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542話 ローエム帝国皇帝

ローエム帝国帝都


その日は世界中の国の王や銀行が会議の為にこの帝都へ集まっている。


「ローエム皇帝は本当は死んでるみたいだぞ。」

「いや、監禁されているという噂だぞ。」

「違う違う、堕落して表に出ないと聞いたぞ。現に皇妃も表に出ていないではないか。」

「そうなのか。だがあの皇帝だぞ、堕落はしないだろう。」

「そうだな、そうなると死んでいるかだな。」

「「「んーーーーー。」」」


この集まりはマリア、イリアが集めた者である。世界中の通貨(1年間)の交換比率を決めるのである。


そこへ女帝二人が豪華なドレスを纏いながら入室してきた。


「おーーーいつもきれいだな。」

「流石女帝様だーーー。」

「ふ、踏まれたい・・」



会議は進みオリオン通貨とローエム通貨の比率になると、各陣営が激論を交わすようになっていた。


この激論は仕組まれた者であった。マリア、イリアはローエム帝国貴族(借金貴族)を使い、ローエム通貨の価値を下げさせる様に誘導しているのである。オリオン通貨とローエム通貨は通貨が発行された当初は同等であった。だがここ最近ではオリオン通貨が強くなっているのだ。オリオン金貨1枚に対してローエム金貨は1.5枚必要となっていたのだ。

ローエム貴族はこのレートを下げる事でオリオン金貨で報酬が貰えるのである。必死である。


抵抗しているのはローエム銀行総裁である。ローエム皇帝の従兄弟であった。帝位継承権を持つこの従兄弟は心底ローエム帝国に忠誠を誓っていた。少しでもローエムに良い条件になるように頑張っていたが、味方であるはずのローエム貴族達が敵に回ってしまったのだ。ローエム銀行総裁は信じられない者でも見るように馬鹿貴族達を睨みつけている。


(こいつら何も考えていないだろう。目先の金にでも釣られたのだろう。馬鹿どもが、ローエム帝国を潰す気か。)



そんな茶番な激論が繰り広げられている頃



ローエム帝国城内


「お待ちください。アレク王。」

「どうしたのだ、私が奥に行く事に不都合があるのか。」

「ございます。アレク王はローエム帝国の者ではございません。」

「我が妃が皇妃との茶の約束をしているのだ。問題あるまい。ほれ招待状だ。」

「そそんなまさか・・・」

「問題あるまい。」


城内でアレクとミルを皇帝の住まいである奥に入れないためにローエム帝国貴族達は必死で抵抗している。

色々な理由を上げているが段々と分が悪くなってきていた。

アレクの持って来た招待状はもちろん偽造である。だがそれを完全に否定するには皇妃を表に出さなければならなくなり、軟禁している事がばれてしまうのである。


ガヤガヤ、ワイワイ・・・



「ほーー、卿は他国の物だから奥にはいかせないというのだな。」

「さようです、ローエム帝国は帝国貴族以外は奥に入る事が出来ません。幾ら皇妃様のご招待であろうと、ご招待の場合はこの城の庭園などでお会いする事が決まっております。」

「ならば全く問題は無いな。」

「あります。他国の者ではありませんか。」

「私はローエム帝国貴族だ。山の迷宮都市の自治領主だ。」

「あっ・・・・・」

「では通るぞ。」

「おおおお待ちください。アレク卿を止めろーーー。」



だが誰もアレクに近づこうとはしなかった。アレクの強さを皆分かっているのである。もし指一本でも触れていたら、その者は即死していたであろう。その事は皆分かっているのだ。口撃はするが攻撃はしないのである。


「ミル、場所は分かるか。」

「もちろんですよ、何度も来ていますから。」


ものすごく嬉しそうなミルティナである。マルティナと会えることも嬉しいのだが、こうしてアレクと一緒にいる事が嬉しいのである。


アレクとミルティナが奥へと進んでいくと騎士たちが守る扉があった。


「どけ。」


アレクのどすの効いた言葉に騎士たちは素直に従う。


「マル、入るわよ。」

「お姉さまーーー。」

扉から飛び出してきたのはローエム帝国皇妃であった。


喜び合う二人を眺めながら二人が落ち着くのを待っていた。



その後落ち着いた二人と中に入った。


豪華な部屋に入ると皇帝が眠っていた。


「マルティナ、皇帝は病気なの?」

「お姉さま、それが分からないの。」


マルティナの話では皇帝は眠る迄は普通に生活をしていた。ただ翌朝目覚めなかったのだ。


「病気ではなさそうだな。本当にただ寝ているだけだな。」

「アレク義兄さま、起こすことは出来ますか。」

「やるだけやってみる。」


アレクは皇帝を診察してみるが診ているだけで他には異常が見られない。数か月も人が眠り続ける事事態が異常なのだ。


アレクは機人を取り出し、皇帝の体を調べさせる。この機人医者の知識を持っているのである。

だが皇帝の体には何も異常がないのである。



「んっ。この指輪はどうしたのだ。」

「あっそれは、皇帝陛下の側室がプレゼントした物ですわ。」

「これ、魔道具だぞ。」

「えっ。魔道具ですか???」

「皇帝が寝ているのはこの指輪のせいだな。一度寝ると100年目覚めないという指輪だ。通称眠りの指輪だ。」


アレクは皇帝から指輪を抜き取る、そして皇帝を「おい起きろ、朝だぞーー。」

すると皇帝は大きなあくびをしながら「もう朝かよく寝たーーなーー。」


それからのローエム帝国はもう大騒ぎであった。



ローエム帝国皇帝を眠らせていた魔道具(指輪)は100年の眠りという魔道具であった。一度つけると100年は目覚める事が出来ないという物であった。アレク以外が指輪を外しても皇帝は目覚めなかっただろう。アレクは皇帝に刺激を与えるために魔力を流し皇帝の体を活性化させていたのだ。



この指輪を皇帝にはめさせたのは側室の一人であった。側室の子供に帝位を継がせるために現皇帝に眠ってもらったのだ。皇帝を殺してしまうと、すぐに次期皇帝である皇太子が継いでしまう。そこで眠ってもらったのだ。その間にローエム帝国貴族達を味方につけ次期皇帝を狙っていたのである。

所が次期皇帝を狙っている者が意外に多く。側室の子供たちが不毛な争いをしてしまったのだ。

側室は処刑、争いをしていた子供たちは軟禁となった。



「師匠、ありがとうございます。」

「まぁマリウス、気を付けるのだな。超大国の皇帝でも油断すれば殺されるという事だな。今回は眠りの魔道具であっからまだよかったが、これが毒であったならば死んでいるぞ。」

「はい師匠。」


「少し静養してからこれからの事を協議しよう、今は体を慣らせ、寝たきりで体が動かないだろうからな。」

「そうですね、本当にありがとうございます。」





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