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496話 エステリア領独立宣言

「初めまして、レイン・オリオンこのトリスタン自治領の領主です。」

「は、初めてぎょ御意をえます。シーマ王国エステリア領主であります。マルク・エステリアです。」


「エステリア殿、今はうちとシーマ王国と戦争中と分かっていらっしゃっているのですよね。」

「分かっています。」

「分かってここまで来るという事は何かあるのでしょう。聞きましょう。」


「我がエステリア男爵領は、トリスタン自治領に降伏いたします。」


「えっ。」


マルクは言い切ったと少し脱力していた。又レインは予想外の言葉で言葉を失っていた。



再起動したレインはマルクに事情を聴いていく。



マルクはレインに対して簡潔明瞭に説明をしていく。マルクの説明にレインは感心する。


(こいつ仕える)



レインの評価はエステリア領の事情よりマルクの聡明さに惹かれた。シーマ王国、トート男爵領との関係とそれを解決する、分析力、決断力と行動力に惹かれたのだ。


「事情は分かった。トリスタンに降伏して何を望むのですか。」

「領地安堵です。」

「そうですか。」

「・・・・・・・・・」

「エステリア領はトートの侵略に対して勝てますか。」

「分かりません。何しろ俺はまだ初陣を済ませていません。」

「・・・・分かりました。こちらも味方は欲しいのが本音ですから、今回は協力しましょう。で・す・が裏切りは許しません。エステリア殿トリスタンは来るものは拒まず、去る者は追わずですが、エステリアだけは違います。去った場合は領地ごと滅ぼします。人っ子一人残さずにすべて消し去ります。それを忘れないようにお願いしますね。」

「わ分かりました。生涯の忠誠をお約束いたします。」


「ならばシーマ王国に対して宣言を行ってもらいます。トリスタン自治領に味方すると宣言するのです。」


「分かりました。シーマ王国に対して宣言いたします。」


この宣言という物はかなりハードな条件である。エステリア男爵領はシーマ王国の貴族である。貴族であるために王国に従わなければならない。内通であればいくらでも言い訳はできる、トリスタンが攻めてきたので一時的に降伏したとでも言えるのである。だが宣言してしまえばシーマ王国、貴族達から標的にされてしまうのだ。エステリア領がシーマ王国の領地であったことは誰もが知っている事だからだ。



マルクは味方が欲しい、そのためにトリスタンに降伏するのだ。だがシーマ王国に宣言してしまったらすべてが敵になるのだ。

トリスタンが援軍を送ってこなければそれで終わりである。


ふと、マルクは思った。どのみち手詰まりなのだ。何もしなければトートに滅ぼされる。シーマ王国に訴えても領主同士に争いには干渉しない。

それならばトリスタンに望みにかけるしかないのだ。そのためにここまで来たのだから。



マルスはトリスタンの館を後にした。


エステリア領に戻り、家臣たちにトリスタンとのやり取りを説明していく。

家臣たち一堂は渋い表情をしている。


「ご当主はトリスタンが援軍を送ってくると本当に思っているのでしょうか。」

「来る、必ず来る。それでなければはっきり言ってうちは滅びる。」


家臣たちも分かっていた。トート男爵がこのエステリアに攻めてくれば今のエステリアでは勝つことができない。シーマ王国に訴えても何の解決にもならない事を分かっていたのだ。味方は何処にもいないことを分かっていたのである。

それをマルスは望みを作ってきたのだ。トリスタンという敵を味方にする奇策を思いつき行動で示したのだ。


「「「「「ご当主様、我ら家臣一同何処までもご当主様についてまいります。」」」」」



エステリア男爵領は、独立を宣言した。


独立の理由はトート男爵の侵略とシーマ王国への不信任である。

シーマ王国の不信任とは最前線と位置付けられたエステリア領に進軍の命令を出すだけで王都からの援軍、支援などは一切ないからである。

シーマ王国は貴族達に戦えというだけで王国は何もしていない。他の貴族達もその事は不満に思っている事であった。


シーマ王国内でも不満に思う貴族はいたが独立を宣言する者はいなかった。

それを一男爵がシーマ王国に対して文句を言ったのだ。



シーマ王国は慌てた。一貴族が王国に逆らう事等長い歴史の中でも一度も無かったことであった。

王国は反乱や内乱を恐れ貴族達の消耗を狙っていた。王国の兵力を温存して貴族兵を減らす考えであった。それがこの男爵の宣言で貴族達に新たな道を示してしまったのだ。

頼るのは王国だけではない事が分かったのだ、諸外国の勢力を頼る事も出来ると分かってしまったのだ。


そしてシーマ王国は激怒し、エステリア領への制裁を貴族達に指示を出したのである。これを喜んだのはトート男爵あった。大義名分が整ったのだ。

他の貴族もエステリア領は切り取り自由との王国の方針に皆戦の準備にかかっていた。

エステリア領を取り巻く領地は3つある。3方から攻めらたら一瞬で占領されてしまう。


マルクは、じっと待っていた。トリスタンからの使者を待っているのだ。

シーマ王国に宣言をして、廻り中が敵になった。明確な敵となってしまったのだ。

トート軍は兵の増強をしている、当初1000人の兵で攻め込む予定を2000に増やすようであった。そのために多少の日にちは稼げる。



「ごごご当主様、ききききましたーー。」


マルクは館の外に出た。そこには大鷲に乗ったトムが着地する所であった。


「エステリア領主はおられますか。レイン様よりの伝言を預かっています。」

「俺がマルクだ、レイン殿は何と言ってきた。」

「ご安心ください。エステリア領の宣言はトリスタン、ルシア王国、シーラ王国まで伝わっております。」

「そそうか・・」

「ではレイン様の伝言をお伝えいたします。ゴホン、宣言は聞いた。エステリア領への援軍を送る。です。」

「えっ、それだけ。他にはどのくらい送るとかは言っていなかったのか。」

「仰っていませんでした。」

「そうか、」

がっくりと肩の落ちたマルクであったが、次に一言で復活した。

「心配ありません、レイン様は木人兵と魔物軍を送る考えのようです。」

「えっあの噂の魔物軍が来るのですか。木人兵とは何ですか。」



それからトムはマルクに対して丁重に説明をしていった。「木人兵は・・・・魔物軍は・・・・・」



「か勝てる。」

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