457話
アレクはルシア王国へと戻っていた。
「マーモンド、ルシア王国は順調のようだな。」
「はい、アレク様、ほぼ内戦の火種は沈下しました。」
「さてこれからどうしたらよいか、何か考えはあるか。」
「ルシア王国の事だけでしょうか、それとも隣国を含めた事でしょうか。」
「流石だな、マーモンドの考えを聞かせてくれ。」
マーモンドは、アレクに対してルシア王国と隣国について意見を述べていた。
まずルシア王国と隣国は併合すべきではないという事、後に始まるシーラ王国との戦争で連合軍を組み、シーラ王国を陥落させる。
シーラ王国陥落後に統合するかを考えるという物であった。
「シーラ王国は手強いのか。」
「はい。シーラ王国はルシア王国、シン王国、キメル王国の様には行かないと思われます。」
「その根拠は?」
マーモンドはアレクに大きな地図を広げて見せる。それはシーラ王国のを中心とした地図である。
シーラ王国は海に面しており、近くの諸島群も領地としている。
「島か。」
「はいシーラ王国は島を領地として持っております。そのために交易都市等を多数抱えています。」
「逃げる場所が至る所にあるという訳か厄介だな。」
「はい、隠れられたら探すことは困難と思います。」
「王は逃げると思うか。」
「はい、まず逃げるでしょう。本土が占領されても諸島群全部を占領する事は時間が掛ります。」
「そうだな、小さな島を含めれば50はありそうだな。」
「それと発表されていない場所もあると思われます。」
「ならば本土のみ占領するか。」
「本土のみですか。」
「そうだシーラ王国はルシア王国に戦争を仕掛けようとしている。本土を取ってしまえば島など要らんだろう。」
「いりませんが、シーラ王国が島からゲリラ戦を仕掛けてくると思いますが。」
「それならば、それでいい。別に討伐するだけだな。シーラの船は空を飛べないからな。海だけの船ではうちの艦隊に勝つことは出来ないからな。」
アレクはマーモンドとの話で、シーラ王国へ使者を出す事となった。
「誰がシーラ王国の使者へ行きますか。下手をしたら生きて戻る事が出来ないと思います。正直ルシア王国の貴族達は誰も手を上げないでしょう。」
「だろうな、ある程度の身分の者が行かなければ謁見さえ出来ないだろうな。」
アレクは少し考える。アレク自身が行く事も考えてはみたが、アレクが行けばそのまま戦争という事になりそうである。カインも同じく即戦争だろう。
マーモンドはルシア王国を離れるわけにはいかない。
「どうするかな。」
「レインを呼べ。」
アレクはレインを使者とすることにしたのである。
レインは、アレクの子供である。超大国のレイン殿下と呼ばれる存在なのだ。レイン本人には全くの自覚はない。ただ楽しくドラゴン、グリフォンなどと遊んでいるだけである。
ドラゴンでシーラ王国へと行けばシーラ王国は脅威と感じるだろう。だがドラゴンを死とするものは殺すという選択はしないだろう。今、噂のドラゴンである。怒りに任せて殺せば国が亡びる事はこのフロンティア大陸内では常識となっているからである。
数日後、レインは聖山の見張りをドラゴンに任せ、ドラゴン1体とグリフォンを連れてアレクの元へやってきた。
「父上ぇ、どうしましたか。」
「おぉレイン少し頼みたいことがあってな。」
アレクはレインに使者の事を告げていく。
「父上、そのシーラ王国が降伏すれば問題は無いのですか。」
「まぁそうだが、シーラ王国は大国だ。はい降伏しますとはいくまい。」
「条件付き降伏でもいいですか、その辺をすべて任せてもらえますか。」
アレクはレインが優秀なことは知っていた。だが今の会話でこれほど理解して自分の考えを持っているとは思ってもいなかったのだ。
「レイン、シーラ王国がこのルシア王国への野心を捨てるのならばそれでよい。」
「シーラ王国がルシア王国へ攻めこまなけばいいのですね。」
「まぁ本当は使者なのだがな・・・」
アレクはレインを見て苦笑いをする。
使者なのだから言う事を言って帰ってきてもいいのである。それをレインは相手と交渉しようとしているのである。
「レインに全権委任を授ける。好きなようにするがよい。」
レインは張り切っていた。
初めてのアレクからの仕事である。
「シロ、グリぃ、父上からの仕事成功させないとね。」
「ガウゥ」
「きゅぅ」
レインは一度大急ぎでルガー王国まで戻る事にした。
大空を飛びながらレインは考える、考える、考え抜いていく。
ルシア王国よりシーラ王国の地図や内情などを聞いたレインはどうすればシーラ王国が納得してくれるかを考えていた。シーラ王国はルシア王国へ戦争を仕掛けようとしている国である。辞めてくれと言ってもはい分かりましたとはいくわけがないのである。
だがルシア王国の内乱が沈静化をして隣国も滅ぼされた今、シーラ王国は次はシーラだと思うだろう。
まだ隣国が滅ぼされていなければシーラ王国も警戒する事はなかっただろう。
レインはルガー王国の王都へと2時間ほどで着いてしまった。さすがドラゴンである。
レインは兄であるレリウスに会いに来たのではない。シルバーウルフに会いに来たのである。
レインの友達であるシルバーウルフは縄張りを広げ今では狼系の魔物たちの頂点にいるのである。
そのためにルガー王国とその近郊では魔物に襲われるものはいない。シルバーウルフたちが守っているからである。
「ウル、ルフ元気だったかぁ。」
ぺろぺろぺろぺろ
「うう止めて潰れるつぶれるぅー。」
レインはシルバーウルフたちに大歓迎のペロペロをされていた。顔じゅうべたべたになっていた。
「ねぇ、ウルかルウのどちらかシーラ王国まで来てくれない。」
ウルとルウはお互いを見る。するとウルが「ワオン」と返事をする。
「ウルが来てくれるのありがとう。少し仲間も連れてきていいよ。」
「ワオン」
ウルはぶんぶんと尻尾を振っている。一方ルウの尻尾はひんと立ったままであった。
レインに指示によりシルバーウルフたちはシーラ王国へ向けて走って行ってしまった。
ウルたちが到着するまでには数日はかかる事からレインよりも先に出発させたのである。
「ルウここの守りを頼んだよ。」
「ワオーーン。」
尻尾がぶんぶんしている。
「また来るからね。」
レインはレリウスに会うために館に向かった。