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473話

「アレク、戦争にならなかったな。」

不満げなカインの言葉にアレクは無表情であった。

「カイン兄、これからですよ、キルト王国と一大決戦になりますよ。」

「でも当分先だろう。」

「まぁそうですが・・」

「アレク、キルト王国がこのまま戦いを避けていったらどうなる。」

「そうですね、にらみ合いが続くでしょうね。」

「はっ、俺には無理だな。」


アレクはカインのいらだっていることが分かった。戦闘と思っていたら肩透かしを食らったのだ。どうにもならない怒りが湧いているのである。


「カイン兄とりあえずシン王国に残っていてください。戦争になる可能性が高いですからね。こちらから仕掛ける事のないようにお願いします。」

「分かっているよ。」


アレクはいったんルシア王国に戻り、作戦のやり直しを行った。

アレクはキルト王国が周辺各国に対して圧力をかけ味方に引き込んでいる。それを阻止するためである。


「アーサー、どうだ味方はどのくらい集まった。」

「はい、聖アース教国、ミント王国、ルーデン王国、グレーク王国、サウジ王国、ゲルト王国(コリ王国含む)、カルメン王国、カイコ王国、リシル王国、イリス王国の10か国です。」

「あとはすべて敵という訳だな。」

「そうなります。巨大国家となったキルト王国、シーラ王国、ドメス王国、クーヤ王国、トイト王国、シーマ王国の6か国と属国8か国です。」

「国土的には敵の方が優勢だな。」

「はいですが、こちらには強力な軍があります。」

「このまま、敵が攻めてこなかった場合はどうなると思う。」

「・・・・まずいですな。こちらは国境に軍を張りつかせています。いったん軍を解散したならば再度集めるのにも時間が掛ります。」

「そうだな、こちらは短期決戦を望むが相手は長期接戦を望んでいるのだろうな。」

「キルト王国は特に奴隷兵の育成の為に時間が必要でしょう。」

「長期化すると相手が有利になっていくな。」

「そこでキルト王国、シーラ王国以外の国を寝返りを誘っては如何ですか。」

「出来そうなのか。」

「はい、連合10か国の内4か国が奇襲によって国が滅ぼされています。その兵たちの多くはキルト王国の奴隷兵となっています。」

「奴隷兵にまで落とされているのか、さぞ恨んでいるのだろうな。」

「それはそうでしょうな、味方だった者達が裏切り、国も無くなったのですから。」

「だが奴隷兵たちでは自由が利かないだろう。」

「キルト王国の奴隷兵のようにはならないでしょう。よくて肉壁程度でしょう。」

「だろうな。だが内通者をつくる事は出来るだろう。」

「はい、いざ戦闘時に肉壁兵が反転して襲ってきたらキルト王国は大混乱になるでしょう。」

「適任者は要るのか。」

「丁度よく、偵察隊の中で数人が今奴隷兵となっています。」

「ハーーーっ、奴隷兵になっているだと。大丈夫なのか。」

「御心配には及びません、連絡も取る事が出来ています。」

「連絡が取れるのか。」

「はい、その中の1人が念話のスキル持ちであり、その兄弟も念話持ちである為に通信が可能となっています。」

「それは凄いな、その兄弟がいれば敵の情報が手に入るな。」

「さようです。」

「よし、奴隷兵の反乱を計画しろ。」


キルト王国は奴隷兵30万、騎士、兵が10万の合計40万の兵力であった。だが現在は奴隷兵が40万も増えている。この新しい40万もの奴隷兵たちを教育する事はほぼ不可能であった。キルト王国は幼いころから教育を施して愛国心を植え付ける事で奴隷兵を死兵に仕立て上げてきた。だが別国の元騎士元衛兵たちには不可能である。別国の高官や元貴族等はキルト王国に忠誠を誓わせて元の国の奴隷兵を纏めさせている。重要な場所には配置は出来ないが、多少の戦力としての意味と威圧の意味を込めて各地に配置をしているのであった。


キルト王国内


奴隷兵の中である3人の兵が密談をしていた。

「まさかZが此処に居るとはな。」

「俺もびっくりしたぞ、まさかⅩがいるとはな。」

「まぁまぁ二人とも落ち着きましょう。」

「何だYだけ大人ぶるなよ。同期だろう。」


この3人、X、Y、Zの富豪で呼び合っているが元はSEオリオン王国の諜報員たちである。10か国連合の調査の為に各国へと派遣されていた諜報員たちであった。ところが10か国の連合の裏切りによって4か国が滅んでしまった。その時に兵として情報収集をしていた者達なのである。


「キルト王国内にもG、Hがいるみたいだ。先日Hを確認した。」

「本当か、ならば行動がしやすくなるな。」

「ああだが今はまだ大人しくしていなければな、アーサー様からの指示通りにやる事をやらなければいけないからな。」

「そうだな、中間に来そうなやつらの見極めが大変だな。」

「そうだな、みんな疑心暗鬼になっているからな。誰も本音を話さない。」

「そりゃそうだろう、先日の奴隷兵の裏切りを見たら本音なんか話せないだろうな。」


いまキルトの奴隷兵たちは疑心暗鬼になり。周りが敵だらけと思っている。

先日奴隷兵となった者達の中で特に不満や反乱を口にしていた者達が一斉に処刑されてしまったのだ。それは奴隷兵たちの告げ口であった。

奴隷兵の中で少しでも待遇をよくしようとした者達が元の仲間を売ったのだ。

その事によって、奴隷兵の中での裏切りを警戒して皆が本音を話さなくなっていた。

これはキルト王国の奴隷兵たちの反乱を防ぐ作戦であったのだが、今の奴隷兵たちにはそんなことが分からないのである。だが裏切った事だけが事実であった。


「このままではキルト王国の思うつぼだな。」

「中々、よい作戦をしてきますね。敵ながら感心してしまいます。」

「これからどうする。」

「んーーー、とりあえずキルトに媚びましょう。」

「えっ、反抗じゃないか。」

「いいえ、奴隷兵として頭角を現せば、部隊指揮者として取り立てられます。」

「おーそうだな、そうすれば指揮する部隊は指揮官の命令に従うか。」

「それしかないでしょう。誰を信じていいのかが分からないですからね。」


それからの3人は奴隷兵の中でかなり目立つ行動をとっていった。

訓練では強さを示し、リーダーシップを発揮していた。

キルト王国にも媚びを売りまくったのである。その成果はあった。

急激に増えた奴隷兵たちの指揮系統を造らなければならなったキルト王国は奴隷兵の中から指揮官を選んでいったのだ。


運よく3人は中隊長(奴隷兵の最高位)となり部下を600人×3を指揮する事となっていた。



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