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571話 オリオンの領地

「任せるとは、この城をくれると言う事ですか。」

「そうだこの城とその周辺だな。」


アレクはアームストロングを見る。


「アレク殿、この周辺は誰の者でもない。木々の育たない場所だ。誰も欲しがらなかったんだ。そしてこのオリオンの遺跡だ。」

「そうですか、管理者さん。木々が育たないのは制御しているんですよね。」

「ほーー、そこまで分かっているのか。」

「ええ、魔力が土地の中で動いていましたからね。」

「この周辺はワザと木々が育たないようにしているんだ。いずれ現われるオリオンの為に不毛の地としていたのだ。」

「ありがとう。この土地を発展できるように頑張るよ。」

「そうかアレクよ。多分お主は分かっていると思うが、この地には魔力が溜まりが出来ている。一部の魔力を使い迷宮も出来るだろう。有効に使ってくれ。」

「管理者さん、やり方が分からないんだけど・・・」

「フォフォフォ、心配するな迷宮を創る迄指導してやる。迷宮作成後は管理者である私が迷宮核となるのだ。いつでも聞きに来るがよいぞ。」



アームストロングはアレクと管理者の話についていけなかった。不毛の地をオリオンに譲る?迷宮を創る?そんなこと簡単にできるのか。信じられん。馬鹿にしているのか。ありえないだろう。

アームストロングは一人心の中で騒いでいた。


「管理者さん、この城の部屋を使っていいかな。」

「あーアレク達なら構わんよ。だがまだ東の一部だけにしてくれ。あそこなら100人程度の寝泊りが出来るだろう。まだ準備があるからな。」

「了解。東館だね。」


アレク達は、管理者の部屋を出て東館に移動したのだ。


少し落ち着いたアームストロングはアレクとカインの部屋を訪ねていった。


コンコン


「はーい、どうぞー。」

「アレク殿、カイン殿少し話をしたくてな。」


アームストロングはダーイア王国の領主である。このオリオンの遺跡はダーイア王国の領土ではないが隣接地である。


「アレク殿、このオリオンの遺跡を発展させると言っていたがこれからの考えを聞いておきたくてな。」

「そうですね、このオリオン城を中心に都市を造り迷宮都市にします。この辺では迷宮がないと聞いています。迷宮からとれる素材は貴重でしょう。周辺の領主や国にとっても有益でしょう。」

「アレク殿はそう考えるか・・・・」

「どういう事ですか、まさかダーイア王国はこの地を占領しようとするのですか。」

「・・・・・・ダーイア王国はそう考えるだろうな。この地が管理者殿の言う通りの地であればある程度開発が進んだ段階でこの地を占領しようと思う者が出るだろうな。」

「フン、そんな事させるか俺が守る。」

「カイン兄がいれば問題ないですね。俺たちには他にも兄弟姉妹がいますから周りの国々が敵になっったとしても守り切れますよ。アームストロング殿はいい人ですね。ダーイア王国の貴族なのに俺たちの心配してくれるんですね。」

「私はダーイア王国貴族の前に領主だからな、領民の平和と安定を優先する。」

「近くに話の分かる貴族がいる事はオリオンにとってありがたい事ですね。ねぇカイン兄ぃ。」

「そうだなー。アハハハハ。」


それからアレク達は数日かけて管理者からこの地の確認をしていった。城を中心に10キロは不毛地帯であるが最初は半径30キロほどが不毛の地になっていたという。だが魔力の制御装置が破損したために半径10キロに縮小していたのである。

半径30キロを領地として宣言するか、半径10キロを領地として宣言をするのかをアームストロングの地理の知識を確認しながらアームストロングも含めて協議していった。


「半径30キロだと他の国の領土になっているんですね。」

「そうだ、ダーイア王国の領地にも接触してくるな。半径20キロでギリギリ、半径15キロならば問題は無いだろうな。」

「川方面は誰かの土地になっていますか。」

「川方面は、よその国の土地でもないな。川まで行っても問題は無いな。まぁ村位はあるかもしれんが問題は無いだろう。」

「分かりました、ありがとうございます。」


アレクはオリオン城を中心にギリギリの半径20キロを領地として宣言する事にした。一気に開発など出来ないが、いずれ敵になるのだと考えていたからである。

「アームストロング殿とはこれからも交易をしてもらいたいですね。」

「こちらからお願いしたい。交易での利益は莫大だからな。」


アームストロングはダーイア王国がこれから荒れる様であればオリオン寄りの立場をとる事を考えていた。ダーイア王国はこれから荒れる。4盟主が実権争うをするからである。邪魔な法衣貴族の排除が出来たのだ。4盟主がその抜けた法衣貴族の席を奪い合うのだろう。まだまだダーイア王国は平和にはならないだろうと考えていた。そこでオリオンとの交易が力を発揮すると考えているのである。便利な魔道具などである。


「ダーイア王国の盟主に口添えをしておこう。」

「お願いします。アームストロング殿。」


数日後アームストロングは精鋭たちを従えて領地に戻っていった。


アレクとカインは二人この場に残っていた。


「カイン兄はレッドと一度戻ってください。その間にこの地を開発しておきます。」

「俺はルドルフ兄を連れてくればいいんだな。」

「お願いします。」


カインとレッドは開発地に向かって飛び立っていった。


残されたアレクは管理者の元に行く。


「管理者さん、みんな一度戻っていきましたよ。」

「そうか、今はアレク一人だな。」

「そうなりますね。何か意図があったんですか。」

「アレクに伝える事があるのだ。他の者がいると少々面倒でな。」


それはアレクス・オリオンの残像の事であった。アレクス・オリオンが亡くなった直後にアレクスの残像が迷宮に現れた。この残像はアレクスの姿形はもとより考え方も同じである。だが3000年もの間にだいぶ変わってきていた。残像自体の能力が失われてきているのである。残像に変わる物がいなければ迷宮の維持が出来なくなってしまうのである。


「それを俺にやれってこと。」

「そうだな。」

「無理でしょう。」

「世界が滅びるぞ。」

「滅びないでしょう。」

「いや迷宮が暴走すれば世界なぞ、簡単に滅びるぞ。」

「マジ・・・」

「迷宮は今でこそ管理されているが、昔は野放しだったんだ。だが迷宮もオリオンの時代に知識と意識が芽生えた迷宮がある。きちんと管理をしなければ暴走する迷宮もあると言う事だ。各迷宮には迷宮主がいるがその上に立つ者が今の残像なのだよ。」


「誰にも知られてはいけないんだね。」


「そうだ、人は皆欲深い生き物だからな。世界の富を独占できるのだ。争いにならない方がおかしいだろう。アレクよ、だからお前だけなのだ。残像は元はアレクス・オリオンの魔力だ。アレクと同じ魔力なのだ。後を継げることができるのはアレクしかいないのだ。」


「・・・面倒くさいな。」

「まぁ他に適任者がいればそいつにやらせればいいだろう。とりあえず早急にやらねばならんのだ。」

「分かったよー、その変わりここの開発を手伝ってよね。」



アレクはかなり簡単に考えていた。だがかなり重要な事柄であった。気づくには大分後になってからであった。


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