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610話 商人組合

「カイン様、ありがとうございます。」

領主は深々と頭を下げる。


「いいよ気にすんなよ。俺がやりたいようにやっただけだから。」


アレクはニコニコしていた。


「まぁまぁ領主殿もカイン兄も先の話をしましょう。」


「そうですね。これからが大事ですね。」

マジルの領主は真面目な顔でアレクとカインを見ていた。


「領主殿、カイン兄から大体の話は聞きました。カイン兄が街区長を処分したことも確認しています。そこでこれからの事ですが、まず1街区から4街区そしてスラム街合計5つの区画を纏めなければなりません。」

「はい、分かっています。ここまでお力をお借りしました。後は私と孫で何とかやって行きます。」

「領主殿、出来ない事をやると言うのは如何な物でしょうか。失礼ですが今の領主には民は従わないでしょう。もう少し実績をつくらなければなりません。」

「・・・・・・・・ですがこれ以上ご迷惑をおかけする事は・・・」

「俺たちは好きでやっているんですよ。カイン兄は親切の押し売りです。」


「ありがとうございます。」


アレク達はこれからの事を数時間に渡り話し合った。

アレクが各街区長の税収の調査、カインは町の警備、及び孤児院の建設(手配)そして領主は町の元有力者への協力要請であった。


「まぁとりあえずはこんなもんですね。」

「なぁアレク、これでスラム無くなるのか。」

「そんなすぐに無くなりませんよ。」

「だよなー、スラムに仕事が無いからだろうな。」

「いいえカイン兄、それだけではないでしょう。このマジルの町は交易の中継地点です色々な街道がこの場所に集まっているんです。だから人も集まっているんです。人が集まればあぶれる者も出てきます。他にも遊ぶ場所を求める者もいるでしょう。娼館や博打場、飲み屋などですね。この娯楽施設がある限りやくざやその類はい無くなりません。」

「じゃぁスラムは無くならないのか。」

「無くなりませんが作り変える事は出来るでしょう。」

「どうすんだ。」

「山の迷宮都市の様に警備隊(交番)を作りましょう。」

「あれか。解ったやってみる。」



それからのアレクとカインそして領主とリオネは忙しく町の為に働いていた。



アレクは税収の調査をきっちりと行なっていた。

街区長の元部下たちを集め一つ一つ確認していく。


「なるほど、マジルの町の税は6公4民なのですね。」

「は、はぃ・・」

「それでその6公部分は全て領主に納めていたという事ですか。」

「はぃ・・」

「おかしいですね、領主はその日の食事にも困っていたようですがね。」

「・・はぃぃ。」

「皆さんいいですか、もうみんな解っているのですよ。」

「・・・・・・・」


アレクは1街区から4街区迄の税の支出をすべて調べ上げた。

その頃にはオリオンから応援も到着していたので一気に仕事は進んでいった。



町の広場


「これから公開裁判を行ないます。」

アレクの言葉に民が注目する。


「まず、1街区から4街区は税を6公4民としていました。本来であれば3公7民であります。領主代理である街区長はその権限を使い不正を行なっていました。その部下たちも不正を行ない。そして賄賂も貰い。民を苦しめてきたのです。」


アレクは諸悪の根源は街区長とその部下であり。処刑する事を告げていく。


「いやだーー、俺は街区長に指示されただけだーー。」

シュッ。スパッ。

ポトリ。

アレクの剣で男の首が落とされた。



「「「「ひっ」」」」(処刑予定者たち)



「「「「「「「うおーーーーーーーーーー」」」」」」」」(民衆)



「次行きますよ。・・・・・・」


淡々と事実を告げて処刑していくアレクであった。


「これで税に関しての不正者の処刑は終了です。


この公開裁判は定期的に行います。誰がどのような犯罪を犯したのかを民に伝えるためです。民も罪を犯せば裁かれます。いいですかこれからは法が裁きます。法で裁けない物は領主が裁きます。」


アレクはこのマジルの町に法をつくったのだ。元々あったマジルの決め事をきちんと法として書面にしただけであるがこれがうまくいったのだ。



マジルの税は3公7民と確定した。

そして警備隊の設置(交番)孤児院の建設、街道整備など色々な事業が通達されていった。



領主館



「アレク様、ありがとうございます。」

「マジル卿、これからですよ。リオネさんもね。」

「それで商人組合の説明をお願いします。」

「そうでした。商人組合とはですね。このマジルで商売を行なっている者達を一つにまとめてそこで一括して税を納めてもらうんですよ。いちいち一つ一つの商会から税をとるのは大変です。人も多く必要になります。不正もあるでしょう。ですが商人組合に一括にさせれば組合の調査をきちんと行えばいいのです。万一不正が起こった場合はそこで処罰を行ないましょう。」

「不正は起こりますか。」

「ええ起こりますよ。必ず脱税を行なう者はいます。脱税者は処分の上財産没収とし、組合にも責任をとらせます。そのくらい重い法にしておかなければ不正の温床となりますよ。定期的な監査と抜きうちの商会調査をやりましょう。そうすれば商会と組合に違いが出れば不正となります。まぁ商人も処刑されることはしないでしょう。」



だがアレクの予想は大きく外れたのであった。組合の人選を推薦にしたことで初代組合長は一番力のある商会長であった。この商会長元は街区長と懇意にしていた者であったのだ。

商会組合は各商会から上がってくる税を誤魔化していたが、抜き打ちの調査で呆気なくばれてしまったのだ。

これが公開裁判で店名と脱税額などを民衆の前で告げたのだ。


これには商人たちが震えあがった。民からの信用で商売を行なえるのだ。その信用がなければこの地では商いが出来ない事になるのであった。




「んーかなり不正が多いですね。んーもしかして分かっていないのかもですね。」

「商人組合は何をやっているのでしょうかね。」


アレクは商人組合にの商館へ行くと。かなりの忙しさであった。


「新商会長はいますか。」

受付の女性にアレクはにこやかに話しかける。

受付の女性は笑顔でこたえようとアレクを見た瞬間に

「ヒッ、おおおお待ちくださいすすすぐに・・」

言葉にならない言葉を言いながら奥へといってしまった。


慌てて奥から新商会長がやってくる。

「アレク様、奥の貴賓室へどうぞ」

「いいや、この場で話そう。」


多くの商人や民のいる中での話となった。


アレクは商会の税は利益の3割としている、だが利益のきちんと表示できない商会が多くあったのだ。これは原価と売値をきちんと把握していない商会が多くあったのである。これを不正とひとまとめにすることができなかったのである。商会長にアレクはその事をきちんと告げていく。原価と売値の差額そして経費を引いた粗利も分からないようではいずれ破綻するだろうとアレクは付け加えていた。


「どのようにすればよろしいでしょうか。」

「はぁーー、それを商人でも何でもない者に聞くかー。商人は計算は得意ではないのか。」

「・・・・・」


「その為の商会組合だろう。各店に調査に行って指導しろよ。」


商人組合は少しずつ改善をしていったのであった。




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