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489話 忠臣獲得

クーヤ王国の領地持ち貴族達は2大派閥に分かれていたが、今一つに纏まろうとしていた。


クーヤ王国、エルビス領にある森の中の大豪邸にシーラ派、キルト派の両派閥の貴族達が集まっていた。

このエルビス領の領主、エルビス公爵はシーラ派の盟主である。そこにキルト派の盟主ドワイゼン公爵と貴族達も集まっているのである。

普段からいがみ合っている両派閥であるが、打倒エレキを合言葉に一時的に手を結ぶことに両者合意したのである。


この両陣営の貴族達はクーヤ王国正統派貴族軍と名を変えて一つになったのだ。

名前だけは一つになったが中は二つに分かれたままである。

いやもっとひどくなっていた。二つの派閥の中でも穏健派と過激派があり、戦争自体を見守りたいもの、武勲を立てたいものと貴族達は自分たちの都合のいい様に解釈していた。そのために正統派貴族達は、追い詰められているのも関わらず毎夜決起パーティーを開催していた。



「我が戦場に出ればあの小僧など一捻りだ。」

「おーーー、流石行く戦もの戦場をまたにかけている、ドルズ閣下だ。これは勝ったも同然ですな。」

「「「「ワハハハハハ」」」」



こんな決起パーティーが毎夜開催されている裏では二人の盟主が今後の話に激論を交わしていた。


「エルビス公、軍事に関してはこのドワイゼンに全て任せてもらうぞ。」

「それは出来ない、我がシーラ派の兵はキルト派に従う事を嫌がる。」

「ならば二手に分かれ、進軍するまでだ。」

「それも許可できぬな、進軍すれば拠点の守りをどうする。ドワイゼン公のみの進軍は許可できぬ。」


この二人毎晩同じことを言い争っていた。


エルビス公爵とドワイゼン公爵はお互いにライバル関係にあった。そのためにこの戦いで功績を上げて主流となる事にこだわっていたのである。

貴族から作戦案が提出されても、誰を派遣するという段階になると両者は譲らず作戦が立ち消えになってしまっていた。

これでは動くことも出来ない状態となっていた。幸いにエルビス領は王都の次に堅牢とされた要塞都市である。この要塞がある限りエレキ軍はエルビス領に入る事が出来ないのである。

貴族達は要塞に絶対の信頼を持っている。



クーヤ王国王都


「レスリン様、報告いたします。」

「エルビス反乱軍の事だな。」

「はい、両派閥の主だった者達はエルビス領に集結しております。一気に片を付けることが出来ます。」

「いや、ほっとけ。」

「はっ?放置するのですか。」

「そうだ軍務次官。せっかく集まって動くとをしなくなったのだ、その間に他の地域をすべてクーヤ王国に戻すぞ。」


レスリンの作戦は正統派貴族達を一つにまとめる。そしてその勢力を動けなくしてその間に各地域を解放するのである。

だがレスリンも指揮の出来る者がいないのである。


「軍務次官、人選は出来たのか。」

「はい出来ておりますが本当に宜しいのですか。」

「まずは見せて見ろ。」


軍務次官が持ってきた書類は下士官の戦歴と部隊の武勲を纏めた書類であった。

この書類は、隠れた有能な指揮者を探すためである。平民兵や、奴隷兵で強者の軍曹たちがいる。

戦場ではこの者達が勝敗を決めていると言っても過言ではない。

強者軍曹たちは上官デル小隊長や中隊長たちの出来ない作戦を熟し、生き残ってきた者達である。


「ケーネル軍曹、ルルテ軍曹この二人はずば抜けているな。」

「はっ、この両名は元は貴族であります。派閥争いの破れ奴隷兵となりました。ですが軍人として有能であった為に軍曹として戦場に出されておりました。」

「元は子爵と男爵か。」

「他にも派閥争いで負けた貴族はいるようだな。」

「はい多くはもう生きておりませんが幾人かはまだ生きております。」


レスリンはこの元貴族達の中で軍人として有能な者達を集めた。



「よく来たな、今まで大変だったな。」

「「「「・・・・・・」」」

「宰相閣下、彼らは今奴隷兵です。喋る事が出来ません。」

「おうそうであった次官。すまぬ。手続きをしてやってくれ。」


レスリンに即されて軍務次官は奴隷兵4人を奴隷から解放した。


「これで喋る事が出来るな、何とも面倒な事だな。」

「宰相閣下ありがとうございます。」

「「「ありがとうございます。」」」


「ケーネル、ルルテ両名は元軍を率いたことがあったな。」

「はっ、もう10年以上前ですが一軍の将でありました。」

「私も同じであります。」

「ボルクは内務官であったな。」

「はい左様です。」

「グルトは何をしていた。」

「はい宰相閣下、私は諜報員をしておりました。」

「ほーーーっ、諜報員とな。良く生き残ったな、普通即処刑だろう。」

「はい運よく生き残りました。」

「・・・・そうか。」

この時レスリンはクーヤ王国内に多くの諜報員が潜んでいることを確信した。そうでなければ貴族の秘密を知るグルトが生きている訳がないからである。


「お前たちは俺に忠誠を誓えるか。」

「「「「はい、エレキ宰相閣下に生涯忠誠を誓約いたします。」」」」


「ケーネル、子爵位を授ける。軍団を率いてエルビス要塞を包囲しろ。のちにガウス大将が到着するまで戦場を整えて置け。」

「はっ、このケーネル、ガウス大将の到着まで戦場を整えておきます。お任せください。


「ルルテ、子爵位を授ける。ルルテは兵一万を率いて各貴族領を制圧に当たってくれ。」

「はっ、この命宰相閣下の為に捧げます。必ずやお役目を果たしましょう。」


「グルト、子爵位を授ける。諜報員を集め纏めろ。これから忙しくなるぞ。」

「はい、このご恩、忘れる事はありません、閣下の為に働きでお返しいたします。」


「最後にボルク、子爵位を授ける。お前には早急に内政を正常化してもらいたい。」

「はい、一週間で正常化させて見せます。宰相閣下、内政に関しまして人事権を貰えるのでしょうか。」

「そうだな秘書官などの補佐する者達は好きにしてよい。だが他の人事に関しては推薦は受けるが決定は人事局が行う。」

「人事局ですか、それは新しい部署でしょうか。」

「そうだ、私が局長を兼任する新しい部署だな、すべての人権はこの人事局が決定する。」

「はっ、分かりました秘書官たちを任命できるのであれば問題ありません。企画に信頼できるものがおりませんと寝る事も出来ません。」

「ああーそうだったな、秘書官に嵌められたのだったな。各補佐官の人員は任せる。人数も役職に合わせ最大10名までとする。ほかに人事、特にケーネルとルルテ軍を率いる人員の推薦を明日までに行え、今回は特に考慮する。」

「「はっありがとうございます。」」



「新しい屋敷を用意してある。元の家臣たちも所在の分かる者は屋敷で待たせてある。今日は家臣たちとゆるりとせよ。」


「「「「・・・・・・・あ”じがどうござい”ま”ず・・」」」」


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