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534話 城型迷宮

オソロキア大王国の城爆破の調査は少しずつだが進んでいた。

今迄の調査で判明したことは、城内の犯行である事、王の遺体がない事、第三王子の遺体も発見されていない。


「アーサー、どう思う。」

「そうですな、オソロキア王と第三王子は生きているでしょう。」

「だよな、だが城を破壊する目的がはっきりしない。私とカイン兄を殺す目的と考えても犠牲が大きすぎだろう。それにメリットがないのだ。」

「さようですな、アレク様とカイン様を亡き者としてもオリオン王国は揺らぎません。」

「そうだ、オリオン王国の王と盟主はルドルフ兄だからな。」

「さようです、なのでアレク様、カイン様を殺す目的ではないと考えるのはよろしいでしょう。」

「貴族達を始末するためか。」

「それしか考えられません。」

「そうなると私たちは貴族達をおびき出す餌に使われたという事だな。」

「はい、オソロキア大王国の貴族達は大王をかなり恐れています。過去に大粛清があり、反抗する貴族達は少なくなっていますが芯からの服従はしていなかったのでしょう。」

「では貴族の反乱を事前に防ぐための城を爆破したという事か。」

「気が狂っていない限りは貴族が標的と考えるのが一番です。」

「んーーーーー。」


アレクはアーサーの言葉では納得できなかった。アーサーの考えも間違っていない、普通に考えれば一番筋が通っているのである。だが何となく何かが引っ掛かっているのだ。




「アレク閣下。」

「おー外交官どうした。」

「はい・・・・王太子と第二王子の事ですが、こちらにはお越しになりません。」

「何故だ、王都に来ることに不安でもあるのか。」

「あるようです、次は自分が狙われると思っているようです。」

「・・・ようは身に覚えがあるという事だな。狙われる理由も知っているのであろうな。」

「・・・・その様です。」

「狙われる理由は分かるか。」

「王位しかありません。王太子と第二王子の王位争いです。」

「卿は今回の城爆破と関連していると思うか。」

「分かりません、ですが王太子、第二王子も城を爆破するような策を考え、実行できるとは思えません。」



何ともオソロキアは大混乱に陥りそうである。

現状、王都城爆破、王位の争い、貴族当主争いと混乱しない方がおかしいと思えるほどに問題だらけになっている。



色々と考えるアレクであったが、そこにカインが


「なぁアレク、もういいんじゃないかオソロキアは混乱している。オリオンが全て治めてやらないと大勢の民が死ぬぞ。」

「あっそうですね。私の考えが一方向に偏っていましたね。城爆破の犯人にばかりに目が行っていました。これからの事を最優先で考えなければいけなかったですね。」




それからのアレクの行動は素早かった。

オリオンより増援を呼び、オソロキア全土に兵を向けた。従う者は領地安堵を反抗する者は殺して回った。

そのために王都へ呼び出す貴族達は王都まで来ることができずに自分の領地にいる事となってしまった。



「アーサー、オソロキア貴族達はどうだ。」

「アレク様、少し不思議ですね。オリオンに従う貴族が9割です。」

「かなり多いな。」

「はい、オソロキア大王国貴族が敵であるオリオンに服従する事に抵抗すると思われていましたが、9割者貴族が従う意思を見せています。」

「何か誰かが道筋を造っているような感覚だな。」

「はい私もそのように思います。」

「オソロキア王か。」

「はい反抗的、いやオソロキア大王国内の貴族の粛清をし、治めやすくしたのでしょう。」

「オリオンに治めさせるためかはわからんがな。主要な敵がいないという事だな。」

「主要と言えば王太子と第二王子はオリオンに服従はしないようです。」

「まぁそうだろうな王になれるかもしれないのだ、普通の者ではその魅力に勝てないだろうな。」



「たたたたた大変です。」


アレクとアーサーのいる部屋にものすごい形相の兵士が駆け込んできた。


「どうした、そんなに慌てて。」

「ああああアレク様、たたた大変です。爆破した城が、元通りになっています。」

「はっ????」

「ほ本当です。ご覧になってください。」



アレクとアーサーは急いで爆破された城跡地へと向かった。




そしてそこには元にあったオソロキア城があるのであった。



「迷宮か。」

「アレク様、これは迷宮なのですか。」

「あぁ迷宮だな。城内には誰も入れるな。城内を囲え兵をこの王都に集結させろ。」


アレクにはこの城が迷宮であることが分かった。いくつもの迷宮の主であるアレクには分かるのだ。だが数日前までは迷宮が出来る気配さえなかった場所に突然迷宮が出来る事はありえないのである。況してはこんな大きな迷宮はありえないのである。



「迷宮都市から繋げたか、他の迷宮から繋いだかだな。」


そうこのような大きな迷宮は突然できるものでは無い。他の迷宮の力がなければ大きな城型の迷宮など出来ないのである。


「アレク様、迷宮都市を落としますか。」

「いや、先にこの城型の迷宮内を調査する。カイン兄に頼むとしよう。」

「アレク様は中には入らないのですか。」

「私は他を調べる。この迷宮は他の迷宮と繋がっているはずだ。その繋がっている迷宮を調べる。私にしか出来ない事だしな。」

「カイン様に連絡と取ります。この城型はスタンピードを起こしますか。」

「分からないだからカイン兄に中に入ってもらう。魔物を皆殺しにしてもらう。万一の為に外には兵を置いて囲んでくれ。」

「何とも次から次へと問題ばかりですなこのオソロキアは本当にオソロシイ国ですな。」




数時間後



「おーーーー本当に城があるぞ。アレク凄いなー。」

「カイン兄、ただ迷宮が出来ただけですよ。」

「アレクが迷宮を創った訳じゃないよな。」

「当たり前です。こんな場所に城型なんて悪趣味な迷宮創りませんよ。」

「だよな、それなら俺の部隊で迷宮攻略するぞーーー。」


「「「「「おおおおおおおおっ」」」」」」


「カイン兄、何か獣人部隊全員で中に入るつもりですか。」

「そうだぞ、5人一組で中に入って誰が一番か賭け迄しているぞ。まぁ俺がダントツ一番人気だがな。アハハハハ。」

「カイン兄、どんな仕掛けがいるか分かりませんから、気を付けてください。」

「任せとけって、連絡はこまめに入れるようにするから心配するな。」

「私は他も迷宮を調べます。ここと繋がっている迷宮が有るはずです。そこを何とかしなければなりませんから。」

「そうだなその辺は俺にはどうも出来んからな、俺は魔物狩りをするだけだ。おい野郎ども、行くぞーーー。」


「「「「おーーーーー」」」」


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