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618話 カイン艦隊?

「アレク、久しぶりだな。」

「カイン兄、ここが良く分かりましたね。」

「レッドが教えてくれたんだよ。」


アレクはレッドがいる限り身を隠すことが難しい事を理解した。今後何か手を打たなければいけないと心の中で誓うのであった。


「カイン兄、マジルはどうですか。」

「おーー、マジルは何とかまとまっていきそうだな。周りの地域の者達もマジルの傘下に入りそうだぞ。」

「それってオリオンの傘下になろうとしていますよね。」

「まぁそうだろうな。俺が宣伝しておいたからな。」

「正義の味方ですか。」

「カッコいいだろう。」


得意げに胸を張るカインであったが、アレクにしてみればやりたくないの一言である。


それからアレクとカインは二人で迷宮都市の中を見て歩いていた。


「凄いなこんなに人が居るのか。」

「俺も初めて見た時は驚きましたよ。」


アレク達の見ている光景は、4,5階建ての建物が並ぶ大きな街であった。迷宮内の2層を使い建てられたその町は上下水道と温度管理がされている、一年中春の季節の町であった。


「おっ魔化製品の店もあるのか。」

「魔化製品だけではないですよ。スイーツ店や、おもちゃ屋、洋服店もう色々あり過ぎですね。」

「みんな良く金がるな。」


カインは地上の町を基準に考えていた。この町は地上とは全く違うシステムで成り立っているのである。例えば地上では基本農業(麦)で経済が成り立っている。麦がお金の代わりであり、領主、国の基本となっているのである。

もちろん地上にもお金は存在する商人や領主、国などはお金を使っている。

地上ではお金と麦が通貨となっているのである。

所が浮遊島ではお金だけである。お金で麦を買う。給料もすべてお金である。地上の様に麦での支払いなど無いのである。


「おっ、これオリオン金貨か山の迷宮と同じだな。」

「ええそうなんですよだから困っているんです。」

「ん?なんでだ。」

「それはですね地上と浮遊島の物価が違うんですよ。山の迷宮で金貨1枚あれば高級レストランで4人家族が食事が出来ます。ですが浮遊島だと一人しか食べれません。」

「おーーそんなに違うのかよ、凄い美味いもん食わせるんだな。」

「カイン兄、俺の説明聞いてましたか。同じものを食べて4倍の差があるんです。」

「マジか、地上の方がいいな。」

「地上でも山の迷宮と新しい町でもかなりの格差がありますけど、浮遊島の比ではありません。それに家臣たちの給料が違っているのですよ。給料が一番の問題ですね。」

「あーー、そうか地上の兵と浮遊島の兵とでは給料が段違いになるのか。」

「そうなんですよ、これは不満となります。オリオンで働く者は同じにしなければなりません。ですから今は浮遊島の者達を地上に下ろすことが出来ないのです。」

「なんか嫌だな。」

「3000年もの間同じ通貨を使っていたこと自体奇跡ですよ。まぁ価値が違っていますがね。」

「さすが迷宮都市だな。オリオン通貨はどの大陸でも今も使われているんじゃないか。」

「ええそう思います。オリオン通貨の銅貨、銀貨、金貨は使われているでしょうね。それほど優秀と言うことですよ。」


「でどうするんだ。」


「そうなんですよね。地上のオリオンと浮遊島を分けるしかないでしょうね。」

「そうなのか。一緒だと駄目なのか。」

「統合すると地上のオリオンの家臣達全員給料を4倍にしないといけなくなります。オリオンは破産してしまいますよ。」

「あっそりゃマズいな。別々がいいな。」

「地上に近々降りますからその時にマリア姉とイリア姉に相談します。」

「それがいいな、あの二人ならいい考えが浮かぶかもな。」



カインは都市見学の後に艦隊の格納庫へと向かった。


「俺の艦隊があるな。」

「えっ何言っているんですか、カイン兄の艦隊は大森林にあったじゃないですか。」

「あれじゃ少ないだろう。貧弱だしな。戦艦1隻と空母1隻くれよ。赤に塗装してくれ。」


アレクはカインに戦艦1隻、空母1隻、小型艦4隻を渡すことになった。その代わりマジルを中心に艦隊で治安維持をする事となったのである。


「おーーありがとなアレク。それとレッドの友達のドラゴンも連れていくからな。」

「それはダメでしょう、カイン兄ドラゴンはオリオン島を守っているんですよ。」

「大丈夫だよ。レッドが一人は寂しいっていうんだよ。友達、友達ってうるさいんだよ。」

「全員はダメですよ、後は交代制でお願いますよ。」

「おう、任せろ。」


それからカインはこの浮遊島で艦隊の乗組員を募集したのだ。


この募集で多くの人が集まり地上へ行く事となった。給料は浮遊島の半額であるが、地上に土地付き一戸建を提供するという条件であった。この条件でもの凄い倍率となったのだ。浮遊島はかなりの広さだが土地の所有が認められていないのだ。


浮遊島の住人たちは広い土地、大きな一軒家を夢見ていたのであった。

そのために給料が安くともある程度の町の中に土地と建物が貰える条件は破格となっていたのだ。

カインはマジルの町を拡張して特別地区を作る事を考えていた。もちろんカインの中で工事はアレクが遣るのである。その事をアレクはまだ知らない。


「カイン兄、募集上手くいっているみたいですね。」

「そうだよ、給料半額でも凄い倍率になっているぞ。」

「土地付き一戸建てが効いていますね。」

「アレク頼むぞ。」

「えっ、何言っているんですか。」

「マジルの町に特別地区をつくってくれ。艦隊の宿舎もな。マジルで金は払うから。訓練終了までに頼むよ。」


アレクはカインが自分勝手だという事を思い出した。簡単に特別地区と言っているが町の開発など普通は簡単にできる物では無いのだ。莫大な資金と労働力は必要なのである。それをさも簡単だろうというように頼むカインに怒りを覚えるのであった。


「カイン兄簡単に言いますがマジルに迷宮は無いですよ。かなりの時間がかかりますよ。」

「えっ、マジ。」


段々と顔色が悪くなるカインであった。カインは景気よく募集してきた者達に宣言してしまっていたのである。


「アレク、アレク様、アレク王様、何とかなりませんか。俺みんなにすぐ住めるって言ってしまったよ。」

「ハーーーー、カイン兄、流石にマジルの町は無理ですよ。マジルの町は少しずつ開発していきましょう。それまではオリオンの遺跡に仮の宿舎と家を用意します。家族持ちはそこで生活させましょう。」


「おおおーーー流石アレクだな。ありがと。」


このコロっと変わるカインの態度であるがなぜか憎めないのであった。





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