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602話 えっオーガ

アレクはオリオンの遺跡(村)まで戻っていた。


「アレク様。」

「どうした。」

「アレク様が出ている間にダメーズ領の使者が何度か来ております。領主不在と伝えて追い返しておりますが、かなりしつこいです。」

「ダメーズ領の用件は分かるか。」

「はい、オリオンを傘下にというか吸収するつもりです。」

「はっ、ダメーズ領は馬鹿なのか。」

「・・・・ですね。」

「まぁほっとけ。そのうち諦めるだろう。」

「よろしいのですか、ダメーズ領が攻めてきませんか。」

「攻めてきても撃退するだけだ。今オリオンはルドルフ兄の領地、レオン兄の担当するダーイア王国、風来坊の問題児のカイン兄で手一杯だ。このオリオンの遺跡も人が増えているしな。ダメーズに構っている暇なんてないよ。」

「了解しました。それと子供たちの教育ですがかなりの成果が出ています。」

「へーー、凄いねやっぱり子供だと物覚えがいいんだね。」

「農民の子たちは文字も数字も初めてでしたが、あっという間に覚えました。大人の方が問題ですね。」


苦笑いをしている騎士に対してアレクも苦笑いで答えている。


農家の子供など勉強を教える事で将来オリオンの利益になる。子供が覚えた文字などを親に自慢して親も文字を覚えようと思う者も出てきていたのだ。だが大人は子供ほど柔軟では無かった。かなり苦労しているようであった。


「まぁ時間をかければ覚えるだろう。数字だけでも読めれば商人に騙されることも少なくなるだろう。」

「アレク様、村で商売、いいえ店を開きたいと申すものが幾人かおります。」

「素人、それとも行商人。」

「行商人です。」

「そうだねまだ土地の所有は認めてないから、土地を貸す方法でいいかな。」

「了解しました。そのように手配いたします。」



アレクは次々と滞っていた案件を処理していく。

オリオンの遺跡ではアレクが当主なのだ。改めて領主の大変さを実感していたアレクであった。


「カイン兄め、いつか仕返ししてやる。」


アレクはどこへ行ったか分からないカインを恨んでいた。カインにしてみれば周辺調査をしているだけであった。人から見れば遊んでるともいう。



オリオンの遺跡にまた移民希望の者が現われた。


「またか。」

「はい。」

「何人ぐらいだ。」

「それがですね。一人です。」

「へっ、別に一人ぐらい問題ないだろう。」

「人ではないんです。」

「ん?人ではない。魔物か、そんなわけないよな。」

「・・・・・・・」

「まさか本当に魔物なのか。」

「はい。」


アレクは急いで門へと向かった。


そこには大きな体のオーガがいた。


「アナタガ、コノムラノリョウシュサマデスカ。」

「俺が領主のアレクだ。オーガ種なのか。」

「ハイ、オーガデス。ワタシタチノセンゾハオリオンニタスケラレイキノビマシタ。」

「まさかあの伝説の魔物の国か。」


そうそれは3000年前に建国された魔物の楽園であった。そこは人と魔物が平和に暮らす町や村であった。

その楽園は他が戦争しても我関せずで

かなりの長い間平和を維持していたが、幾度かの世界大戦の影響で衰退していった。その時に各地に平和的な魔物たちが散らばっていったのであった。

この場にきたオーガもその一つの流れなのだろう。


「この辺にいるオーガとは肌の色が違うようだな。」

「ハイ、ワタシタチハナガイネンゲツノアイダニカワリマシタ。」


野良オーガとこの場にいるオーガとは肌の色が違っていた。野良オーガの肌はかなり赤い、だがこのオーガは赤が薄くなっている。色白の人間が日焼けしたような感じである。


「移住希望はお前ひとりなのか。」

「イイエチガイマス、イジュウヲキボウハオーガノムラゼンインデス。」

「何人ぐらいいるんだ。」

「120ニンデス。」


アレクは移住させても問題は無いと思っているが、多くの者達はそうは思わないだろう。

そこでアレクはオーガノ村へ行く事にしたのである。


「一度オーガノ村を見てくる。留守は頼んだぞ。」

「えっ、はい了解しました。」


「オーガの、名は何という。」

「ハイワタシハ、オーガゾクチョウノキジマルトモウシマス。」

「キジマルか、オーガノ村へ行くぞ。遠いのか。」

「ココカラ2ツキノキョリデス。」




アレクはガレオン号に乗りオーガの村を目指した。



「へーー、ここがオーガノ村か。」


そこはかなりさびれた集落であった。人との関係を持てなくなった魔物であるオーガは山奥へと移り住むようになっていた。そのために生き延びる事が出来たのだ。


「キジマル。」

「はい。」 (本当は片言の言葉なのでカタカナです)

「この村では生活が出来ないな。」

「はい、山の中ということも有りますが農地がほとんどありません。狩りで生活していますが、人の里に行かなければ鉄が手に入りません。」

「そうか、鉄の武器が無ければ己の体だけだものな。」

「はい、幸いオーガは他の魔物に負けない体格があります。ですが・・・」

「分かった。ここを再建しよう。この村に行商を来させるようにする。今は人と魔物であるオーガに慣れていない。少しづつ慣らして住めるようにするからそれまで待ってくれ。その代りこの村を住みやすくさせるからな。」

「ありがとうございます。」


それからのアレクは早かった。オーガ村の建物ははっきり言って掘っ立て小屋より粗末なものであった。釘も金槌もないオーガたちである。蔓で縛った木で小屋をつくっていたのである。


アレクは食料と斧、金槌、釘、ロープ、農機具などをこの村に運んだ。


「よーしこれから木を伐採していくぞ。」


「「「「オー。ガ」」」」」


オーガたちは皆力がある。オーガも木を倒すことは出来るが道具が無ければ加工できないのだ。斧や金槌が無ければまともな家が出来ないのだ。


「材木はガレオン号で運ぶ、それで家を造るぞ。伐採した木材は乾燥させておくようにな。」

「はい分かりました。」


120人の小さな集落は倍ぐらいに広がった。

アレクの運ぶ木材だけでは到底足りなかった。そのために生木も使う事になるが、のちに建て替える予定となった。


「まぁ家は集団生活だけど何とかなるだろう。後は農地だな。」

「アレク様、私たちはあまり農業に向きません、体が大きいために農作業が得意ではないのです。」

「あーー、そうだね。でも少しぐらいは農地がないと野菜とか食べないとね。あっそうだ子供たちに農作業をお願いしてみてはどうだ。大人はこの村までの街道の安全とオリオンの遺跡の警護だな。それで金を稼いで物を買ってくれ。」

「ありがとうございます。オーガの子供であればまだ農作業も出来るでしょう。何しろ野菜をこの手でつかむのにかなり苦労しますから。ハハハハ。」



そうオーガはかなり大きい手も人の倍以上あるのだチマチマした作業は難しいのであった。






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