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545話 ローエム派とオリオン派

アース大陸北部の西にクレシ王国がある。このクレシ王国は戦争もなく平和な日々を送っていた。

王も貴族も平和的で争いとは無縁であった。

だがここにきてローエム帝国、オリオン王国の両陣営が接触してきている。

アース大陸でどのようにまとまるかをローエム帝国、オリオン王国がけん制し合っているのだ。

両国は同盟関係にあり戦争とはならないのだが、貴族達は意識が違った。特にローエム帝国貴族はオリオンには絶対負けない、オリオンの風下には立たないとローエム帝国を支持するようにと各国に圧力をかけているのである。

そんな事で平和なクレシ王国にローエム貴族とオリオン貴族(外交官)が押しかけているのであった。


クレシ城


「ハーー、今日もまたローエム貴族の謁見か。」

「陛下仕方ありません、戦争など我が国では出来ないのです。ローエムかオリオン、どちらかに味方するのかを決めませんといけません。」

「そうなんだが地理的にはローエム帝国なのだが、あの貴族達はどうも好かんのだ。オリオン王国の方がきちんとしているのだ。」

「オリオン王国は内政もしっかりしております。それに比べローエム帝国は貴族主体の地域が多く貧富の差が激しいと思われます。」

「わがクレシ王国と同じだな。王都は豊かになったが田舎ではまだ貧しい暮らしをさせているな。」



クレシ王国では今日も同じ話が城内で繰り広げられていた。



そのクレシ王国の片田舎の小さな町に家督争いが生じている男爵家があった。


この男爵家は男爵の急死によって長男と次男で家督を巡り争いになっていた。男爵家を二分して長子である事を前面に出して家督を主張する長男と己の優秀さを武器に家臣たちを纏めている次男が争っていた。街でも民たちは長男派、次男派に別れ口論するほどになっていた。

この争いはローエム派、オリオン派という事に迄なっていた。


長男はローエム派、次男はオリオン派となってクレシ王国まで争いが飛び火していた。

両陣営を応援するローエム貴族と、オリオン貴族であった。




ローエム貴族


「クレシ王国内の貴族達を味方に付ければクレシ王もローエム帝国に賛同するだろう。」

「おーー、流石伯爵閣下ですな、見事な策であります。」

「当たり前だ、この程度の策は誰でもできるわー。」

「クレシ王国の各貴族領を回らねばなりませんな。オリオンに先を越されてはかないません。」

「そうよな、早速人をやり説得させよう。」


オリオン貴族


「クレシ王国の説得は難しいです。」

「そうだな、無理に仲間になってもらうことも有るまい、無理やりでは意味がないからな。」

「ですがローエム帝国の手前、動かない訳には行けません。オリオン王国が各陣営に勧誘をかけている事実が重要ですから。」

「まぁその辺は適当にやるしかないだろうな。それよりも家督争いの件だがあれを何とかしなければな。」

「そうですね、何故ローエム派とオリオン派に分かれてしまったのでしょうか、余計な事をしないでほしいですよ。」

「全くだな。」



ローエム帝国



「師匠、色々とすいません。」

「マリウス、心配するな。上手くやっているからな。」


アレクと皇帝マリウスはクレシ王国を始め、アース大陸北部をローエム帝国一色にするように画策していた。オリオン王国が動けば対抗意識の高いローエム帝国が動く。オリオンに負けるなを合言葉にローエム貴族達は纏まるのである。


「ノースオリオン王国とその周辺国はオリオン王国連合もしくはノース連合となるだろう。これはオリオン関係者の国だから仕方がないが、その他は全てローエム帝国に統一できる。」

「アース大陸で北部と南部に別れるという事ですね。」

「そうだな、一つにするには大きすぎるからな。特にローエムのオリオン嫌いは激しくなっているからな。」

「そうなんですよね、こんなに酷くは無かった筈なんですがね。」



そう元々ローエム帝国はオリオン王国を見下してはいたが嫌ってはいなかった。

それがなぜ嫌うようになったのか、それはローエム帝国が大きくなり他の国を飲み込んだことが原因である。元々のローエム貴族は他の飲み込んだ国の貴族より一段高いくらいとなっている。同じ伯爵でも属国などではローエム帝国では子爵扱いとなっているのである。

この事が原因となり事あるごとにローエム貴族が幅を利かせているのだ。面白くない属国たち貴族はオリオン王国をネタにローエム貴族を馬鹿にするようになっていた。元ローエム貴族であるオリオンに負けてしまったローエムと影口をするようになっていったのだ。それがいつしか表に出てきてしまった。陰口が独り歩きをしてしまったのだ。

余計にローエム貴族はオリオンに負けられなくなっていった。何をするのも対オリオンとなってしまったのだ。

上では仲良くしていても下がいがみ合ってしまっている状況では纏まる事等到底できるはずもなく。アレク達は北部と南部で別れるようにしたのである。


だがこの血の流れない戦争はアレクの思惑とは違って各国貴族達が激論するほどになっていった。

ローエムかオリオンか、どちらが得か損か、動くローエム、静観するオリオンと各国は纏まる気配させなかった。

オリオン派になるとローエム派が巻き返す。仲の悪い隣の国がローエム派になればこちらはオリオン派になると状況まで出来ていた。




「完全な虫食いだな。」


アレクはアース大陸の地図を眺めながら呟いていた。


「アレク様、このままでは纏まりません、やはり力を示さなければいけないのではないでしょうか。」

「そうなんだがな、マリウスが反対しているのだ。北部は話し合いで解決するとローエム帝国の方針だからな。オリオンが武力を出す訳にはいかないのだ。」

「その話し合いも出来ない状態の国もあります。クレシ王国などは国が分裂しました。」

「あそこもかなり面白いな。国も分裂したが領主たちも分裂したからな。それも真っ二つだ。示し合わせているとしか思えんな。」

「さようですね、家を残すために二つに分けたのでしょう。王家が主導して各貴族達を二つに分けたのでしょう。」

「あそこは生き残るだろうな。国が二つに別れてもどちらかは生き残る。まさに戦乱の世の考えだな。」

「ですがあそこは平和な国でした。クレシ王も平和主義者だったと思います。」

「だからこそだろう。生き残る道を探したんだろうな。内乱を起こさずに国を二つに割ったのだ、並み大抵の者には出来まい。」


このクレシ王国の事は世界中で話題となった。だが二つに分かれたと思われているが実際は三つに分かれていた。ローエム派、オリオン派、と一つの町が独立していたのだ。人口1万人に満たない町であるが完全に独立をしたのであった。

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