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460話

「んーーーーよく寝たーー。」

「おはようございます。レイン様。」

「あー、メイド長さん。おはよう。」

「レイン様、朝食の用意が出来ております。」


レインはメイドに食堂に連れていかれる。


「おじいさん、おはよう。」

レインは自治領主である、テラートをおじいさんと呼ぶようになっていた。

何故かレインはおじいさんを他人とは思えないのである。


「レインおはよう。よく寝れたか。」

「うん、あの部屋落ち着くね。」


レインと老人は楽しそうに食事をしていく。




レインは、シーラ王国へ行く事を延ばした。今日はこの町を見て回る事にしたのだ。



レインは朝食後一人で町に出かけてみた。シロとグリの様子も見なければならないために町を抜けて門の外へと向かった。


朝早くから町の者達は働いている。大きな町ではないがみんな知り合いなのだろう仲良さそうに働いている。

そんな様子を見ながら門の外まで来ると、シロとグリがレインに寄って甘えてくるのだ。


「シロ、グリぃ、昨日はごめんね今日一日このままで待っていてね。」

「きゅー。」

「グエェ」



その光景を見ていた門兵たちは何も言わない。ドラドンやグリフォンに挑んでも敵わない事を知っているからである。

それに一人の少年がドラゴンと仲良くしている事の方が信じられなかった。


「門兵さん、シロとグリを宜しくね。」



レインは町の中を見て回っている。


「へー、色々あるんだーー。」

独り言を言いながら街中を歩くレインすると、一人の少年がレインに声を掛けてきた。


「おい、お前はドラゴンに乗ってきた奴か。」

「んーー、そうだけど君は。」

「俺はトムだ。」

「僕はレイン宜しくね。」

にっこりと笑うレインにトムは「おう。」

「それで僕に何か用があるの。」

「あっそうだった。俺にドラゴンを触らせてくれ。」

「いいよ。」


簡単に承諾するレインにトムは驚いていた。昨日の騒ぎでトムは大人たちからドラゴンの恐ろしさやグリフォンの凶暴さを伝説の昔話の中で聞いていたからである。

頼んで即、OKが出るとは思っていなかったのだ。


「えっ、いいのか。」

「うん、さわりたいんでしょう。そのくらいいいよ。」


レインとトムは二人でまた門の外まで歩いていく。


「きゅーぅ。」

「クェェェー。」

レインの気配が近づいてくることが分かったのであろう、シロとグリは起き上がりレインが来るのを待っている。


「きゅきゅーぅ。」

「クエェェェ」


「シロ、グリ友達を連れてきたよーー。」


レインは連れてきたトムをシロとグリを紹介する。


「トム、シロとグリに挨拶して。」

突然ドラゴンに挨拶しろと言われたトムは「ドドドラゴンさんおおお俺はトトムです。」

するとシロはトムに顔を近づけてクンクンしている。匂いを嗅いだ後に「きゅー。」と一鳴き。

「シロが気に入ったみたいだね。こんなに人をすぐ気にいるのは珍しいなぁ。じゃ次はグリね。」

「グリフォンさん、トムです。」

先ほどのシロとは違い今度は一礼迄している。


「クェェェぇ。」


「レイン、さ、触っていいかな。」

「シロ、グリ触っていいよね。」

「きゅー。」

「グェェー。」


レインとトムはシロとグリを撫でまわしたモフモフにトムは驚いていたがトムもシロも気持ちよさそうであった。


「トム、空を飛んでみる?」

「えっ、ドドドドラゴンに乗れるの」

「うんいいよ。いいよねシロ。」

「きゅぅぅぅぅ。」


シロは体勢を低くしてトムが背中に乗りやすいようにする。

緊張しているトムにグリがくちばしでトムのお尻を突っついている。

それを見ているレインは笑い転げている。「アハハハ、グリからかったらだめだよーー。」


必死になってシロの上に上ったトムは「乗れたー。」


「トム、きちんと掴まっていてね。」

レインの注意?をトムに告げるとレインはグリに飛び乗りゆっくりと飛び立った。

シロもトムを落とさないようにゆっくりと空へと羽ばたいていく。


「うわわわーーーーーすごい。」


初めて見る景色である。


大空から見る景色は感動さえ与える。

遠くには海が見え、町も見える。今まで住んでいた町があんなに小さくなっている。

トムはドラゴンに乗った事よりこの景色を見た事に感動していた。人は空を飛べない、一部の者達は飛行船などで空を飛べるがまだまだ一般的ではない。貧しい平民は町から出る事もない、旅行などという言葉も知らないのである。


ぐるっと一回りしたレインはシロとグリを元の位置に降ろしたのである。


「トム、気持ちいでしょう。」

「凄い凄いすごい・・・・。」

大興奮をしているトムである。凄いしか言わなかった。


少し興奮も収まると、トムは空を飛べる魔物を飼えないかをレインに聞いてくる。


「なぁー、レイン、ドラゴンやグリフォンは無理でも空を飛べる魔物を飼えないかなー。」

「んーーーー、どうだろう、やったことないから分かんないけど、やってみる?」

「えっ、いいのかー。」

「うん、いいよ僕も興味があるから一度やってみようよ。」


レインとトムは街中の食堂で昼ご飯を食べながら作戦を立てていく。作戦と言っても飛べる魔物をの種類を聞いてどの辺に生息しているのかを聞いているだけであった。


レインが

「決まりだね、仲良くなろう作戦を発動するよ。」

「おーーー。」


悪ガキ少年の考える事はいつも同じようだ。周りの大人たちはほほえましく見ている。まさか本気だとは誰も思っていないからであった。


早速、レインとトムはシロとグリの元へと向かった。トムはシロの背中に乗り、レインはグリの背に乗って飛びたたっていった。


レインたちの聞き込みによればこの町より西に行った山の大鷲が生息しているという。3メートルから4メートルにもなる大鷲はワイバーンを一回り小さくした大きさである。


レインとトムは興奮していた。遠くに大鷲が飛んでいるからである。


大鷲は自分の縄張りに入ってきたドラゴンとグリを威嚇して追い出そうとしている。

大鷲も分かっているのだ、敵わない事を。だが大鷲は引き下がるわけにはいかない。戦わなければいけないのである。たとえ負けると分かっていても戦うのである、それが自然界の掟なのだから。


大鷲の相手をするのはグリであった。顔は鷲、体はライオンのグリフォンである。グリの前足は鷲の足と同じであるために鳥足である。グリと大鷲は互いに足で攻撃している。グリが大鷲に合わせて鷲の戦いをしているのである。

だが爪の鋭さではグリには敵わない。一撃が大鷲に入ると大鷲は地上に落下していった。

急いで追い駆けるグリとシロであった。


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