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61話

オリオン領都ドック内


トントン、カンカン、とんとん。

「アレクス様、この部品はどうしましょう。」

「それは、中型艦6番艦に取り付けるから。」


「師匠、時間ですよー。」

「こら、伯爵様と呼べ。僕は伯爵だ。」

「まだ建国してませんよ。」

「予定だ。」

「予定でもなんでもいいですから、やってることは同じですからね。行きますよ。」


アレクは、ガレオン号に乗せられて、新領地南部に向かった。

「なあ、ユリ、伯爵になるのに家臣が6人って少なくないか。」

「オリオン家から人を借りている形の方がいいんですよ。アレク様。ご自分で給料、書類整理できます。」

「やだな。やれない。」

「そうでしょう。マリア様、イリア様に任せて、後は自由の方がいいですよ。」


ユリはアレクの直臣が増えると、全部自分に事務仕事が来るのを分かっている。だからアレクをなだめているのだ。

アレクに自由はない。それはオリオン家が、アレクに仕事を振るからだ。


「師匠、もうすぐ着陸しますよ。」


「了解。じゃぁ、行こうか。」「また馬車か、改良しないとな。」


アレク達は、馬車に揺られ、密会場所に向かっていった。


「バッハ男爵、お待たせしました。」

「いやいや、大丈夫、少ししか待ってない。」

「・・・・・」


「早速ですが、獣人の方たちの様子はどうですか。」

「それなんだが、人数が少し増えそう・・・・・・」

「えっ、聞こえませんよ。」

「人数が増える。」

「どのくらい増えそうですか。」

「分からん。」

「・・・・・・・・それは、まずいでしょう。」

「ワシも、人数制限をしたんじゃ。だが頭より体が少し早く動く奴らが多くてな。」

バッハはそっぽを向く。いいおやじが可愛くないぞ。


「それは、脳筋とどこが違いますか。」

「同じ、とも言うな。」


作戦の変更の話が続く。

グラムット帝国での獣人の扱いは、奴隷ではないが貧民として生活している者がほとんどだ。

なので、金銭を稼ぐために重労働や兵としてしか、稼ぐ方法がないのであった。グラムット帝国内なら移動も可能との事で、それなら自分たちで、出来る限り移動してもらうこととなった。

長旅が出来そうもない人や、早急に救う人を飛行船で輸送することとなる。


「人数が分からないのであれば、ピストン輸送しましょう。安全な場所に隠れてもらい、飛行船を繰り返し輸送します。これで行くしかありませんね。」

「すまんな。」

「それと、こちらは獣人たちの移動資金です。」ドサッ、ドサッ。「こちらから、物資を持ち込めませんからね。自分たちで調達してもらわないといけませんから。あと資金があれば、自力で国外に出ていける人も増えるでしょう。」

「決行は、いつ頃になるじゃろうか。」

「僕は、建国前が良いと思うよ。建国したらグラムット帝国も動きが出てくるでしょうからね。」

「そうじゃな、グラムット帝国は兵を集めるじゃろうな。」「よし、急がせよう。」


アレクとバッハは決行の場所等の打ち合わせを行い。飛行船も動かせる全部を投入することとなった。

飛行船も夜に移動して、昼は着陸して隠れ、また夜に移動と目的地を目指す。グラムット帝国は広い。獣人も帝国中に居るので、容易に移動は出来ないのだ。


バッハ男爵との密談も終わり、アレクは無法地帯の治安回復を急いでいた。

オリオン家の家臣たちに潜入させ、無法者を排除して治安の回復を行っている。アレクは報告を聞いていると、その家臣が地図を見せてきた。

「グラムット帝国の全体地図です。ここが無法地帯でこの先に大きな川が流れています。」

この家臣は、何ということもなく、ただの報告であった。

その川、運河は無法地帯とほぼ平行に流れているように書かれていた。

アレクは、家臣に川の詳細を知っている者を探させた。詳細を聞き取り、また計画の変更をハロルドに進言したのだ。ハロルドは、終始無言であった。


アレクは、忙しくなった。

獣人移動作戦前に、建国前に魔法使いを鍛えなければいけないのだ。国境壁を一気に造るためにどうしても人数が足りない。そこで魔通機料金を仕事請負を条件に無料として、人員の確保に奔走していた。マリア、イリアの指示のもと、効率よく動いていた。


ミルトン王国、他の南部の人々が殺到してきた。大変な騒ぎになり、一時、都市ブレストの都市機能が麻痺寸前までいったのだ。

マリア、イリアの部下たちは、その時の記憶が無いようだった。

後日、別の家臣があの時は、と話したとき不思議そうな顔をしていたので、聞いてみたら知らないと答えたという。  おそロシア。


「マック、こちらの人たちに、一つの詠唱だけ覚えさせる。こっちの人たちは、この詠唱で。」

「リックは向こうの人たちな。」「ユリは、報告書を頼むよ。お願いします。」

「・・・・・・今回だけですよ。」

「ユリ、毎回、今回だけって言ってないか。」

「リック、それは言ってはいけない言葉です。」

リックは、はっ、として訓練する人たちの元に駆けていった。

何事も無かったように、他の人たちは行動していた。アレクも何もなかった顔をしている。


みんな、大人だね。


アレク達は、各作業別の詠唱を教え込み、大量の作業員(魔法使い)を確保していく。今後も開発にも使える。無法地帯の開発もあるのだ。

何とか、訓練をして一人ではできないが、二人一組、三人一組なら作業が出来るようにしていったのだ。


そして、移動作戦も進んでいた。カインの大森林の街から応援(押しかけ)がきて多少の混乱はあったが、準備が整ったのである。大型貨物船5隻、中型貨物船4隻を4か所の集合場所に移動中である。

今回は、アレクが陽動作戦を考え、ガレオン号でグラムット帝国の帝都を偵察を兼ねた、上空飛行を行って注意を逸らす作戦が追加変更された。


「グラムット帝国。強行偵察作戦を決行する。準備はいいな。」



ガレオン号発進。


ガレオン号は、静かに離陸をして、グラムット帝国の帝都に舵をとった。



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