420話
オリオン王国王都
オリオン王国ルドルフ王(オリオン王国連合盟主)、ノースオリオン王国レオン王、獣王国カイン王、SEオリオン王国アレクス王、オリオン銀行頭取・世界流通機構代表マリアとイリア。
ここにオリオン王国連合の最高決定機関が初めての会合を行っていた。以前の7公爵会議は無くなり、新たにオリオン円卓会議となっていた。
「みんな久しぶりのオリオン王都じゃないか。」
「ルドルフ兄、そうなんですよ久しぶりですが王都に人増えましたね。」
「そうなんだよ、今は王都と周辺だけで300万人住んで居るな。」
「300万人いるのに町は綺麗ですね。統治がしっかり出来ている証拠ですね。」
「おう、アレクに言われると自信がつくな。」
「兄貴、始めようぜ。」
「そうだな、では始めるぞ。今回集まってもらったのはこれからの事の確認だ。今オリオン王国連合はアース大陸、タンドラ大陸、フロンティア大陸と3つの大陸に国や領地を持っている。今後の事を考え大まかな方針を決めておきたい。」
「兄貴いいか。ノースオリオンはアース大陸北部の統一はやりたくない。」
「レオン兄どうしてですか、ノースオリオンが遣らなければ揉めてしまいますよ。」
「アレク何もしなければ揉めることもないんじゃないか。」
レオンはアース大陸北部ではローエム帝国が超大国として絶大な力を持っている為に態々苦労して統一、又は国の取りまとめをしなくともいいのではないかと言っているのである。それは正論であった。
ノースオリオン王国も大きな力を持ちこの2か国が協力していればたいていの事は解決するであろう。
「レオン兄、西はどうするんです。」
アレクの言う西とはアース大陸の西側の事である。
「アレク、アース大陸は広大だ。アースの大陸中央にあるノースオリオンから西の端まで何千キロもあるのだ。西の端で争いが起きてもすぐには影響はないのではないか。」
「分かりましたノースオリオン王国の王はレオン兄です。戦争で苦労するのは民ですから戦争をしないに越したことはありませんね。」アレクが素直に引き下がった。
「レオン、アレク、少しいいかしら。」
「どうしたマリア。」
「うちがアース大陸いいえ、世界中の流通網を持っていることは知っているわよね。アース大陸の西側は戦争準備をしているわ。」
「マリア姉、それは物資を買いあさっているという事ですか。」
「ええそうよ、どこと戦争するのかは分からないけど間違いなく戦争を起こす気でしょうね。」
「まぁ、西側のどこかの国同士だろう。問題は無いか。」
この時の事を後にルドルフは後悔する事になる。アース大陸の西側の小さな争いと思い様子見をしたことで戦争が拡大していったのだ。この始まりの戦争を早期に解決していれば大陸中を巻き込む戦争にはなっていなかったのである。
ルドルフはこの集まりを引っ張っていく事ができるのかと思っていた。自国の安定を求めているレオン、戦闘狂なカイン、策士アレク、経済を牛耳っているマリアとイリア、こんな個性派たちを良く父は抑えていたものだと感心しているのである。
「いいか、皆誓約をしてくれ。この場で決まった事は守ると。」
「誓約する。」
「誓約する。」
「同じに誓約します。」
「私も誓約するわ。」
「勿論誓約するわ。」
「みんなありがとう。色々と決めなければいけない事もあるがこの円卓会議の決定がオリオン王国連合の未来を決定する事を頭に入れといてもらいたい。そしてこの決定に責任も生じるという事だ。」
「そうね世界経済を引っ張っているのは間違いなくオリオン王国よ。オリオン王国が傾けば世界恐慌が起きるわね。」
「ま、マジか。」
「当たり前じゃないルドルフお兄様。オリオン王国はそれほどの力を持っているのよ。世界中の国土の半分は関係国なのよ。」
「政策とかも間違いでしたではすまないな。」
「あたりまえでしょ。」
「ルドルフ兄はタンドラ大陸のような事を目指しているんですか。」
「タンドラ大陸機構か、そうだな俺はこのアース大陸南部ではそうしたいと思っている。」
「他の場所は違うという事ですか。」
「ああそうだ、俺はそんなに力がない、だからみんなに任せたいと思っている。」
「バカをいうなよ兄貴。兄貴が治めないでどうするんだ。俺は兄貴の指示なら必ず従うぞ。」
「レオン、ありがとう。だけどなこの世界は広すぎるんだ。俺がすべてを治めるのは大きすぎるんだよ。」
「ルドルフ兄、そこまで考えなくともいいのではないでしょうか。この世界は大きいですが、ルドルフ兄は問題が起こった時に指示を出してもらえれば後は兄弟達で動きますよ、ねぇレオン兄。」
「そうだ、アレクの言うとおりだ。心配すんなよ。」
「そうだ一応担当を大まかに決めておきましょう。ルドルフ兄はオリオン王国連合の盟主ですからみんなはルドルフ兄に従うこれはいいですね。」
「あぁ、いいよ。」
「分かった、了解」
「勿論いいわ」
「了解するわ」
「経済や流通、紙幣の発行は今まで通りマリア姉とイリア姉にお願いします。これは経済の事が分かっている人でないとできませんからね。それとレオン兄には各国の調停役をお願いします。ルドルフ兄の仕事を少しでも減らしたいですからね。」
「分かった、兄貴仕事を振ってくれ出来る限りやるから。」
「おうー、頼むぞレオン。」
「あ、兄貴今日一の笑顔だな。」
「カイン兄には陸軍のトップに私は空軍のトップにつきます。万一争いが起きた時はカイン兄と私が出て争いを鎮める事にします。」
「「「「妥当ね。だな。」」」」
「それと大陸の事ですがタンドラ大陸はタンドラ大陸機構がありますから問題はありませんが、アース大陸は北部をレオン兄、南部をルドルフ兄を担当してもらいます。これは何か問題が起きた時にすぐ対応できるようにするためですね。」
「まぁそうなるよな。仕方ない了解する。」
「おー、いいな南部だけなら問題ないな。」
「ルドルフ兄南部だけではないですよ、世界中を見るんですよ、北部の事もレオン兄を通じてルドルフ兄に行くだけですよ。タンドラ大陸の事も大陸機構と通じてルドルフ兄にいくだけです。」
「・・・・・・」
「そして当分は私とカイン兄でフロンティア大陸を担当します。」
「そうだな、あそこが一番戦争になるからな。」
「ルドルフ兄、フロンティア大陸の事は全権委任を下さい。」
「アレク、他の国をすべて滅ぼしてオリオンにするような事は無いだろうな。」
「ありませんよ、フロンティア大陸の北部の様に地域ごとに分け統治させる考えです。」
「民の被害を最小限、そして種族平等を守れば全権委任を渡すぞ。」
「ありがとうございます。これでルドルフ兄が神だという事を証明できます。」
「おおーーーいいなそれー。」
「アレク全権委任は取り消す。お前は謹慎だーー。」
「ルドルフ兄、それは無理です。ほかの人達も賛成していますからね。」
「アレクに全権委任に賛成するわ。」
「私も賛成。」
「兄貴俺も賛成だ。」
「俺も賛成。これで戦えるぞ。」
がっくりとうなだれるルドルフであった。




