575話 レッド、ブービ村強襲?
アレク、カイン、レッドは作戦会議をしていた。
「今回の主役はレッドだな。」
「へへへ頑張るよ。」
「じゃぁ作戦をもう一度おさらいだ。ブービ村へレッドが強襲する。そこで村人に生贄を要求するんだ。」
「要求だけだよね。食べろとは言わないよね。僕、人は好きじゃないんだ美味しくないもん。」
「レッド食べないよ、脅して連れて帰ってくる作戦だよ。」
「ほッ、良かった人なんて食べたら僕のお腹痛くなっちゃうよーー。」
「レッドはデリケートだからな。魔力の籠った肉じゃないと駄目だもんな。」
「そうだよ、表面だけあぶった照り焼きソースの・・・・・」ポタリ
「あーーーー。きったね~ーレッドーー俺の頭に涎が落ちてるぞーー、涎を拭けよ。」
「ごめん、カイン。つい肉の美味さを語ってしまったよ。ジュルり。」
「ここまで良いか、ブービ村は生贄で小作人を出してくる。これは間違いないだろうね。自分たちが生贄になるなんて絶対しないだろうからね。」
「でもアレク、一度に250人も要求して大丈夫かー。」
「そこなんだよねーー。数回に分けるか。一度にするかなんだよねー。」
「僕に任せてよ。僕が主役なんだよ。ドラゴンの威厳を見せてやるんだ。」
アレクはレッドの張り切る姿を見て不安が広がっていった。張り切り過ぎると失敗する奴がいる。
まさに今のレッドのような奴である。
カインはレッドが失敗するとは思ってもいないようだ。ニコニコしている。
「明日にはガレオン号が到着するからガレオン号が来たら決行だ。」
「「おーーーー。」」
翌日、朝日が昇った頃にガレオン号が姿を現した。
「おーーーい、アレクーー、カイーーーン。」
「あっレオン兄ぃーーー。レオン兄が来てくれたんですか。」
「嗚呼、兵士も10人連れてきたぞ、新しい領地で使ってくれ。」
「おーーありがとうございます。レオン兄。」
「それよりお前たち派手にやっているようだな。凄い噂になっているぞ。」
「えっ、そうなんですか。どんな噂ですか。」
「アレクが剣聖でカインが拳聖だな。二人だけで15000の兵を殲滅したと商人を中心に噂が広まっているぞ。オリオンの伝説だって言っていたぞ。」
「剣聖ですか、それにオリオンの伝説って何ですか。」
「嗚呼、オリオンの伝説はな、何でもこの地域では世が乱れる時にオリオンの系譜があらわれ乱を鎮めるという物らしいな。俺もよくわからん。」
「へーー、でも剣聖は無いですね、俺魔法使いですからね。」
「だよなーー、俺もそう思うよ。アハハハ。カインは拳聖ってのはぴったりだな。接近戦特化だからな。」
「ヘン、俺は無敵だからな。」
「レオン兄作戦が終わるまでいてくれるんですか。」
「嗚呼、帰る足が無いからな。」
「ですよね。」
「レッド、準備はいいか。」
「任せてよ、アレクぅ。」
「ドラゴンの威厳を示してきてくれ。頼むぞ。」
「んじゃぁー、いってきまーーーす。」
レッドの言葉とは裏腹に威厳に満ちた姿は、黙っていればもの凄い威圧があるレッドであった。
ブービ村は今日も何にも変わらない一日が始まっていた。小作人たちは朝早くから畑に出ていき働いている。だが小作人たちの顔は笑っているような感じがしている。足取りもいつもより軽やかな感じであった。
ブービ村の地主たちもいつもと変わらぬ朝を迎え、朝食をとり畑には行かずに家の中で寛いでいる者が多い。地主たちのほとんどは一日中家の中でゴロゴロしている者が殆どであった。一部の者は村長宅で
働いている者もいる。兵として雇われている者達である。
ブービ村では独自の制度があり兵は従士となっていた。村長は騎士長としているのである。正式には騎士でも何でもないのだが他の村人と区別するために騎士や従士としていたのである。
いつもと変わらない村に異変が起きたのだ。
村の門を守る兵の一人が遠くに見えるドラゴンを発見したのだ。まっすぐにこの村に向かっているドラゴンを見つけた兵は 「ドドドドラゴンだーーーー。」
叫ぶ兵に同僚の者達は驚き、そして逃げ出した。
「そそそそ村長ーーー、大変です。ドドラゴンが向かってきてます。」
「おーー、あの手傷を負わせたという。ドラゴンか。ならばその者達に討伐させよ。」
この村長、数日前に逃げ出した兵の言葉を信じているのである。
ドラゴンなど見たことが無い為に簡単に勝てると思ってしまっていたのだ。
門兵は急いで噂の剣豪たちに伝えに行ったのだ。村長宅の近くに住む者たちである。連絡は簡単であった。
だがいくら待っても表に出てこなかったのだ。その間にドラゴンは村の入り口に着地していた。
ギロリと村の兵を睨むレッドである。
「ひぃ。」
「おい人間。ここに逃げた者がいるな。連れてこい。」
ドラゴンが言葉を喋った事に驚く門兵であったが今はそれどころでは無い。(逃げた者?まさかドラゴンを手傷を負わせた者達を追ってきたのか。これはやばいぞ。)
門兵は
「おおおおお待ちください、もしかしてドラゴン様に手傷を負わせた者達でしょうか。」
「手傷だとぉぉぉぉ、人間風情が我に傷をつけることなど出来ぬわ。そいつを連れてこい。グオオオオオーーーー。」
「はははいただいますぐに連れてまいります。」
ピュッと音のしそうな勢いで門兵はすっ飛んで村へと走っていった。
誰もいなくなった門で一人待っているレッドであった。
(僕もやれば出来るじゃん、出来るドラゴンだよなー、やっぱり僕は威厳があるんだなー、えっへん)
だが一時間待っても誰も門に来なかった。
門兵は急ぎ村長宅にまで来ていた。ドラゴンが喋れる事ドラゴンに傷を負わせたものを連れてこいと言われたことを伝えたのだ。
門兵に怒り狂う村長は、急いでドラゴンの英雄たちを呼んだのだ。
「お前たち本当にドラゴンに手傷を負わせたのか。」
「「「「「「「・・・・・・・」」」」」」
「手傷を負わせたのならばドラゴンに勝てるのだろうな。」
「「「「「「「・・・・・・・」」」」」」
「どうなのだ、ドラゴンが手傷を負わせたという物を連れてこいと言っているぞ。喋るドラゴンだぞ。」
「もも申し訳ございません村長。ドラゴンに手傷を負わせたことはでたらめです。ドラゴンの姿を見て逃げ出しました。」
「きっ貴様らーーーっ、ドラゴンが怒ってワシの村に来たのはお前たちのせいか、お前たちはドラゴンの前に行って謝ってこい。」
「そそ村長ーー、殺されます。許してください。お願いします。」
「フン、そんなこと知らん。ドラゴンをこの村から追い出せ。出来なければお前たちはこの村で小作人にするぞ。」
この小作人という言葉は村長の伝家の宝刀である。ブービ村では小作人は絶対になりたくない職業ナンバー1なのであった。




