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438話

ルシア王国の町、マルテの町は途方に暮れていた。

前日に1人の男が現われワルダー公爵を追い出してしまったのだ。

町の顔役たちが集まり今後の対応を話し合っていた。


「どうする。」

「どうにもならないだろう。」

「あの男、アレク様にこの町を守ってもらうしかあるまい。」

「そうだな強そうだし、それしかないだろうな。」

「でも公爵が大軍で来たらどうする。」

「・・・・・・」



アレクはこの町の領主館にいた。この町に残っていた。数少ないワルダー公爵家の使用人達に町の資料を集めさせたのだ。


アレクはマルテの町の税や人口、法律などを調べていた。


「酷いものだな。これでよくマルテの町の運営が出来ていたな。」


マルテの町は農地が少ない、周りには農家を主体とした村が幾つか点在している為にそこから食料を購入しているのであった。

マルテの町の主な収入源は人頭税と商人からの税であった。決して高くはないが金勘定がざるである。

町の規模に対して極限まで衛兵を減らし、出資を抑えている。そのために一歩町を出ると盗賊や魔物が闊歩している状態である。街の中は安全であるがこの町に来るものは段々と減ってきている状態である。


アレクは艦隊を昨日の時点で呼び寄せていた。

艦隊は町の外で待機をしている。10人ほどはアレクのいる館にまで来て作業をしているが、あとは周りの村や街道で魔物狩りをさせている。


「アレク様、よろしいでしょうか。」

「うん、どうした。」

「街の有力者たちが面会を求めています。」

「そうか、通せ。」


領主館にきていたのは、昨日の親子と3人の男であった。


「初めまして、私はマルテの町の商工会会頭のテンドと申します。」

「初めまして私はマルテの商人オルスと申します。」

「俺は町のまとめ役でユーリだ。」

「昨日は危ない所を助けていただきありがとうございました。アンナと申します。後娘のハンナです。」

「ありがとうごございましゅた。ハハンナでしゅ。」


「おぉ、偉いな挨拶が出来るのだな。」ニコニコと笑うアレクにハンナは少しだけ緊張がとれたようだ。


「えーーっと、そのーー、今後の事をお聞きしたく領主様の所にやってまいりました。」

「おー、そうだったな。」

心配そうな大人4人に対してハンナは緊張がとれたのかニコニコしている。


「今後というとあのバカ貴族の仕返しを心配しているのだろう。」

「そその通りです。はい。」

「心配するな、たとえ1万の軍が来たとしても全く問題は無い。10万でも問題ないがな。」

「領主様、あのワルダー公爵はルシア王国でも一番の権力者です。逆らう事は出来ません、どうかお逃げください。」

「心配するな、問題は無い。」

アレクの言葉に困ってしまっている男たち。

「ま、町に被害を出さないように出来るのでしょうか。」

「出来るぞ。おい。」

アレクが声を掛けると部屋の中にアレクの部下たちが入ってきた。突然入ってきた男たちに驚くテンド達であった。

「昨日のうちに家臣たちを呼び寄せておいたのだ。これで町の治安と運営をさせる。この町に被害が及ぶことはないから安心してくれ。」


そうは言われても10人ほどの人しか見ていないのだ。信用など出来るはずもないのであった。


「だ大丈夫でしょうか。」

「信用できないだろうがこの10人で1000の軍を相手に勝てるぞ。」

「・・・・・」

「領主様とワルダー公爵様の間の争いにはマルテの町は関係ないとして頂きたいのですか・・」

「そうだな、信用しろという方が今は難しいだろう。公文書を発行しよう。」

「あああありがとうございます。そそれとこのアンナとハンナの事ですが領主様の所で雇ってもらえないでしょうか。」

「そう言う事か、アンナとハンナはこれからワルダーに拐われるというのだな。」

「あっはい、その可能性が高いと思います。」

「よかろう、この館で働くがよい。」

「「ありがとうございます。」」

アンナとハンナは同時に御礼を言っていた。


それから15日ほどアレクは町の改革を行っていた。先ず町の拡張を行い商業スペースを拡張したのだ。このマルテの町は4本の街道が集まる場所にあった。各街道から商人や物資が毎日集まってきている。交易の拠点になっているのである。

このマルテの町を避けていくには魔物被害が多くなっている為に商人はこの町を利用しているのである。商人にしてみればかなりの出費であったのだが、アレクが商人に対して税を撤廃したことも有りここ数日で商人の数が倍増していた。


マルテの町中で傷んでいる家の補修、防壁の補修などをアレク艦隊の者達が手早く作業している。

町の者達は呆気に取られている。これほどの大工事を10日前後で終わらせてしまったのだ。

アレクの評価が一変している。ワルダーと比べアレクはもの凄いいい領主となってしまっていた。



ワルダー公爵側


「おい、兵は集まったのか。」

「はい閣下。3万の兵が集まりました。」

「3万だとマルテを攻めるのにそのくらい必要なのか。」

「マルテだけならば1000もいれば大丈夫ですが、どうせならば閣下のお力を示すチャンスです。マルテは国堺沿いであります。マルスを占領した後に逃亡したという事で御領地を広げてはいかがでしょうか。」

「おおーさすが名軍師だ。よき案だ。採用しよう。好きにやれ。」


この自称、名軍師はワルダーを利用しようとしていた。ワルダーに従う貴族達を集め反乱を画策していたのである。

ワルダーの元に集まっている貴族達も自分の利益を考え集まっただけである。ワルダーに人望は全くないのである。

集まった貴族達はそんな事はおくびにも出さない。ワルダー公爵を持ち上げ煽てている。そして戦後の恩賞を約束させていた。酔ったワルダー公爵は気前よく約束してた。

ワルダーは戦をしたことが今まで一度もなかった。ワルダーが不幸だったのが集まった貴族達の前で恩賞を約束した事である。幾人もの貴族の前での約束は果たさなければならないのだ。それがどんなに理不尽な約束でもであった。



数日後、気分の良いワルダーは公都より3万の大軍でマルテの町を目指して軍を進めたのである。


マルテの町までは5日の距離である。




「アレク様、報告します。ワルダー軍3万が公都を出ました。」

「そうか、到着は5日後だな。」

「はい予想では5日後となります。」

「5日後までに各地域の村長などを集めておけ、戦いを見学させる。」

「はっ、了解しました。」



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