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462話

空を飛ぶのは気持ちがいい。トムは最高の気分であった。




トリスタンの町が見えるとレインたちは降下していく。


降下しているとトリスタンの門の前で大勢の男たちが騒いでいるのが分かる。

レインは門の横にシロとグリたちと降り立った。


今まで言い争いをしていた者達はドラゴンを見るとドラゴンに近づいていく。シロはその者達に威圧を放つ。

突然と動けなくなる男たち、そこへレインが近づいていく。

「おじさんたち何言い争いしているの。」

レインの質問に対して門番が答える。

「レイン君、こいつらは元トリスタンの貴族だ。他国に寝返った者達だ。」


門番は汚物を見るような目で見ている。


この者達はトリスタン自治領でドラゴンを目撃した情報を手に入れトリスタンまで来ていたのである。

今はシーラ王国の貴族となっている。


貴族達の目的はドラゴンのティムであった。

もしドラゴンをティム出来ればシーラ王国にとってこれ以上の戦力はないのである。


「へーーー、あなたがテイマーなんだ。」

「・・・・・」

ドラゴンの威圧で喋る事も出来ないテイマーである。

「シロ威圧をといて。」

シロ威圧をとくとテイマーは少し顔が和らいだ。

「おじさんにはテイマーは無理じゃない。シロの威圧で動けなくなるようじゃ弱いんでしょう。」

「小僧、テイマーはなぁ、ティム出来ればいいんだよ。俺のティムスキルは無敵なんだよ。魔物であればどんなものもティムできるんだ。」

「へーーーそれは凄いね。今までどんな魔物をティムしてきたの。」

「・・・ウルフだ。」

「他には。」

「・・・・・・」

テイマーの後ろに気の弱そうな1頭のウルフがいた。

「おじさん、テイマーって嘘じゃないの。このウルフティムされていないよ。」

レインのこの言葉にテイマーに慟哭していた貴族は驚く。

「そそれはままことかーー。」

レインは貴族の言葉を無視してテイマーに尋ねる。

「おじさん、ティムしてないでしょう。」

「・・・・・・」

「このウルフは気が弱くて餌をくれたからおじさんについてきているだけだよ。」

「ティム出来たのではないのか・・・・」

ガックリとしているおじさん。

騒いでいる貴族。

それを見ている護衛の兵士たち。


すると突然、貴族が「シーラ王国からの命令だ。ドラゴンをシーラ王国に寄こせ。」

「はーー、何言ってんの、シロは僕の友達だぞ。」

「トリスタンにいるのだ今はトリスタンの物だ。いいから寄こせ。小僧も一緒に来い。ドラゴンの世話をさせてやる。」

レインはこの貴族に初めての怒りを感じていた。

レインはあまり怒る事がない、いつもほんわかとしている。だが今回はかなり頭に来ている。


怒りに任せて剣を抜こうとした時、シロが貴族を片足で踏みつけた。


ぺしゃ。


「あっ、シロー、汚いからやめなさい。足が汚れるでしょう。」

シロは貴族を潰したせいで足に血が付いてしまっている。貴族はまだかろうじて生きてはいるが瀕死の重傷である。

突然に貴族が潰されたことに護衛の者達は剣を抜き構えて居る。


レインは「止めときなよ、2,30人で敵うわけないでしょう。死ぬだけだよ。」

「・・・・・・・・」

「シーラ王国に伝えてルシア王国の使者が来ているって。」

レインは親書を取り出し護衛達に見せる。

護衛達は、自分たちが取り返しのつかない事をしたことを理解したのだ。

ルシア王国の使者に対してシーラ王国の貴族が暴言を吐き強盗まがいの行為を働いてしまったのだ。それだけで大義名分を手に入れることが出来るのである。

使者という事は相手は貴族である。レインが貴族であることを理解した護衛達は踏みつぶされた貴族を連れてシーラ王国に戻って行った。



取り残されたテイマーおじさんと1頭のウルフ。


「おじさんこれからどうするの。」

「・・・・・・」


ウオオーーーー。


遠くからウルフの遠吠えが聞こえてくる。


北の方角から土煙が上がっている。


1頭のシルバーウルフに引き入れられた魔物軍団が現れたのだ。


「あーーーーー、ウルぅだぁぁ。」


レインに飛び掛かるウルである。レインの顔を舐めまわしてじゃれている。

「待って待って待って、ウルまってぇぇぇ。」

べとべとになったレインはやっと解放される。


ウルの周りにはウルフ系、猫系の魔物たちが5、600はいそうである。

トリスタンの町の前にこれだけの魔物がいるのだ。トリスタンの兵たちが武器を構えて集まってきてしまっている。


「みみんな待ってーーー、この魔物は仲間です。人は襲いません。」


レインの言葉は聞で門番は「本当に大丈夫なのか。」

「見てて、ウル、みんなを下がらせて伏せをさせてね。」

「ワァオ。」

ウルが魔物たちに指示を出すと魔物たちは町から遠ざかり伏せをしている。


「マジか、凄いな。」

「ねっ。」


レインたちは急いで自治領主館に向かった。

シーラ王国の貴族がトリスタンに来たことを報告しなければならないからである。


「おじいさーーーん、シーラの貴族がここにきたよ。」

「レインお帰り。」

ニコニコしているおじいさんがシーラと聞いた瞬間に顔が少し強張っていた。

レインは事のいきさつをおじいさんに伝えて自分が使者になっていることを伝える。

「ごめんね黙っていて。」

「よいよい、レインはここはただの通り道だっただけであろう。使者だと分かってしまっては色々と面倒に巻き込まれるからな、普通は黙っているもんだ。」


トリスタン公はレインを見て考える、このままではいずれトリスタンはシーラ王国に飲み込まれるのも時間の問題である。トリスタンには跡継ぎもいない。搾取されるばかりにトリスタンは誰も後を継ぎたがる者はいない。



トリスタン公とレインはその日遅くまで話し合っていた。



翌朝



「おじいさん、行ってくるねー。帰りに寄るからねー。」

「おーぅ、待っているぞ。」



「トム、帰りに寄るからね。」

「大鷲の世話をしているよ。」

「うん。行ってくるね。」



レインはシロとグルと一緒にシーラ王国に向かった。

ウルの引き連れている魔物軍団はレインたちを追って地上を猛スピードで走っている。



少し経つとトリスタンとシーラ王国の国境が見えてくる。トリスタン側の国力が弱いために国境には城壁のようなものはなく。街道に小屋があり兵がいるだけであった。国境の兵は20人ほどであるが地上を走るシルバーウルフたちが土煙を上げて迫ってくるのが分かると皆逃げて行ってしまった。


上空から見ていたレインは心の中で(あれ、これって少し拙くない?)


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