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64話

「準備はいいか。」

「はい、用意出来ました。」

「出発だ。」


建国宣言の前日の夜、国境線に境界壁を造作するために集まった、2万にもなる作業員達が各所で一斉に動き出した。

国境となる運河の手前に、整地してどんどん壁を置いていく。


アレクは、大森林側、オリオン公国の担当をしている。

アレクは、境界壁の基礎部分になる、整地、穴掘りを一気に進めていく。境界壁を水平にする為に、ズレない様に、自分が担当しているのだ。変なところに拘りがあるのだ。

まるで、測量士、いや土木のプロみたいな感じである。

「この区間一気にいくよ。」「いきまーす。ズンッズズズーーーーッ」

土地が、一定間隔に、1メートルほどの深さ、幅6メートルの基礎部分が100メートルほど出来上がった。

「ここに水平器当てて。水平なら、境界壁を置いていこう。」「時間が無いから次に行くよ。」

その時間、わずか2分の早業だった。

大森林側から、次から次へと土木工事を進めていく。その後を作業員達が、境界壁を置いていく。

見事な流れ作業になっている。黙々と淡々と作業が行われていくのである。


この作業も、夜明け前には完了した。


アレクは、他の担当地区を見たときに、細く微笑んでいた。ぼそっと「僕のところはズレがない」

他の地域は、壁が少しずつズレている。これは普通、仕様がないことだ。一夜で作業するのだ、後で補修・補正もできる。一夜で境界壁を造作するのが目的なのだから。


夜が明けると、そこには運河に沿って大森林から獣王国まで、一列の壁が出来上がっていた。


「さあ、みんな、これからが本当の工事が始まるよ。休憩したら工事を始めるよ。」

作業員達は、仮宿泊所で賄いを食べ、休憩していく。


アレク、カイン達はそうはいかない。

「カイン兄、これからの警備をお願いね。」

「任せとけよ、獣人隊がみんな張り切っているからな。」

「あの人たち、張り切りすぎだよね。」

アレクとカインは、笑いあう。


アレクとカインは、これからの作業工程の打ち合わせを、担当者たちと話していく。

補修・補強より先に、見張り塔の建設を最優先で行う。

建設工事の作業は、3交代制で8時間労働、24時間作業するのだ。4グループに分けて1グループは休みにすることなどを話していく。


アレク隊は上空からの監視を担当、カイン隊は地上からの監視を担当する。


「アレクと俺は、一度戻るけど何かあったら連絡をくれな。」

「お願いね。」

カイン、アレクは建国式の立ち合いに出席するために、一度この場を離れる。


都市ブレスト、この地がオリオン公国、建国宣言の場所である。


他の3か国は、各自国で建国宣言を行う手筈になっている。各国の立会人は、それぞれの国へ来賓として招かれている。新国家4か国とミルトン王国、ローエム王国は各大使館を置き、連携をとれるようにしている。


オリオン公国は、国内にスピーカを設置。建国宣言を国民が聞けるようにしていた。

「父上、大丈夫ですか。死にそうな顔してますよ。」

「だ、だ大丈夫だ。」

「父上、もし死んでもルドルフ兄がいるから、大丈夫ですよ。」

「・・馬鹿者、勝手に殺すな。・・・・」

ハロルドは、アレクと馬鹿な話をしているうちに、程よく緊張がほぐれていった。


「今日、ここに宣言をする。

この地に、住む民、動物、草花に至るまで、豊かな暮らし・・・・・・・・・・が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・を確約とす。

オリオン公国の建国をここに宣言する。」


各地に設置されている、スピーカーから聞こえてくる、建国宣言は公国民に興奮と喜びの絶叫をまき散らした。各地には、無料で酒と食べ物が祝いとして配られており、各地でお祭り騒ぎが起こっていた。


建国宣言後には公都ブレストにて、パレードが行われる。

公王、公王妃を初め、7伯爵のパレードである。


公都ブレストはオリオン家が領地としてから、急激な発展をしていた。都市は拡張され、区画整理が行われ、魔道具が生活の中に入り込み、生活が豊かになっていた。

公民たちは、パレードを歓喜をもって祝っていた。


パレード中

小声で・・・

「ほら、笑顔で手を振って。」

「微笑みよ、微笑み。」

「笑え、笑え、・・・・・・笑ってろ。ずーーっと、笑え。」

「・・・・・」

パレードの馬車は公都ブレストのメイン通りを、ゆっくりしたスピードで2時間かけて行った。


「もう、腕が上がらない。」

「笑顔が、戻らない。笑ったまんまの顔になってるよ。」

「もう駄目、」

「・・・・・・・」

「死んだ・・・」


オリオン家の人達は、疲れ切っていた、だが顔は笑顔のままだった。


「いいか、明日も公務があるからな。頼むぞ。」

「えっ、何かあるんですか?」


アレク以外の兄弟「・・・・・・・・・・」


「アレクもしや、忘れているんじゃないだろうな。」

「うっ・・・」

「明日はお前たち、家臣の陞爵式だ。アレクの所は6人だったかな。」

「そうでした、忘れていませんよ。大事な家臣の事ですから。」「僕は、用事があるので失礼します。」


アレクは、忘れていた。陞爵式をではなく、陞爵することを伝える事を。


「ユリ、リック、マック、カイ、ホリー、バレー。よく集まってくれた。

今日僕は、伯爵になった。そこで、僕を今まで支えてくれた君たちに、ご褒美を考えた。明日、君たち6人を騎士爵とする。明日、公都ブレストで陞爵式があるから出席するように、仕事の調整をしてね。いや、してください。」


アレクの声は、段々と小さくなっていった。


ユリたち、6人は大喜びだ。元孤児が貴族になるのだ。


アレクも、6人が喜んでいるのを見て、大丈夫そうなので、気分がよくなり。「リック達も伯爵領内から村を各自に2つ与えるよ。自分の領地として、発展させるも自由にやってね。だけど領民を苦しめるようなことは絶対にダメだからね。」


「おおおぉぉぉ」


「「ありがとうございます。」」「これからも、アレクス様を主として仕えさせていただきます」


6人が同時に、礼をする。


「孤児院の人たちも家臣として雇えるから、宣伝を頼むよ。みんなオリオン家に行っちゃうしさ。これから伯爵家の家臣を増やさないと。ユリたちも、自分の直臣をこれからは雇えるよ。


ユリが「師匠、師匠は騎士爵の事を、伝える事を忘れていましたね。」

「うっ・・・何でわかるの。」

「誰でも、分かりますよ。普通は準備が必要ですから。明日なんてありえません。」

「服とか、間に合うかな?」

「大丈夫ですよ。マリア様、イリア様が事前に連絡をくれていますから、準備は整っていますよ。」

「何だ、そうなんだ。マリア姉もイリア姉も言ってくれればいいのに。」

「師匠、忘れていた師匠が悪いんです。反省してください。これからは、伯爵として相応しい、行動を・・・・・・・・」


ユリの、話は長かった。

  


元孤児たちの、活躍に期待したいね。  貴族様だし。





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