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574話 ダメーズ領とブービ村

オリオン城内で子供たちが必死で食事をとっている。


「ううまい。」

「うまーーーい。」

「あまーーい。」


「みんな沢山あるからねー。」


「「「「はーい」」」」


子供たちはお腹一杯ご飯を食べて大満足のようだ。少し落ち着いたところでアレクとカインは一人の少年と話をする。


「ああのありがとうございます。ぼ僕はダメーズ領のブービ村のトリス10歳です。」

「トリス君か宜しくね。俺はこのアレク。トリスたちを助けたのがカイン兄だよ。」

「カイン様ありがとうございます。一生懸命働きます。」

「おう頑張れよ。」

「トリス少し聞きたいんだけど、ダメーズ領に親はいるんだよね。」

「はいいます。だけど税金が払えなくて僕たちは売られることになっていました。」


アレクはトリスの話を聞いていくと。ダメーズ領のブービ村では麦の収穫が激減しているために税金が払えなくなってしまった。そこで子供を売って税の代わりにすると領主が提案してきたのである。領主もこのままでは村の存続が危ういと考えたのだ。子供を売れば今年の税の免除を約束したのである。


「村にはどのくらい人がいるの。」

「村長の話だと400人だって言ってました。」

「かなり大きな村なんだね。」

「昔、二つの村をブービ村にまとめたと言っていました。」


詳しく聞いていくとかなりひどい状況であった。ダメーズ領のブービ村は村長も平民なのだが平民の中でも身分差が出来上がっていた。元のブービ村の村民たちが地主となり、吸収した他の村民を小作人として使っているのであった。

地主と小作人は何処にでもいる。決して珍しいものでは無い。

だがこのブービ村はかなり酷い扱いをしている。吸収された村人は奴隷のようにこき使われているのだ。


「んーーー、聞くとかなり酷いようですね。」

「なーアレク、村長も酷いやつだけど領主も税だけとって何もしていないよな。」

「そうですね、子供たちだけしか話は聞いていませんから全て本当かは分かりませんが扱いはかなり酷いようですね。」

「アレクどうする。小作人達を引き抜くか。」

「カイン兄も悪ですねーーー。」ニヤリ

「アレクー、そんな褒めんなよー。」

「褒めてませんよ。」

「・・・・まっいいか。アレクこれからどうする。」

「まずはトリスたちの親と話をしましょう。それからですね。」


アレクとカインはトリスに村の場所を聞き出し、二人で村へ行く事を伝える。その間はこの城で生活するように伝えたのだ。


「えー、僕たちだけでここに住むのですか。むむ無理です。」

「大丈夫だよ、数日だけだから食料も足りるよ。それにここは守られているから心配ないよ。」

「お城ですよ、平民が城に住むなんてできません。」

「あっ、そこかーーー。」


アレクはトリスを説得していく。「平民は城に住んでいいんだ。でもここは城じゃない、城に見えるが普通の家だ」と謎の説得を繰り返したのであった。

トリスもアレク達の話を分かっているのだ。自分たちを助けてくれたのだ。それに親まで助けようとしてくれているのである。トリスは出来る限り協力をしようとしているが根が貧乏小作農家である為に城に住むなど考えられなかったのだ。


「トリス、大丈夫だよ数日だけだからね。」

「ががんばります。」



翌日アレク達はレッドに乗りブービ村へと向かった。


レッドに乗れば1時間とかからない距離であった。


「カイン、ブービ村に直接降りる?」

「いや、それは拙いだろう。なーアレク。」

「そうですね、レッドにびっくりして村人がバラバラに逃げてしまうでしょう。村から離れた場所に一度降りましょう。」


アレク達は村からかなり離れた場所に降り立った。


「カイン兄は村の様子を見てきてください。レッドはこの場で待機です。俺は村以外を偵察してきます。夕方にここで落ち合いましょう。」

「おう分かったぞ。トリスの家に行ってみるよ。そこで話をしてみる。」


二人はそこで別れた。カインは村へと向かいアレクは周りを偵察に行ったのであった。



アレクは身体能力を活かしブービ村の周りの村を見て回っていた。

トリスからブービ村の事を聞いていた事で他の村も同じようになっているのかを確認するためであった。

ダメーズ領すべてを見る事は出来なかったがかなり酷い領主のようだ。


ダメーズ領はかなり広い領地であった。元は100以上の村があり今は50前後の村がある。町は3つありそのうちの一つが領都となっている。貴族としてダメーズが領主となっているがまるで王様のような立場である。そして村長などは平民であるがまるで貴族のような振る舞いであった。

王国を名乗っていないが一つの小さな国のようであった。


「この隠蔽魔法凄いな。」


アレクは調査を終えるとレッドの待つ集合地点へと向かった。



「カイン兄、どうでしたか。」

「アレクお帰り。こっちはトリスの親父と話せたぞ。トリスが無事で喜んでいたな。」


ブービ村ではドラゴンに襲われた村の兵士が逃げ帰っていた。そこでは話が大げさに伝わっていた。逃げた兵士も子供たちを置いて逃げた事を言える訳もなく。ドラゴンに食べられたと報告していたのである。

逃げた兵士たちは逃げて転んだけがを戦って負傷したと言ったり、ドラゴンに傷を負わせたと言ったりと好き勝手に話を大きくしていた。


「マジですか。ドラゴンと戦って名誉の負傷ですか。それならレッドにブービ村へ行ってもらいましょう。カイン兄はトリスの親に連絡を取って移住する意思のある者達を集めてもらいましょう。」

「分かった。明日にでももう一度行ってくる。そうなるとレッドの出番は明後日以降だな。」

「カイン、任せてよ、僕と戦った勇者に会いに行ってくるよ。へへへへぇ。」


「レッド、ほどほどにな。あんまり話を大きくしないでよ。」

「アレク、ダイジョウブダヨ。シンパイナイネ。」

「ハーーーー、まぁレッドに任せるよ。」


翌日は朝からアレクは領都の調査(レッドと一緒)カインは村へと向かったのだ。


カインはトリスの父親と話した。他に移住する者達を取り纏めも頼んだのだ。カインはトリスの父親と話していると意外に移住希望者が多くなると言われた。小作人の全員になると言われたのだ。


「マジか、何人ぐらいいるんだ。」

「250人以上はいます。」

「・・・・一度には無理だな。一度帰って相談してくる。」

「お願いします。」


意外に移住希望者が大人数となった事でレッドの襲撃は延期となった。



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