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619話 戦争の気配

オリオンの遺跡には多くの人が集まっていた。


空飛ぶ船が数十隻も並んでいる為である。空から大艦隊が来た時はパニックとなり大騒ぎであったが、相手がアレクと分かると歓声に変わっていた。



アレクはこのオリオンの遺跡で余っている建物を家族用宿舎として提供する事にしたのである。独身者には集合住宅に住んでもらうになっている。



「フー、何とかなりましたね。」

「よかった。これで嘘つきにならないで済む。」

「カイン兄、あんまりいい加減なことばかり言っているとその内殺されますよ。」

「分かっているよ、これから気を付けるよ。」


アレクはカインと分かれオリオンの遺跡内の事務処理に向かう。オリオンの遺跡から逃げ出してから初めての帰還なのだ。

大分仕事が溜まっている事を覚悟して戻ってきたのである。


アレクは自分を鼓舞するために心の中で(俺って男らしい、仕事をしなきゃ、俺ならやれる)と思いながら執務室へと入っていった。

それから3日アレクが執務室から出る事はなかった。



一仕事終えたアレクは部下たちにオリオン(ルドルフ領)へ向かう事を伝える。



ガレオン号に乗り込み飛び立っていった。



「マリア姉、イリア姉お久しぶりですね。」

「あらアレク、本当に久しぶりね。」


アレクは姉二人に浮遊島の事を相談する。国家として独立した存在にする事、地上にも領地を持つ事等を相談という名の決定事項を伝えていく。


「アレク、貴方王をやりなさい。いいえもう王だったわね。それならちょうどいいわ。地上も含めて国としましょう。」

「イリア姉、先ほども言いましたが物価が違うんですよ。すぐには無理です。」

「そんな事問題ないわ。経済圏を別ければいいのよ。山の迷宮とこの場所だって物価がかなり違うでしょう。そんなの当たり前なのよ。」


「・・・・・でも国は分けましょう。さすがに末っ子の俺がこの地の王になるのは気が引けます。ルドルフ兄が立ち直るまで保留にしましょう。」

「いいわ、一時保留としましょう。それからアレク、デニーズ王国って知っていかしら。」

「デニーズ王国ですか知りません。」

「そうこの領地より西にある国なのだけどうちに戦争を仕掛けて来るわ。軍を早急に組織化してもらえる。」

「そこの国馬鹿なんですか。ドラゴンがいる事知らないんですかね。」

「知っているわよ。それでも勝てる算段をしたのでしょうね。それにあそこは迷宮があるわ。そこでかなりの物が出るのよ。武器の類もあるのでしょうね。」

「はーー、それで気が大きくなっているのでしょうね。剣1本出ても魔法一発で吹っ飛ぶのが分からないんですかね。」

「国の上なんてそんな物よ。上に行けば行くほど権力争いでしょう。」

「分かりました。軍は任せてください。丁度浮遊島で面白い物を見つけたんですよ。マリア姉とイリア姉、レオン兄にも1台プレゼントしますよ。」



それは魔力で走る魔動車であった。

アレクも初めて見た時はドラゴン以上に感動した。馬より速く走る乗り物、そして大量輸送が出来る事で広大な大陸が一気に小さくなったのだ。

徒歩で一日かかる距離を魔動車ならば一時間かからずに移動する事が出来るのだ。



「どうです、この車凄いでしょう。」

「アレク、これ大量につくれるの。」

「えぇ作れますよ。ですが当分は軍で使用します。一般には売りません。」

「そうよね、これ世界を変えるわね。」



アレクは地上部隊はカインに任せるつもりである。早速カインと連絡を取りカインに押し付けるつもりであった。


「カイン兄、戦争です。活躍の機会です。英雄です。正義の味方です。」

「おーー、戦か。俺の出番だなへへへへ。」


カインを将軍としたオリオン陸軍が誕生した。陸軍は各地からの募集して新兵で構成されている、それまでのオリオンの騎士団はそのままある。軍とは全く別の扱いとなっている。


「カイン兄、新兵の訓練お願いね。」

「おう任せとけよ。5000人の新兵を鍛えてやるぞ。」

「カイン兄、あと5000を追加で送ります。とりあえずは10000人となりますからね。」

「10000かぁ、凄いな。どんな国も征服できそうだな。」

「無理ですよ。相手のデニーズは6万は常時軍です。かき集めれば10万は集まるでしょう。だからオリオンに喧嘩を売ってきているんですよ。」

「何だ一人10人倒せば終わりだな。簡単じゃないか。」

「今回の戦争ではこの兵はまだ使い物にならないでしょう。時間がなさすぎですからね。新兵たちは戦場の見学だけにします。」

「えっ、そうなると俺が戦えないだろう。」

「大丈夫ですよ。カイン兄には戦場をきちんと用意しておきますよ。」


不敵に笑うアレク姿にカインはブルっとする。


デニーズ王国が強大な国でも今のオリオンの敵ではない。浮遊島の艦隊とドラゴンがいる事で軍事力が大人と赤ちゃんぐらいの差あるのだ。それも分からないデニーズ王国など相手にもならないのだ。




デニーズ王国にも一応勝算がある事でオリオンとの戦争に傾いているのだがかなり甘い考えである。




現オリオン領とデニーズ王国は国境は接していない。間に誰の所有でもない地域があるのだ。国として領地宣言をしていないためにどこにも属さず、きちんとした領主もいない地域である。

オリオンもデニーズ王国も自分たちの領地で戦闘をすることを嫌う。想定される戦争場所は自然とこの地となると双方が考えるのは間違いではない。


だがそこにも人は住んでいるのである。


この地域には草原で生活する遊牧民と山の中で生活をする者達がいる。

この者達もさすがに戦争の噂を流れると自分たちのいる場所が戦場になるを理解していく。

そうなるとどちらに味方に付くかそれとも第3の勢力として対抗するのかを各集落で話し合われていた。結論の出ないままに時間だけが流れていった。



ある村


「どうするのじゃ。我らだけでは負けるぞ。」

「姫様、森の中でならば負けません。」

「負ける。兵力が違い過ぎる。森の中で家もなく家畜もなく、作物もなくどのくらい戦えると言うのじゃ。」

「・・・・・・・」

「よいか戦争とは戦闘力だけではないのじゃ。食料が無ければそこで終わりなのじゃ。」

「・・・・」

「この状況でも村同士でまとまらない状況で勝てるものか。」

「ですが姫様。戦は起こります。デニーズ王国に味方しましょうあちらの方が大国です。」


この村では毎日、話し合いが繰り広げられていた。結論の出ない話し合いで皆が疲れていった。誰も正解が分からない問題で無数に選択幅があるのだ。独自に戦う、誰かに味方する。地域でまとまって戦うと強力なまとめ役のいないこの地域で意見がまとまるはずもないのである。


そんな無駄な話し合いの最中に1人の男がこの村を訪れたのであった。


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