表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
543/919

543話 フレシア王

ローエム帝国で次期皇帝を狙い指示していた者達は、窮地に立たされていた。

その者達は、皇帝が目覚めた事によって主犯たちが処刑されたあおりを受けていた。


「これからどうするのだ、皇帝陛下の沙汰を待っていては俺たちは良くて領地没収、悪ければ処刑もありうるぞ。」

「いや、処刑はない、皇子たちは軟禁だ。普通は処刑だ。」

「それは一時的ではないのか、いずれは処刑もありうるだろう。」

「あの皇帝はお優しいから処刑はない。」

「側室は処刑されたぞ。」

「それはそうだろう。皇帝を眠らせたのだそれも100年の眠りという呪いだぞ。普通ならば一族皆処刑になるだろう。それが側室のみだ。」

「側室のバック(父)はあの方だったな。」

「明日、皇帝と会うらしいぞ。」

「真かそれならばその会見後に何かありそうだな。」




ローエム帝国城内



そこにはローエム帝国皇帝とフレシア王国国王が会談していた。

フレシア王国とはアース大陸の東の端にある中堅国家である。ローエム帝国とは親戚にあたるのだ。過去にローエム王国時に姫がフレシア王国に嫁いでいるのである。

そのためにローエム帝国内でかなりの力を持っており、中堅国家でありながら交易と外交を巧みに使い。影響力を持っているのである。


「フレシア王、久しいな。」

「皇帝陛下、お久しゅうございます。」


外交的な挨拶であった。だが一方は被害者であり、もう一方は黒幕という二人である。だがそんな事はおくびにも出さずに国としての話をしていく。


「フレシア王、此度の側室は残念だったな、そちも指輪が魔道具とは思っていなかったのだろうな。」

「はっ、まさか魔道具とは思ってもいなかったでしょう。残念です。」

「まぁ良い、こうして目覚める事が出来たのだ。それでよしとする。」

「おーー寛大なお言葉、臣は感服いたしました。」

「ホーーっ、臣と申すか。」

「はい、フレシア王国はローエム帝国の臣下でございます。」


フレシア王は追い詰められていた。ローエム帝国皇帝事件の黒幕と疑われているが証拠は何もないのだ。だが皇帝の側室の父親であり、実際の黒幕であった。

ローエム帝国皇帝は何も言わなかったが、ローエム帝国の家臣たちは忖度してフレシア王国との国交を遮断していたのだ。そのためにフレシア王国は一気に景気が悪くなり、物も入らなくなっていたのである。

そのために今回のローエム帝国皇帝との会談であった。皇帝と会談をし、ローエムとフレシアとの仲が直ったと周りにアピールするためである。



会談はフレシア王国にとって成功と思える物であった。ローエム帝国とフレシア王国は仲が良いと周りに分からせることができたのだ。

だがまだ足りないのである。ローエム帝国の貴族達や家臣たちが皇帝の為にフレシア王国に圧力をかけたままである。これを取り除かなければフレシア王国は破滅である。


フレシア王は翌日からローエム帝国の外交大臣や交易大臣などを精力的に回ったが今一反応が良くないのである。さすがに一回の会談だけですべてがうまくいく事等無いのである。その事は分かっているのだが一国の王であるために我慢が出来ないのだ。本国であれば誰でもフレシア王に頭を下げ、全てイエスマンにさせているのだ。それがローエム帝国では王自ら各大臣府を訪ね頭を下げているのである。

フレシア王はもう限界にきていた。最初は側室(娘)の事があり慎重になっていたが皇帝との会談が成功してからは段々と元に戻っていったのである。

ローエム帝国に滞在する事自体が不満となっていた。ローエム帝国帝都にあるフレシア邸でも影響が出ていた。

通貨であるフレシア金貨が暴落したのである。この暴落は多くの銀行が絡んでいた。フレシア王国の娘(側室)が処刑されるとフレシア王国の通貨で取引する商人が減ったのだ。いつ滅びるか分からない国の通貨など持っていたくないのである。もし戦争になれば一瞬で滅んでしまう程の国力の差あるのだ。

これがローエム対オリオンなどの大国の戦争であればこんな事にはならない。両国ともに一瞬で滅ぶことは商人たちには想像できないのである。



フレシアの館


「陛下、フレシア金貨が暴落してしまいました。」

「こんな事誰が予想できるか。馬鹿商人どもが何が取引停止だ。こちらから願い下げだ。」

「ですが商人と取引しませんとフレシア王国は交易が出来ません。お怒りを納めていただき、一度商人とお会いください。」


必死に頭を垂れるフレシアの家臣たちである。フレシア王もやっと本来の姿が戻ってきたと少し機嫌が良くなるのであった。

「そうよな、馬鹿な商人にいってやらねばならんな。明日にでも商人の代表を呼んで置け。」



「「「「は、はーーーーーー。」」」」



翌日フレシアの館の前には多くの商人、銀行の者達が押し寄せていた。まるで債権回収に来た者達のようであった。

そんな事は全く知らないフレシア王は謁見の間にドッシリと座り、商人が来るのを待っていた。

だがそこにきたのは女帝二人と各銀行の代表であった。

焦ったフレシア王は椅子から立ち上がり、上座を降りて挨拶をしたのである。


「お久しぶりね、フレシア王。」

「おーー、いつもお綺麗でおりますな、マリア様、イリア様。」

「お上手ね、今回の訪問は少し問題がるのよ。」

「問題ですか、我がフレシア王国はローエム帝国との絆を大事にしております。先日も皇帝陛下との会談でもその絆を確かめたばかりです。」

「ええ、会談の事は聞いておりますわ、ですが今回はフレシア王国の借金のことですの。ローエム帝国が全て肩代わりしてくれるのかしら。」


「・・・・・・・・・」


「無理そうね。フレシア王が個人、国として借りている物を回収させてもらいますわ。」

「ままままってください。そんな金フレシアにはありません。」

「ええ、もちろん知っているわ。担保を回収させてもらうわ。」

「担保ですか??」


フレシア王が分からなかったのも分かる。担保など取られている事自体知らなかったのだ。

銀行は、領主や王国に金を貸す時に担保として民の税をとっている。税の回収権限を担保としているのだ、回収権限を担保とすれば資金回収は出来るのだ。

フレシア王は金を借りる事で担保の事等完全に忘れていたのである。普通の商人の様に踏み倒せば済むと簡単に考えていたのである。

だが一筋縄ではいかない者がいた。それが女帝マリアとイリアであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ