667話 魔素
ブルー達5体のドラゴンはアンデットとなった魔物の集合体と戦っていた。
そこにガレオン号に乗るアレク達が現れた。
「ブルー達が苦戦しているだと。」
「ええ、魔物は全滅させたのですが、その魔物がアンデットとなり死ななくなったようです。霧状や肉片の塊となって生きているのです。」
「信じられないな。そんなことがあるのか。」
「邪気の強化版と言ったところでしょう。」
「アレク様、見えました。」
アレクは急ぎ甲板に出ていく。そこには傷つき必死に町を守るドラゴンたちが居た。
ドラゴンが一撃入れても二つに分かれ生きている。また霧状になった個体は合体して元の姿に戻っていたのだ。
「艦長、魔動破を撃つぞ。」
「はっ。魔動破よーーい。」
「準備出来ました。」
「ブルー、飛べーーー。」
アレクはブルー達に向かって叫んでいた。ブルー達はアレク気づき空へ飛んだ。
「撃てーーー。」
ドッコーーーーン。
ガレオン号の放った魔動破はアンデットとなった魔物たちを消滅させていた。ところが消滅した魔物が又復活していった。
「アレクーー。」
「おうピンク大分傷付いているな。大丈夫か。」
「あっこんなのなめれば治るわよ。それより魔動破で少しは減った様ね。」
「ん、あれで減ったのか。」
そう魔動破が全く効かなかった訳では無かった。魔動破の中心付近にいたアンデットは復活していなかった。
復活しているアンデットは魔動破の威力が落ちている外側の者達だけであった。
「グリーンどう思う。」
「アレク、あれ魔素が意思を持っているんじゃないかな。」
「魔素ってあの魔法の元の魔素か。」
「んーー少し違うけど、魔素は魔法のエネルギーなんだ。魔法を発動させるには魔素が無ければ発動しないんだね。普通は体内で魔素を作り外に出して魔法現象が起こるんだよ。例えばファイヤーボールなんかが一番わかりやすいかな。ただのエネルギーに普通は意思なんかないでしょう。何かの原因で魔素が意思をもったと思うんだ。」
「グリーン、魔素は消せるんだろう。魔法エネルギーなら消費して無くなるだろう。」
「うん消費した分は無くなるね。だけど大気中の中にも魔素は存在しているからねほぼ無限と言っていいかも。」
「じゃぁ何で魔動破が効いたんだ。」
「そうそれだよ。魔動破も魔素をエレルギーとして使っているよね。魔動破は魔素を振動させて圧縮して放っているでしょう。あれ魔素が壊れてるんだよ。元通りにならないんだ。魔動破の中心地は完全に魔素が破壊されたから復活できないだと思うよ。でも端の方は、魔素が死んでいなかったんだともう。」
「意思のある魔素が戯れと言う訳か。」
「魔素だけなら、ただ動くだけだと思うよ。だけど人や物事を考えられる者に取り付いた者が戯れになったんだと思う。」
「魔素って目に見えないじゃないか、かなり厄介だな。」
「えっ見えているでしょう、あの黒い霧が魔素だよ。」
「なら答えは簡単だな。消費すればいいだけだな。」
「えっ?」
アレクの考えは魔素であれば消費すれば消滅するであった。
「よーーしあれ出すぞ。」
アレクの出した者はただの魔石であった。
「ねぇアレクそれ魔石だよね。」
「そうだ魔石だ。だけどこれ仕掛けがあるんだ。空の魔石だけど魔素を吸収して爆発するんだ。」
「まさかアンデットの中に入れるの。」
「そうだ、あの魔物たち(アンデット)の中に入れて発動させる。アンデットの魔素を吸い取る。」
「アレク様、魔石がそんなにありません。」
「艦長、俺今いい所なんだ。水を差すなよ。」
「事実です。」
「まぁまずは実験だな。成功したら町で魔石集めて魔石爆弾つくるぞ。」
「「「「「はーーい」」」」」
アレクは一体の塊に近づく。アレクは素早く剣で塊を斬る。そして魔石を発動して塊の中に入れる。
「どうなるかな。」
塊は魔石に魔素を吸収されてるのだろう。段々と干からびていく。
「おっ効いているな。やっぱり魔素が元だな。」
バーーーーン。
そしてその塊は体内から爆発した。
「成功だな。よし大量に作るぞ。それまで艦長魔動破撃っていてくれ。」
「えっアレク様、無理です。」
「大丈夫、大丈夫、ダイジョウブだよ。ほんの半日ぐらいだからさ。」
「無理ですって、魔動破そんなに打てませんよ。」
「じゃぁブルーたち頼むな。」
「えーーーー、まだ戦うのー。疲れたー。」
「そんなこと言うなよイエロー、後であれやるからさ。」
「本当アレク、あれくれるの。やる。」
「少しの間頼むよ、だけど個体をふやさないようにな。」
「「「「「おーーーー」」」」」
アレクは急ぎ町に戻って行った。町で魔石爆弾を作るためであった。ところが町には魔石が殆ど無かったのだ。
「えっ魔石無いの。」
「ありません。この人数を見てください。人、人。人ですよ魔石なんかもう無いです。」
「ちがう空の魔石だ。消費した空の魔石だ。」
「あっそれならば大量にあります。」
アレクはホッとしていた。
魔石爆弾の構造は簡単である.空の魔石に魔法陣を刻むだけであった。普通は魔法陣を刻むことは大変な作業であるが、アレクス特製の印刷機があった。この印刷機はガレオン号内の倉庫に眠っていた。
「いいかよく見とけよ。まずはこの印刷機に魔石をセットする。そしてこの赤いスイッチを押す。これで終わりだ凄いだろう。」
「「「「「「・・・・・・・」」」」」」
「アレク様、まぁ凄いのでしょうけど。どや顔するほどでもないと思います。」
「コホン。そうか魔法陣がものの数秒で出来るんだぞ。普通は一個作るのに2時間はかかるぞ。」
「凄い技術だという事は分かりますがスイッチポンではねーー。」
「まぁこれを大量につくってくれ。出来上がり次第随時届けてくれよ。」
「「はい了解しました。」」」
それからは流れ作業が始まった。スイッチを押す係、魔石をセットする係、出来上がった魔石爆弾を運ぶ係であった。
誰にでも分かるがスイッチを押す係が一番楽であった。
「ももう走れねー、交代してくれー。」
シーーン。
「おお願いだ。」
「分かったよ。俺が走るよ。」
今まで走って魔石爆弾を届けていた者が急に元気になり二カッと笑顔になっていた。
「頼むな。」
「あっお前、まだ走れるだろう。」
「交代だ。交代。」
それから10往復で交代するようになっていた。だがこの者達は少し頭が足りなかった。一つ出来るたびに甲板まで運んでいたのだ。数個ずつ運べば何も問題は無かったのであった。
作業終了後に艦長から指摘されて初めて気づいたこの者達は3バカ兄弟といられるようになったとさ。




