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45話 カイン

オリオン領南部


「カイン様、もう会議が始まります。」

「そうか、今行く。」


「それでは、会議を始めます。今日の議題は、シャムさんから上がっています難民問題ですね。」


カイン領、そこは大森林と北山脈の間にある平原だ。そこに獣人が避難してきたのが始まりである。

今では、戦火を逃れて続々と人がやってくる。ゲートル男爵を経由して避難民が来るのだ。

中には大森林を通ってくるものまでいる。

人間、獣人とドワーフ、エルフまでいる、人種問わずに受け入れているからだ。

オリオン領からの移住は中止にしている。町の開発が追いつかないのだ。


原因は、ミルトン王国とグラムット帝国が戦争をしている事だ。

グラムット帝国が侵略戦争をしかけたのだ。以前に獣人の国もグラムット帝国に滅ぼされている。

カインや獣人の心情も複雑だ、避難民を助けてやりたい。だが限度がある。

やっと自分たちが、生活できるようになったばかりなのだ。

「拡張工事の状況は、どうだ。」

「はい、24時間体制で工事を行っています。」

「あと、仕事を与えないとな。ただ飯はやれんからな。」

「戦える者は、大森林の調査に就かせろ。あとは農地開発、町開発に回せ。いいかよく聞け、来たものはすべて助ける。これは決定事項だ。」

「そうだ、今度ここに冒険者ギルドの支部が出来るぞ。これでアレク領に売りに行かなくていい手間が省けるぞ。

大森林の魔物は高値で売れるからな。アハハハ。」


「あの、カイン様。」

「何だ、サム。」

「ミルトン王国ですが、状況がよくないようです。元々の国力が違いますが、侵略されるのは時間の問題と思われます。」

「やっぱりな、どのくらいミルトン王国は持つかな。」

「2年は耐えれると思いますが、早ければ1年半かと。」

「救援要請が来そうだな。」


カイン領は大森林と山脈に、囲まれているので安全なのだ。

だが、大森林の外が大変騒がしい。オリオン家はミルトン王国のゲートル男爵と交易を行っている。

「準備だけはしておくようにな。そのために軍隊をつくったんだからな。」

「今、戦えばカイン軍でグラムット帝国を駆逐できるでしょう。」


カインは苦笑いしている。


カイン軍は騎士団ではない。カイン領には騎士はいない。南部では騎士団ではなく軍隊なのだ。

騎士がいないわけではなく、騎士は称号として戦士に与えている。

カイン領でも、軍隊の形式をとっているのだ。

「他には、何かあるか。」

「軍の、加入希望者が多すぎます。」

また、苦笑い。「試験で落とせ。戦力以外はいらん。」


その他諸々と話をしていく。その日の会議は終了した。


カイン領は、難民問題はあるがあとは平和だ。種族が違ってもみんな仲良くしている。

街は、もう都市になっている。商店街も出来上がり周りは農地が広がっている。

北部とのトンネルがあるので、南部の国々と無理に交易をする必要がないのだ。

特にアレク領には迷宮があるので、鉄、銀、金等の鉱石が必要な分は輸入できるのだ。


カインは軍練習場に来ていた。


「大隊長、こっちに来てくれ。」


カイン軍は4大隊ある。小隊15人、小隊4つで中隊60人、中隊4つで大隊、大隊は240人となる。

そのほかにも補給部隊、衛生隊があり日々訓練を重ねている。


「大隊の魔法取得は進んでいるか。」

「はい、獣人は身体強化が強力で、撃つ、飛ばすのはダメですね。ドワーフは土系がいいようです。開発にも役立っています。あとエルフですが色々です。」

「まぁ、そうだろうな。主力は獣人となるだろう、人数が一番多いしな。」


獣人は、元から身体能力が高かった。それが魔法を覚えてからはさらに身体能力が上がったのだ。目がよくなり、動くスピードも上がり、魔法を避けれるようになった。一部のみだが。


ドワーフは魔法が当たっても耐えれる。ひげが焦げて絶叫するが。


エルフは色々である。

「エルフは魔法隊を中心に頼む。」

「あとは、今日の模擬戦だな。」


カインは、模擬戦を毎日行っている。隊員たちを相手に、一日10人前後。隊員達は、自分がやると争いが起きるほどだ。獣人だけだが。

1対1でカインは攻撃なしで、10人に指導して、1対10で模擬戦を行う。


「いいか、今回は絶対に一撃いれるぞ。」「おーーっ」


「始め」


獣人10人はカインを囲むように散らばる。

一気に間合いを詰めて、カインに襲い掛かる。カインも敵1人に向かい走り出す。すれ違いざまに1人を手刀で倒す。そして駆け抜け時計回りに動き2人目を殴り、3人目を蹴飛ばし、4,5,6,7,8,9と一発でダウンさせていく。最後の10人目は対面で向き合う。泥沼で足を止めさせファイヤーボールで撃沈させる。


「いいか、相手を見るのも大事だが、感覚だ、勘を大事にしろ。」獣人は納得していた。


カインは肉体派と自分で言っている。他の人は脳筋と言う。だが内政もやるし、開発もこなす。

人種の差別自体を知らない。元々北部は人間しかいなかった。南部に来て、他の人種、種族がいることを知っただけだ。南部に差別があったとしても関係ないのだ。

カインは、楽しく暮らせればいいのだ。それでいいのだ。

今カイン領は、笑顔がある。獣人、ドワーフ、エルフ、人間と仲良く笑っている。

南部ではありえない事のようだ。


「カイン兄ぃぃー。お土産もってきたよー。」


アレクはたまに遊びに来る。いつもお土産を大量に持ってくるのだ。

その都度、カイン領は便利になっていくのであった。


「ここに、街灯がほしいな。」

「持ってきてるよ。」


仲の良い、アレクとカインである。







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