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493話 それぞれの思惑

アレクがフロンティア大陸で戦争に明け暮れている頃、アース大陸北部でも動きが出ていた。



アース北部での超大国であるローエム帝国は、属国化、併合により以前のローエム王国時代より貴族の数が5倍以上にもなっていた。

これはローエム帝国が巨大化したために元の国などで貴族籍にあった者達がそのまま貴族として残ったためである。


皇帝としては貴族籍を剥奪して新たに授与させたかったがそんなことができるはずもなく、時が過ぎていった。

そうなると増長するのが貴族なのである。

既得権を得ようと色々と動き、自滅する者、成功する者と色々であるがその中でも飛びぬけて成功した者がいた。


ローエム帝国の飛び地である元ブリジア王国はイングリット王国を挟みローエム帝国と離れている。そのために、元ブリジア王国領は代理総督という役職者が統治していた。


エルフリート・ブッサム公爵である。この公爵は元は伯爵である。ブリジア王国とイングリット王国の戦争時に少しだけ活躍した功績で一気に公爵となったのである。

今、エルフリート公爵は隣国の者達より煽てられ、乗せられ、踊らされていた。ブリジア地域の周りはローエム帝国に負けた国ばかりである。国土を削られ、賠償金をとられ貧困者が多く出ている。

一方、ローエム帝国側は民は豊かになり生活が向上していた。

このギャップは少しづつ埋まってきているが、1,2年で解決できるレベルではないのだ。



「(代理)総督閣下、お久しゅうございます。」

「おおー、ダイサン王国の外務官殿かどうしたのだ。」

「はい総督閣下、少しお耳に入れたい事案がございます。」


ダイサン王国は以前にイングリット王国とローエム帝国に戦争を仕掛け敗れた国である。元ブリジア王国とオーガルト王国と組み戦争を仕掛けた国である。


「あのイングリットの属国がまた最近調子に乗っております。総督閣下からひと言お伝えください。これは口直しの菓子でございます。」


その菓子は黄金色をした金で出来たお饅頭であった。食べる事は出来ないが菓子箱に入って見た目は饅頭であった。


「ほーこれはうまそうだな、あとで茶といっしょに楽しむかな。」

「はい、茶を入れる者もご用意しております。今回は没落したローエム帝国の元令嬢をご用意しております。」

「ほー、我が帝国の没落貴族か、でそのものは何処の出だ。」

「はいそれは・・・・・・・」




ノースオリオン王国


「陛下、ローエム帝国の貴族どもが色々と動いているようです。」

「レッドその事は分かっているよ。だがうちは動かないよ、ローエム帝国内の事だマリウス皇帝が何とかするだろう。」

「陛下、よろしいのですか。」


ノースオリオン王であるレオンはアース大陸北部でローエム帝国に次ぐ規模の国(経済力)である。


「平気だ、うちに喧嘩を売るバカはこの北部には誰も居ないよ。それにカインとアレクの傘下の国もあるしな。問題ない。」


レオンは平和な北部でまったりとした生活を満喫していた。


レオンの敵になる可能性はローエム帝国のみである。そのローエム帝国もオリオン王国と同盟を結んでいる。すぐに敵になる事は今の状況ではありえないのである。




だが戦争で敗れた者達は忘れる事はないのだ。屈辱的に従わされ、平伏させられ生かされた者達は忘れていない。あの時共に死ねたらと何度も思う人々がいるのである。

それが間違っている事であってもその考えから抜けられないでいるのだ。

死に場所を求めてその者達は動き出していた。




ローエム帝国内のある屋敷



「いまフロンティア大陸で大きな戦争が起きている。」

「それを利用しようというのだな。」

「そうだ、世界中で戦争が起きれば如何に大国のオリオンとローエム帝国も手がまわらないだろう。」

「そうだな、全く関係が無いのだからな、フロンティア大陸のシーマ王国とキルト王国貴族支援を名目に内乱を仕掛ける。」

「相手は慌てるだろうな、全く関係ないのだからな。」

「そうだいくら調べてもフロンティアとは繋がらない。」

「資金はどうだ、出す商人は要るのか。」

「いや、商人は出すまい。あやつらは金にはうるさいからな。それに我らの事がばれる恐れもある。」

「そうだな、だがどうするのだ。」

「馬鹿な貴族どもを少し煽ってやるのだ。フロンティアでオリオンが土地を占領しているとな、贖っているキルト、シーマ、シーラに支援をと貴族どもに夢を見せてやろうという訳だ。」

「お前も貴族だろう。」

「フン、こんな物いらんのだがな、利用できるから持っているだけだ。」

「元ブリジアの代理総督はどうなった。」

「あーあれはうまく踊っているようだな。最初に死ぬのはあ奴だろうな。」



フロンティア大陸で戦争が長期化した事で世界中で戦争を利用しようと画策がめぐらされていた。

戦争で儲けようとする貴族や商人。

不満のはけ口とする者達、権力を持とうとする者と自分勝手に思い、利用しようとしていた。


流石にアレクもそんなことを世界中で考えているとは思っていないのである。


戦争は儲かる。


この事が世界中で画策している者達の最優先事項である。その下で踊らされる馬鹿貴族達はいいように利用されるだけだろう。




ルシア王国



「アレク様、」

「アーサーどうした。」

「拙い事になっています。アース大陸でフロンティア大陸での戦争支援の動きが出てきています。」

「戦争支援、その言い方だとオリオンに味方するのではないな。」

「はい、敵に味方する動きです。」

「拙いな、あと少しで終わるのだがな。」



画策する側もそのタイミングは偶然であった。フロンティア大陸で敗れた者達は降伏したがまだ完全に諦めたわけでは無かった。資金や物資などがないために抵抗を諦めただけであった。負ける事は分かっているのだが、死ぬまで抵抗をする気であった。

そのために資金を集めていた所、アース大陸より支援の申し入れが舞い込んできたのである。

そんな都合のいい話などない事は分かっているが、戦うには金が要るのである。



フロンティア大陸では抵抗者の数が少しづつ増えていっている。支援しているアース大陸の者達は適当に支援をしてるだけである。どこにいくらなどと細かいことは全く感知していないのである。

その事がアレク達を混乱させていた。アレクの考えでは目的があり目的に沿っての行動がある。

それが全く当てはまらないのが今回のばらまき支援であった。


「敵の思惑がまだ分からん。とにかく今は各個撃破に専念するよう伝えろ。」

「はい。全軍に伝えます。」




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