵が近くにいるからな。」

「ロード様それ酷くないですか。」

「仕方ないだろう。オリオンにぶつけられるよりましだよ。」



ロードは砦を中心に開拓村をつくらせた、どんどん増える元ミリオンも民たちであったが、戦える者はまたテリオス国内に戻って行っていた。


その間ロード達はけん制するために、派手に暴れていた。



ロード軍


「隊長、いいんですか。こんな盗賊のようなことして。」

「いいんだよ、今回は元ミリオンの民たちの持ち物になるからな。」

「そうですけど、なんか気が進みません。」

「そうだないくらテリオスと言ってもこの者達も民だからな。」

「そうなんですよ、同じ民です。ただ国が違うだけなんですよ。」

「だからオリオンは一つにまとめようとしているんだよ、オリオンに纏まれば全てオリオンの民となるからだ。」

「あっ、そうなのですね。オリオンの民となれば戦いは無くなるんですね。」

「嗚呼無くなるな。同じ国の者であればオリオン法の下に裁かれる、村同士の殺し合いもないな。」

「早くそうなればいいですね。俺、オリオンの民になれてよかったです。ロード様が降伏してくれなかったら死んでいました。」

「そうだな。」



ロード軍は反乱のあった村や町に押し入り物資を集めていたのだ。

本国から送られてくる物資だけでは全く足りなかったのだ。食料だけは何とかなったのだがそれ以外が全く足りなかったのだ。衣服に食器など、生活必需品が戦場になかったのである。

その為にロードは近くの村や町から集めていたのだ。戦争中ということも有り逃げた村や町に入り根こそぎいただいていたのである。



「隊長、何でミリオンの民たちをこの村とかに入れないんですか。空いた村ならすぐに使えるじゃないですか。」

「それはな、大きな家、小さな家と色々あるだろう。同じ家なんてどこにもないだろう。これが争いの元になるんだよ。俺たちが適当にあてがって入れていくと格差が出てしまうだろう。だからロード様は全く新しくつくる事にしたんだよ。自分たちが作った村であれば問題にならないからな。」

「じゃこの村とかは廃村のままですか。」


ニヤリ


「フフ、違うぞ。俺たちが治めるかもしれない土地だ。武勲を上げれば褒美が出る。その褒美は土地だ。」

「おーーーーー、なななら俺も村長になれるかもしれないのですか。」

「なれるぞ、このままあと3年生き残れば、そのくらいの褒美は貰えるだろう。」

「おおおお俺が村長・・・・・・・」


その日この男は使い物にならなかった。

村長と言うキーワードに反応するが、変な笑いを浮かべるだけであった。妄想が支配してしまっていた。


「へへへ俺が村長で、嫁は3人で、へへへ、チョメチョメして・・・へへへ。」



砦付近では開拓が行われている。

ミリオンの民たちで開拓を行なっている者達は皆女子供や老人たちである。若い男たちは同胞を救う為にテリオス王国内で活動しているからである。



「お母さん、楽しいね。」


7歳ぐらいであろう、子供が雑草を取っている。それを微笑みながら見ている母親がいる。もちろん母親も手を休めている訳ではない。鍬を持ち畑を耕している。


「そうね、自分たちの畑になるのよ。」

「へへへ、小麦が出来たらパン焼こうね。」

「美味しいパンが出来るわね。」


「お母さーーん。」べちゃ


「あっ。」


もう一人の子供が母親のもとに駆けて来たところ転んでしまったのだ。それがたまたま水たまりの場所であった。


「エーーン、エーーングスッグシシュ。」

「ほら坊や、しっかりしなさい。男の子でしょう。井戸に行きましょう。」


グスッグスッ。


「ははは、泥だらけになってる。」

「ブーーーお姉ちゃんもおて手がまっ黒だもん。ブーーー。」

「同じだね。」

「へへへ、同じだね。」


この姉弟は仲がいい。元ミリオンの民で兄弟が生き残っている例は少なかった。家族はバラバラに各地に連れていかれる事が多かったために幼い子供達は殺される事が多かったのだ。

たまたま奴隷を買ったテリオスの者はいい人であった事がこの姉弟が生き残った要因であった。


只の偶然それだけであるのだ。



元ミリオンの民にとって偶然が重なり生き残った者達である。




開発村は笑顔で溢れていた。




「開発は順調です。」

「当たり前だ。その分テリオス王国の進軍を遅らせているんだ。」

「本国は喜んでみたいですよ。」

「だろうな、軍が開拓してるんだ人件費も安くなるしな。イリア様はウハウハだろうな。」

「あっそれ報告書に書いときましょうか。」

「おおおお前なー、もしイリア様にばれたら。」ブルブルブル。



この開発は異常な速度であった。





「ロード様、オリオン王国から内政官殿が来ました。」

「おーーーー来たかついに来たか。待っていたぞ。」


ロードはオリオンよりきた内政官を見て唖然としてしまった。


「イイイリア様、どうして此処に居るんですか。」

「あら、ロード殿、私がウハウハだと言っていたのよね。」

「えっ。」チラッ


ロードは自分の副官を見るが自分は言っていませんと横に首を振っている。


「冗談よ、ロード殿であればそう思ったかなっと考えただけよ。」


ロードは背中から冷汗が流れていた。冗談ではなく会話を知っていたのだと確信している。そんなピンポイントでウハウハなど当たるはずがないのである。


「イリア様、ご視察でしょうか。」

「ええ、内政官を送るついでの視察よ。オリオン王国の新しい民たちにも会いたかったのよ。」


イリアの訪問は、テリオス王国にも知れ渡った。オリオン王国の重鎮がこの地域いるのである。

この機会を逃せば勝つ機会は永遠になくなる事がわかっているのだ。



テリオス王国軍は戦力を結集してイリアを捕虜とするために動き出していた。





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