663話 狂暴なドラゴンは誰?
レッドとカインは優雅に空を飛んでいる。
「レッドいい気持ちだな。」
「ホントだね。シロとドラちゃんはたまに会うぐらいが一番いいね。」
「だよなー。さすがの俺様もあの二人にはついて行けないな。」
そうレッドとカインはシロとドラちゃんから逃げ出していたのだ。
後で追いまわされる事等今の二人には知る由もなかった。
「おっあれがアレクの新しい町じゃないか。」
「アレク様、ドラゴンです。あの狂暴なドラゴンがこちらに向かっています。」
「・・・・・・」
「アレク様、あの無慈悲なドラゴンですよ。」
「・・・・・・」
「アレク様、最凶最悪なドラゴンですよ。」
「・・・・・・」
アース大陸南部ではドラゴンの噂が広がっている。レッドドラゴンそれは邪気を食らうと恐れられている。邪気たちから恐れられる事はもちろんだが、人間たちからも恐れられていた。噂とは怖いものである。
「おーーアレク。久しぶりー。」
「カイン兄ぃ。お久ぶりですね。」
レッドとカインがアレクの町に着いた時、丁度間が悪かった。アレクが手配したドラゴンたちが到着したのだ。ブルーやグリーンたちである。
そしてシロとドラちゃんも追いかけてきたのだ。
「レッドーーーー、捕まえたーーー。」
「カ、カインが悪いんだー。カインが逃げようって言ったんだ。」
「あーーーー、レッドそれはないだろう。レッドが先に言ったんじゃないか。」
ギロリ
「ふーーーん、レッドゆっくり話を聞こうか。平原が広がっているし少しぐらい吹っ飛んでも問題ないね。」
「ままってドラちゃん。ごめんなさい。」
町の者達は初めて見た。ドラゴンの土下座であった。
あの悪辣無慈悲と噂のレッドドラゴンが土下座をして謝っているのだ。他のドラゴンはどれだけ強いのだと思っていた。
そんな、シロとドラちゃん、レッドとは別にアレク達はブルーたちと話していた。
「ブルー、ありがとな。」
「何を仰せですかアレク様、このブルーにお任せください。」
「此処の守りと人の解放を手伝ってくれな。」
「「「「「お任せください。」」」」」
「なぁアレク、止めなくていいのか。」
「カイン兄止められるんですか。」
「無理だな。ほって置こう。」
「「「「「うんうん」」」」」←ドラゴンたち
アレクは南部地域の農村部を中心に開放していく。元々邪気たちもいない地域であった。奴隷紋があったために邪気の見張りも居ないのだ。アレクは農民奴隷たちを解放していった。その防衛をドラゴンたちと艦隊に任せるのである。
そして
「アレク様、オリオン王国より緊急通信が入っております。」
「何かあったのか。」
「オリオンが一地域ですが負けました。」
「何、負けた。戦で負けたのか。」
「そのようです。」
それはメルト領とオリオン王国の戦であった。
ロード率いる。メルト軍はオリオン王国所属のダイレン伯爵軍と戦闘となった。
ダイレン伯爵は少し尊大であった。メルト領に対して無条件降伏するように使者を出したのだ。ロードはこれに反発、条件付き講和ならば了解する旨を伝えた。
此処でロードが狡猾だったのはオリオン王国王都に同じ事を伝えていたのだ。多くは離れているが伝令を使い。オリオン王国に条件降伏の使者を送ったのだ。
これはオリオン王国にとって初めての事であった。
快進撃で領地を広げている。オリオン王国は降った領主に爵位を与えていた。その新しい貴族達はオリオン王国というネームバリューを使い。好き放題していたのである。
「シロ。メルト領に行くぞ。」
「「えっ。」」
レッドをいじめていたドラちゃんとシロは突然のアレクの言葉にびっくりした。
「え、あ、うん。」
「艦長はあとから来てくれ。ドラゴンの速さについてこれないだろうからな。」
「了解しました。」
「アレク、俺も行くぞ。」
「カイン兄、レッドの傷が治ってからにしたらどうですか。」
「レッドーー、大丈夫か傷は浅いぞ。問題ないよなー。」
「カカイン、僕はもう駄目だ。後は頼んだよ。」
「レッドーーーーー。」
ボコッ。
「レッド何言ってんの口を少し切っただけでしょう。早く行くよ。」
「てへへ。」
アレク、カイン、レッド、シロ、ドラちゃんはメルト領に向かって飛んでいった。
自由の町と言われるこの町の領主はまさに自由人であった。
「ブブルードラゴン様。宜しくお願いします。」
「・・・・・・分かった。任せとけ。」
「「「「「「「おおおおおおおお」」」」」」」」
町中が大歓声に包まれていった。
ドラゴンに守られる町。この事は大陸中に広がっていくのである。南部には人として認められていない種族もいるのである。
ドラゴンが支配する地域であれば生きていけると思ったのか色々な種族が集まってくるようになっていくのである。
住民たちに圧倒され固まっているブルーたちを置いていったアレク達は
「アレク、そのダイレン伯爵だっけ。オリオンの者なのか。」
「最近オリオンに従った者みたいですね。」
「ジャーオリオンが負けたと言っても配下のそのまた配下か。」
「まぁそうですね。100戦して100勝とはいかないでしょう。」
アレクはまずオリオン王国王都へと向かった。正確な情報を求めたのである。
「陛下ーーー。」
「おうお久。」
「何がお久ですか。仕事が溜まっています。」
「それは後だな。今はダイレン伯爵のこととメルト領の事だ。」
キリッと真面目な雰囲気を出すアレクに大臣はたじろいでしまった。
「あっはい。メルト領は条件付き降伏を・・・・くどくど・・・・・・・」
「ダイレン伯爵は無条件降伏と貢物を要求したと言う事か。」
「はい、そのようです。メルト領は降伏は仕方ないとしていたようです。ですが民に負担をかけるのならば一戦も持さないとダイレン伯爵と戦ったとの事です。」
「それでダイレン伯爵からの連絡は。」
「ダイレン伯爵は、メルトにだまし討ちをくらい転進すると報告がありました。」
「はぁー転進だー。馬鹿なのか。」
「陛下、今のオリオン王国は負ける事が許されていません。新しく配下となった領主たちは少しでもオリオンでの立場を上げるために家臣同士で足の引っ張り合いをしている状況になっています。」
アレクは唖然としてしまった。オリオン王国の国土を維持しろと指示を出していた。兵を使い進軍する事は認めていなかったのだ。
調略された領主たちはオリオン王国の貴族として領地を広げていたのである。
「一度領主たちを整理する必要があるな。」
「はい、マリア様、イリア様もそのように仰っています。」
「よし、ダイレン伯爵領へ行くぞ。」
「「「「おーーーー」」」」
なぜかやる気に満ちているカインとレッド達であった。




