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535話 迷宮攻略

カイン達獣人部隊はもの凄く楽しそうに迷宮に入っていった。


実際に楽しいのだろう、戦闘が出来る事が何よりも楽しいのだ。




一方、アレクは真剣な表情であった。


「アーサー後は頼むぞ。」

「はいお任せください。アレク様がご不在の間は王都の管理はお任せください。」


アレクは今まで自分が迷宮を通しを繋げてきた方法であるケーブルや道を調査した。

地中の中に一本の線で繋がっている魔力を感じ取る事が出来た。アレク以外では魔力自体を発見する事も出来なかったであろう。

アレクはその魔力を感じながら王都から離れていった。




「此処が迷宮か。」


アレクが王都から魔力を追ってきた先には予想とかけ離れた光景があった。


一枚のドアがあるだけであった。


山の岩肌にドアがある。そのドアも豪華なドアなどではなく木製の古びたドアである。

こんな山奥の岩肌にドアがある事自体おかしいのだが、そこは迷宮というおかしな場所である。


アレクはその少し大きめのドアを開いた。

その中はまさに迷宮というにふさわしいザ・迷宮であった。

迷路型の迷宮の中を進んでいくとゴブリンやコボルドなどの弱い魔物たちが襲い掛かってくる。軽くいなしながら進んでいくと地下に降りる階段があった。迷わずに下に降りていく。

二層では同じくゴブリンなどが出てきている。一層と同じである。


アレクは迷路でも迷わずに進んでいく。


3層から5層までは弱い魔物たちであった。


6層からは少し魔物のが強くなってはいたがアレクには到底かなうものでは無かったのだ。


その日、アレクは迷宮内で過ごすことにした。アレクの予想よりかなり広い迷宮である。



その頃、カイン達は



「うりゃーーー。」

「とりゃーーー。」


「何だこの城、元の城の住人達か。」

「親分、これみんなゴースト系の魔物ですよ。」

「なんだか城の者達を殺しているみたいだな。でも魔石を残すから魔物なんだろうな。」

「なんだか不思議な迷宮です。物理攻撃がほとんど効きませんぜ親分。」

「フン、そんなもん気合を入れれば当たるぞ、見ていろ。」


「おりゃーーーーっ。」ボコッ


「なっ、気合だ、気合ぃだぞ。」


カインは気合と言っているが実は魔法であった。放出系が苦手なカインではあるが魔法を放てない訳ではない。魔力を拳に込めて殴っているのである。カインには理屈は通じない、感性で使っているのである。

カインの周りにいる獣人達もカインに感化されている者達だ。カインの説明で皆理解したのである。

普通の者達では理解できない事でもカイン達にはそれで分かるのであった。


それからの獣人部隊は快進撃で攻略を進めていった。




アレク


「あーーーよく寝た。久しぶりによく寝たな。時々はこんな生活もいいな。迷宮で暮らすかなー。」


アレクは迷宮の攻略を進んでいく。9層を攻略して10層に着くと今までの階層とは違っていた。

「ボス部屋か。」


迷宮の入り口ドアより立派な扉があるだけの階層である。


アレクはその扉を開き中へと入っていく。


そこにいたのはゴブリンロードがいた。何やら威厳のありそうな雰囲気を醸し出しているがアレクのワンパンで死亡してしまった。


「弱すぎだろうー。」



それからも階層を進むごとに少しずつ強くなってきているがアレクの敵にもならなかった。


「フーー、やっと50層か、まだ先は長そうだな。」


この迷宮かなり巨大な迷宮である。アレクはもしかしてこれが始まりの迷宮ではないかと思うようになっていた。

何しろこの迷宮迷路型、フィールド型と迷宮オンパレードである。それにこの大きさである。

始まりの迷宮でなくともかなり古い迷宮であることは間違いないであろう。


ドンドンと進んでいくアレクである。100層に到達したボス部屋前でこれで終わりかと思ったのだが違った。

100層のボスはヒドラであった。迷宮のボスに相応しい強さであったが、アレクには敵うはずもなく一撃であった。

ヒドラ討伐後に現れた扉を開けるとまた階段であった。がっくりするアレク。


「何だこの迷宮大きすぎだろうー。」


ブツブツと一人文句を言うアレクであったが答える者は一人もいない。


160層に到達したアレクは、今迄とは全く違う場所に立っていた。

上も下もない空間である。自分が立っているのか寝ているのかもわからなくなっていた。



その空間は精神攻撃のようであった。


魔物がいるわけでもなく、寒さ、熱さもない世界である。自分自身たった一人の世界である。

その精神世界では意識をしなければ心臓が止まり死んでしまう。普段無意識で行っている呼吸や臓器の動きを自らの意志で動かさなければならなかった。血管の収縮で血液を循環させ息を吸い吐く。この作業だけでもかなりの負担であった。

アレクにしてみれば永遠とも思えるほどの時間である。

人が息を吸い吐く、心臓を動かすなどは意識してできる物ではない。だがこの空間ではそれが出来るのである。まるで修行場所のような空間である。


段々と慣れてきたアレクは心臓を意識しなくとも動かせるようになった。一つできると他も問題なく出来るようになってきた。

アレクはこれでやっと寝れるとホッとしていた。アレク感覚でここ数十日は寝ていないのである。(実際は1時間)


アレクは慣れてくると、何もない空間を新たに創り出していた。床を作り壁を作り天井を造っていた。

そしてやっと自分が立っていることを認識できるようになったのである。




アレクの意識の中で作った床や壁はその空間でも出来上がっていた。そして目を開ける事が出来ると目の前には一人の男が立っていた。




「この迷宮主か。」

「いいや違う、いやそうなのか。迷宮主とは違うな、この場所の管理者だな。」

「此処は迷宮だろう。迷宮主はいないのか。」

「いないな。管理者である私だけだ。」

「ではお前が迷宮主であるな。」

「違う、管理者だ。」

「まぁどれでもいい、一つ聞きたいことがある。この迷宮は始まりの迷宮か。」

「始まりの迷宮?、一番古い迷宮かというのならば一番古い迷宮だ。」

「この場所の迷宮主に私は成れるか。」

「迷宮主にはなれる。空間の試練から生還した者はその資格がある。息を吸う種族や生き物はあの空間では生きてはいけない。今まで生きて出た者はいない。」



アレクはその事を聞いて少しビックリてしまった。マジか初めて生き残ったのかと思ってしまった。


「生きてあの空間を出た者はいなかったのか。」

「そうだ、あの空間は殺す為の空間だ。この世界と元の世界でもお前だけだ。息を吸う生物で生き残った者は初めてだ。」

「息を吸う者以外はいたのか。」

「いた。宇宙微生物だ。無の空間で唯一生きる事の出来る生物だ。」


「そ、そうか、・・・微生物か。」







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