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608話 マジルの世直し

カインが1街区の者達を公開処刑している所に高そうな服を着た男と騎士達数十人がカインを囲むように動く。


「なんだお前たちは。」

「あなたを捕らえに来たんだよ。カイン・オリオン。」

「へー俺のこと知っていてこれだけしか連れてこれないのか、お前力ないな。」

「お前なんか30人の精鋭騎士で十分だ。やれ。」


男の言葉で騎士たちは一斉にカインに斬りかかる。


そして1分も建たないうちに騎士たちは地べたに転がっていた。


「ヒッ。」


「さっきの勢いはどうした。ところでお前は誰なんだ。」


「私は1街区の副街長だ。」


「なら死ね。」ボコッ。  グシャ。


「いいかよく聞け。これから2街区、3街区、4街区に行く。領主に従わない者は全て殺す。町の者達も良く考えろこんないびつな町ないぞ。マジルの町はこのカイン・オリオンが後ろ盾になる。俺に勝てるなら挑んで来い。町の者達、何か問題があれば領主館に来い助けてやる。」



「「「「「「おおおおおおおおおお」」」」」」」



カインは言いたいことを言うと2街区へ向かっていった。


「ねーカイン。かっこよかったよ。」

「へへそうだろう。俺も決まったと思っていたんだよ。」

「でもどうすんのカイン。」

「ん何が。」

「カイン内政とか政治出来ないでしょう。」

「へへへ、俺には多くの友達がいるんだよ。その中にな頭のいい奴がいるんだよ。前にアレクが言っていたんだ。サージとコークは内政に向いているってな。」

「でも今ここにいないんでしょ。」

「あっそうだった。如何しようーー。」

「いいよ僕がそのサージとコークを連れてくるよ。どこにいるの。」

「あー山の迷宮都市にいる。」

「山の迷宮都市の場所わかんないよ。」「ならマリア姉とイリア姉の所に行って聞いて来いよ。もしかしたらマリア姉とイリア姉が人手配してくれるかもしれないしな。」

「そうだね多分やってくれるね。じゃ大至急行ってくるよ。じゃーねー。」


レッドはカインの肩から飛び上がると体が大きくなっていく。そして猛スピードで飛んで行ってしまった。


カインは人に聞きながら2街区の長の館にやっとたどり着いた。そこには1街区の噂がもう流れているのだろう。門は閉ざされ臨戦態勢であった。


「へーー、情報が早いな。だけど無駄だぞ。」


カインは閉ざされた門を軽々と飛び越えてしまった。

呆気にとられる兵達、門ではカインの侵入を止めるために兵を100人用意していたのだ。それが門を突破することなく飛び越えてしまったのだ。

門を飛び越えたカインは館には向かわずに門へ向かう。


再起動した兵士たちはカインに向かって弓を放ってくる。


ピュンピュンピュン。


カキンカキンカキン。


カインの周りに矢が落ちていく。


「へへへ、俺に矢なんて効かないぞ。俺の体は超合金で出来ているからな。」


カインの体は普通の体である。決して超合金などではない。カインは身体強化を常にかけている。そのために魔力がカインの周りに影響を出し一種のバリアを作っているのであった。これはアレクでも出来ない(やらない)芸当であった。アレクはこの現象を観察して再現しようとしたが常に全力の魔力で身体強化をしていなければならず。かなり非効率な魔法である事が分かったのだ。


「よーーし次行くぞ、敵さんたち見ていろよ。俺様の新技だ。 いくぞーー気合いだーーー。」


カインの気合いだーの言葉と共に威圧が放たれた。その威圧を受けた兵士たちはもう動くことが出来なかった。だがそれだけでは無かった。カインは兵士に向かって気合いだーを放ったつもりであったが。360度すべての方向に放っていたのであった。屋敷内はもちろん、周りの家々にも影響が出てしまっていた。そんな事とは全く知らないカインは館の中に入ると気絶している者達を見てびっくりしていた。



「おい大丈夫か。病気か熱は無いな。んーー分からん。」



館内の者達は皆倒れている。カインはまぁいいかと考えを改めて2街長を探す。だが皆倒れている為に誰が街長なのかが分からなかった。

カインはしかたなく全員を縛り上げて高級そうな服を着ている者数人を町に引きずっていった。



「おーーい、この中に2街長はいるか。」



カインは町の町人に聞くことにしたのだ。町の人々はもう噂が流れているのであろうかなり協力的になっていた。


「この男が2街区長です。」


普通の男であった。中肉中背のなんの特徴もない男である。


カインはぺシぺシと男の頬を叩く。男はやっと目を覚ますとカインの姿を見て驚き逃げようともがいている。


「おい逃げれないぞ、」

男は少し冷静になると自分の屋敷ではなく町にいることに気づいたのだ。


「・・・・金をやる。殺さないでくれ。街区長もやめる領主に権限も戻す。」

「へーー1街区の長とは違うなかなり素直だな。だけど信用できないな。今まで何度も権限を戻す機会があったはずしな。」

「・・・・・・た頼む。殺さないでくれ。」

「いいよ俺は殺さないでやる。審議は町の者に任せる。この2街区にいる者達、この男の生死を決めろ、この男が町に必要であれば生かせ、有害であれば死をだ。」


街の者達は男の周りに集まっていく。男は何とか助かろうと必死に知っている顔を探す。何か喚いている。

街の者達は、怒りの表情をしていた。このマジルの町では領主が力を失ってからは税は上がり息を殺して生きてきたのだ。


「やっ止めてくれー。頼む頼む。・・お願いだ。・・これからはきちんとやる。たたす・・・」


街区長は住民たちに殴り殺された。住民の中には多くの被害者がいたのだ。街区長の力を使い、法を歪めやりたい放題をしていたのだ。街区長の側近であろう者達も全て住民たちの餌食となっていた。それを黙って見ているカインであった。



「もういいか。」


カインが住民たちに声を掛ける。


ハッとする住民たち

「お前たちにも色々あったと思う。だけど過去はもう戻らない。先をみて生きなきゃな。俺も良く分からないけど、これからこの町をよくしていこう。」



一人の民が泣きながら


「ありがとうございます。これで妻の敵をとれました。」

「そうか。」

カインはそれ以上何も言わなかった。言えなかった。

涙の溢れるその男を見ていると何も言えなくなっていた。


カインはそれから3街区、4街区と街区長を殺していった。必死に抵抗する街区長とその部下たち、カインは少し不思議に思った。何故逃げなかったのか。幾ら敵がカイン一人と言ってもカインはオリオンでありかなり有名になっている。

ほとぼりが冷めるまで身を隠すこともできたのだ。


カインは4街区の幹部であろう者に

「おい。何で逃げなかったんだ。」

「逃げる場所なんかないんだよ。俺たちは力でこの町を支配しているんだ。力が無くなれば殺されるだけなんだよ。」



あーーそうなのか、カインは初めて力がすべてではない事を理解できた。

以前にカインはアレクに言われた事を思い出す。カインは力だけならば兄弟の中で一番だろう。だがカインはルドルフにもレオンにも敵わなかった。悔しがるカインにアレクは力で押さえつける事は一時的には出来る。喧嘩も政治も同じだと。ルドルフもレオンも戦略を練ってカインに挑み勝ったのだ。

多少意味は違うがカインは自分の中にスッと入っていった。妙に納得できたのだ。




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