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482話 レイン助けを呼ぶ

アレクとカインは多額の賠償金の支払いをした。

この支払いによって、ルシア王国ではバブル景気となっていた。小さな国が二つも買えるほどのお金が入ってきたのである。

それにアレクとカインが破壊してしまった、城の修繕などの仕事もあるのだ。


ルシア王都近郊では反乱も戦争も何も起こっていない様であった。


「いやー、参ったなアレク。カミュウに怒られたよ。」

「私も怒られました。ですがカイン兄、隠し小遣いがあるんですよ。」

「お前、そんなことしているのか、ばばばばれたら大変だぞ。」

「心配しなくて大丈夫です。絶対にばれません。」


アレクの根拠のない自信は本当に根拠がなかった。後日ばれてしまったのである。

当然、全て没収されてアレク家の家計に組み込まれたのであった。




その少し前、レインのトリスタン自治領には難民が押し寄せていた。



トリスタン自治領は反乱もなく。戦争状態ではあるがシーマ王国、シーラ王国両国ともに国境を固めるだけで戦闘には入っていない。



「レイン様、どういたしましょうか。」

「代官かどうするも何もすべて受け入れる。」

「えっ・・・・・・本気ですか。」

「当たり前だ、困っている人を見捨てられない。」

「おおおおおお待ちください。トリスタンには難民を養える金がありません。」

「えっ、トリスタンってお金ないの。」

「レイン様、トリスタンは今でこそ食べる事には困っていませんが、少し前までは皆、一日一食でした。そんな自治領が何万もの難民を面倒みる事等出来ません。民に死ねと言っているようなものです。」



レインは今まで金に困ったことが無かった。生まれた時から貴族であり裕福であった。

今回初めてトリスタン自治領の経営に携わり、大変な思いをしている所なのである。



レインには最強スキルが一つある。このスキルは多くの者が持っているが、使いどころが非常に難しいスキルであった。




レインは伝家の宝刀である。末っ子を使う事を決めた。 

(スキルではありません)


このレイン独自のスキル末っ子は強力な威力を持っている。兄弟姉妹、親やジジ、ババに一言「助けて」と言えばたちまち金が集まるという史上最強スキルなのである。




レインは知っていた。今のトリスタンでは単独での再建も維持も難しい事を知っていたのである。国を削り取られていたトリスタンは農耕に向いている場所は少ない。そのために最後まで残っていたのである。



「じいちゃん、レインだけどトリスタンの自治領主になったんだ。何か父上が戦争していて難民がトリスタンに押し寄せているんだ。助けてよー。」

おめめウルウル、泣きそうな声で・・・



レインはオリオン王国前王である、ハロルドに通信を送った。確信犯的な物言いはアレクが戦争を起こし自分が被害にあっているという、説妙な言い方であった。

ハロルドはすぐに大量の物資と人員を送りだした。

実はハロルド、孫に頼られたのが初めてであった。もう嬉しくて嬉しくて仕方がなかったのである。張り切り過ぎて艦隊を率いてトリスタン迄やってきてしまっていた。


何しろレインはアレクでもなく、祖父である自分に一番にお願いをしたことが嬉しかったのだ。

レインに支援する事を他の者達にとられまいとハロルドは過剰に警戒して支援も膨大になっていた。



数日後トリスタンの空に大艦隊が姿を現していた。



「レーイーンーー。ジジが助けにきたぞーーーー。」

大艦隊の甲板に立ち両手をぶんぶん振っているジジィがいた。


分かっているレインは「おじいちゃーん、ありがとう。」


「ぐわっ。」


トリスタン自治領に押し寄せていた難民たちは膨大な支援によって飢え死にを免れたのであった。だが食べる物はあってもまだまだそれだけでは生活は出来ないのである。新たに開拓や商売などを生活の基盤を作らなければいけないのである。

数万にもの及ぶ難民たちにすぐに仕事など有るはずもなく。レインはハロルドにまた相談をしたのである。


頼られるハロルドはもう張り切っていた。


「じいちゃんに任せろ。」


「おじいちゃんありがと、おじいちゃんが一番だね。」


「ぐわっ。」

ハロルドは燃えていた。ワシが一番ワシが一番一番だーー。


この孫バカは金に糸目をつけずに難民を雇い農地開発を行った。山を崩し畑になるように整地していく。普通の国ではまずやらない事である。コストが莫大にかかる為に採算が取れないのである。

農地に向かない場所を農地とするのは大変な作業である。


孫バカパワーは偉大である。


元のトリスタンとシーラ王国からの割譲した場所をものすごい勢いで開発を進めていった。隣国であるシーマ王国とシーラ王国はトリスタンの変わりように驚き調査していた。


そこでオリオン王国前王であるハロルドがトリスタンの開発を指揮している事を知ったのである。

訪れる商人や職人たちは金払いのよいトリスタンに定住する者も多く出ていた。



急速に発展していくトリスタン、各地に新しい村ができ人々に笑顔が出てきている。


だが難民はトリスタンに押し寄せている。減る気配さえないのである。さすがのハロルドもすべてを受け入れる開発は出来ない。ハロルドは艦隊を使い、フロンティア大陸北部のオリオン担当地域に移住させることにしたのである。

これは難民にとって天の助けのような案であった。トリスタンは戦場ではないがいつ戦争になってもおかしくない場所にあるのだ。

それを戦争の無い地域に移動させてもらえるのである。それも開拓した農地は自分のものに出来るのである。土地を捨てトリスタンに逃げてきた者達にしてみれば夢のような話であった。



そこに全王ハロルドの子であるルドルフ王から帰って来てくれと泣きの通信が入っていた。ルドルフは仕事(主に書類)をハロルドに振っていたのである。それがハロルドが突然いなくなりオリオン王国の決済が滞る事態にまでなっていたのである。


ハロルドは自分に仕事をさせる長男ルドルフよりかわいい孫で頼ってきているレインを比べるまでもなく。

ルドルフの泣き言を無視していた。


そこは超大国のオリオン王国である。ルドルフは大胆な作戦に出たのである。ハロルド捕獲作戦と名付けられたこの策はルドルフの完敗に終わった。送り込んだ捕獲部隊はハロルドの艦隊に掴まり開発に組み込まれてしまったのだ。


この日よりオリオン王国の王であるルドルフの睡眠時間が一日2時間となっていた。

超大国であるオリオン王国はオリオン王国連合などの多くの国を従えている。そのために王の決済が必要な量が膨大である。



オリオン王国王城


「駄目だ俺はもう死ぬ。」

「陛下、自分は死ぬと言えるならばまだ余裕がある証拠です。本当に死ぬのならば喋る事も出来ません。」

「ぐっ、お前たちは鬼か、悪魔か、アレクの手先かーーー。」

「陛下もフロンティア大陸で好き勝手やって来たではありませんか、少しの間ハロルド様に自由にさせても罰は当たりません。」

「ぐぐぐっ」

一時期ルドルフはアレクの策略でフロンティア大陸に長期に滞在していた。その時にオリオン王国の決済の仕事はすべてハロルドがしていたのである。今のルドルフの様に一日2時間の睡眠ではなく8時間しっかり寝ていたのは内緒である。


ハロルドはルドルフにまだ仕事の裏ワザを教えていないのである。当分秘密にするつもりである。



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