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470話

「うううううぅぅぅーー。」


トムは二日酔いと共に起き上がった。

「頭が痛い。」


「村長、昨日ははしゃぎすぎでしたよ。」

「うううー、覚えてないよぅ。」


トム村長は、メイドに水を飲まされたが、まだ元気になれない、初めての二日酔いで午前中は何も出来ないだろう。


「レイン様からの伝言です。今日はゆっくり休むようにとの事です。」

「うぅぅぅぅ、はい。」



ゴブリン村の住人のほとんどが二日酔いとなっていた。




その頃、レインとアレクは大型戦艦で移動中であった。

「父上、人型魔物と人間の共存は出来ると思います。」

「そうだな、可能だろうな。」

「それでですね、出来ればルシア王国とか近隣の国にも広げていきたいんです。」

「いずれはな、だが今は難しいだろうな。もっと教育をしてからでないと、ゴブリンやオークなどの魔物たちが不幸になるからな。」


アレクはレインの考えを分かっていた。レインは優しい、魔物、人なんにでも差別がない、全て対等なのだ。それは他の者達も同じとは限らない。


小規模での魔物と人との共存が出来てはいるが広域になれば魔物を奴隷のように扱う者達が間違いなく出てくる。

特にこのフロンティア大陸では獣人達の地位は低い、大陸自体で差別意識が根付いているのである。


「レインも知っているだろう。獣人達が奴隷のように扱われていたことを。」

「そうだった。でも今は良くなりましたよ。」

「それはルドルフ兄やカイン兄の活躍だな。あの二人は神になっているからな。くくくっ。」

「父上、嫌らしい笑い方は止めましょう。」

「おー、すまんな。」

「じゃぁ、トリスタン内だけでも広げていきますね。」

「トリスタン内だけならばレインの領地だ。問題は無い。だが気を付けろ、シーラ王国はトリスタンを狙っているからな。」

「大丈夫ですよ、人の兵はいませんけど、魔物の戦力なら世界一です。」



「レインはシーラ王国の動きを予想できるか。」

「んーー、多分ですけど。当分は何もしてこないと思います。」

「約定の効力があるためか。」

「いいえそれだけではありません、シーラ王国は人員不足ですから、人が育つまでは大掛かりな軍行はしてこないと思います。」

「ならば絡めてはしてくるだろうな。」

「絡めてですか。」

「そうだ、トリスタン内に入り農民を煽り暴動を扇動したり、不満の噂を流したりと色々だな。」

「魔物は信じませんね。」

「そうだな、だが人は都合のいい方を信じるからな。」

「人は都合のいい方を信じるですか。」

「そうだ真実は関係ないんだ。自分の都合のいいように解釈してしまうんだ。まぁ一種の防衛本能だな。こればかりはどうにもならないな。」



「あっ着きました。」


レインとアレクはオークとオーガが住む村へとやってきていた。シーラ王国の国境付近にある村で防衛も兼ねている村である。

防衛と言っても防壁がある訳ではない。見た目は普通の村である。ただ住んでいる村人がオークとオーガであるだけである。

オークとオーガは一般男性ではかなわない、騎士や兵士であればオークを倒すことは出来るがオーガには兵士10人でも敵わない程の戦力差があるのである。



村でアレクはオークとオーガの軍事訓練を眺めている。


「レイン、よくオークやオーガに連携を教えたな。凄いな。」

「へへ、そうでしょう。」


単独攻撃しかできなかった人型魔物はレインが能力向上を行い。戦闘での連携を教えたのだ。オークは3体一組でオーガと戦っていた。

通常3体のオークではオーガ1体でも相手にならない。一瞬でオークは殺される。

だがこのオークたちはうまく連携をとりオーガの攻撃をかわしている。


模擬戦が終わったオークとオーガはアレクの前まで来ていた。


魔物は強者であることを本能で分かるのか震えている。魔物の中でも強者の部類に入るオーガが震えているのである。


「父上、そんなに睨んだら、みんな怖がりますよ。」

「そうだったな、オーガよ、名は何という。」


アレクに質問の意味はオーガは理解できたのだが、まだ喋る事は出来なかった。


「がぁっ、ガオー。」

「あっ父上まだ喋れないんです、ですから名はないんですよ。」

「そうか、ならば私が名をやろう。そうだな、ガイとしよう。お前の名はガイだ。」


アレクはガイと口の動きを見せる。


「ガッ、ガ、イ。」

「そうだガイだ、お前の名前だ。」


突然にオーガのガイが叫び出した「ガアァァーーー。」


ガイの中で名を付けられたことによって力が湧き上がってきたのだ。


「父上、ガイはガイは・・」

オロオロするレインであったがアレクには理由が分かっていた。オーガと鬼人は、体格は違うが特徴は酷似している。鬼人は人より少し大きいぐらいだが、オーガは3メートル以上の体格である。


「レイン心配するな。大丈夫だ。」


少し経つとガイは叫ぶのを止め落ち着いてきた。


「ガイ、喋れるようになったか。」

「は、はい、しゃしゃべれます。」


「父上、どういうことですか。」

「ガイは進化したのだ。」

「進化ですか。進化とは何ですか。」


「レインがゴブリンたちに能力向上をしただろう。あれと同じだ。」

「えっ、能力向上と同じなのですか。」

「お前気づいていなかったのか。ゴブリンたちの体格がよくなっていただろう。あれは進化してゴリンからホブゴブリンになったのだぞ。」

「えーーーーーーっ。」


「ガイも進化したのだ。私が名を与え魔力を与えた影響なのかもな。」

「ガガイ、喋れるの、凄い。」

「レレインさま、まだあまりよくはしゃべれません、くくんれんします。」


アレクはレインに説明をする。別種族である鬼人とオーガは酷似している、元は同じ種族であったと予想していた。体格だけが違い、あとは同じであるためである。

鬼人はきちんと喋れる、オーガは喋れないこの違いは進化の過程で何かが違っただけであるとアレクは思っていたのである。


「父上は神ですか。」


「違うぞ、少しだけ物事を知っているだけだな。いいかレイン、元は人間が基本だそこから突然変異してエルフ、ドワーフ、獣人、魔人色々な種族に別れていったのだ。人から魔物に変わる者もいた、魔物から人に変わる者もいたのだ。

長い年月で多くの種族が生まれ滅んでいったのだ。」


アレクの説明はレインにはあまり理解できなかった。人も魔物も変わる事が出来るという事は分かった。

レインはそれだけでよかった。人と魔物の共存が出来る事が証明されたのだから。


「父上、みんなに名を与えましょう。」


アレクは失敗した。レインの前でやったことを後悔してしている。それからアレクは約半日かけてオーガに名を与えていた。進化するオーガもいれば進化しない者もいる。オークも進化する者としない者がいた。


その違いはアレクにも分からない事であった。だがその後能力向上のスキル玉を与えるとすべてのオーガとオークは進化したのであった。特にアレクにより進化した者達は強力な戦闘能力を持つようになっていた。








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