42話 ブートキャンプだ
アレクは燃えていた。ブートキャンプだぁー。
意気揚々と、デリックのもとに向かう。オリオン騎士団の訓練についての打ち合わせだ。
デリックに訓練内容を説明すると、止められた。
今は、精神面を鍛えている時ではなく、戦力の強化だと言われてしまった。
アレクも最もだと思い直した、騎士団強化作戦に変更したのだ。
デリックに騎士団強化作戦とはと質問されたが、今考え中と答えて怒られた。
騎士団が練習場に集まっていた。
「アレクス様の訓練って大丈夫かな。」
「死なないよな。」
「大丈夫、大丈夫・・・・」
「お腹が痛くなってきた。」
「・・・」
アレクが上段の上る。
「諸君、君たちは、今から人間ではない。機械だ。」「キカイダー」
騎士は、1対1の戦いを好む。騎士のプライドなのだろう。だが戦いは1対1だけではない。1対多数、多数対1、多数対多数、色々な戦いが想定される。
今までは、剣、槍、弓での戦いであった。今後は魔法がプラスされる。
騎士たちは、アレクがどの様な訓練を行うのか、戦々恐々としていた。一日中走らされるのか、100人組み手か。だが違った。
ひたすら、魔法の詠唄をさせられた。ぶつぶつ、ブツブツ、ブツブツ、ぶつぶつ、と永遠にずーっとだ。
「いいかぁー、お前らは、詠唄を唱える機械だ。」
騎士たちは、詠唄しては魔法を放ち、詠唄しては魔法を放ちと、延々と繰り返した。
魔力がなくなると、魔力補充機で補充して休ませなかったのだ。
詠唄の訓練をしていると。 なんということでしょう。
騎士たちの詠唄が変わった。魔法の名前を唱えるだけで発動するではありませんか。なんということでしょう。
騎士たちは、びっくりしなかった。今は機械なのだから。
それからは、ファアイヤーボール等の一言で発動する。魔法を維持をさせる訓練に移っていった。
魔法を放つ、撃つだけで終わらせては、それでおしまいである。
魔法を放つ前の段階、そこで維持し、止めさせるのだ。
維持している魔法を撃つのだが、同じ場所に撃つ訓練をさせられていた。
これも延々とやらされた。機械は疲れないのだ。
同じ場所に撃てるように、アレクは細工をしたのだ。機械にある装置を取り付けたのだ。距離を測る計測機を機械のレンズ部分に取り付けたのだ。
これで、目標物に正確に当たるようになった。その結果、200メートル先の1メートルの標的に当てられるようになった。
機械たちは、3,2,1,撃て。魔法を放つ、各種魔法が標的に向かっていく。
ほぼ同時に標的に当たる。当たった瞬間、魔法が拡散したのだ。拡散した魔法は、辺りを焼き、吹き飛ばした。魔法をエネルギーとして、一か所に集めてぶつける。そうするとぶつかり合ったエネルギーは混ざる、そして反発して拡散したのだ。アレクは名付けた、拡散魔動砲と。
これには、機械たちも、一瞬人間に戻り驚いていた。
機械たちは、人間に戻り、休憩をとっていた。
「いやぁ、お前は機械だ。っていわれると意識がなくなるよな。」
「そうそう、なんでだろう。」
「人間に戻れてよかった。」
「アレク様はやばいね。」
「あの方はおかしいよ。」
「色々と・・・・・」
「騎士団諸君、休憩は終わりだ、お前らはキカイダー。」
機械たちは、一瞬で並列した。訓練の始まりだ。
アレクは、機械たちに走りながらの魔法発動訓練を始めさせた。
王都
王国騎士団
「父上、この訓練の内容は、やれるのでしょうか。」
「王国騎士団は、プライドが高いからな無理だろう。」
「出来そうな、そうだな走って発動をやらせるか。その前にレオン、騎士団の上位10人を叩きのめせ。」
「はっ、徹底的にやりますよ。」
「許可は取ってある。」
ハロルドとレオンは、王国騎士団長に会うために宿舎に向かう。
「初めまして。王命により騎士団の訓練に来た、ハロルドだ。こちらは次男のレオン準男爵だ。」
「ようこそおいで下さいました。バリオン・ハードルです。騎士団長をしています。国王より、指示に従うよう言われております。」
ハロルド、レオン、バリオンの3人は訓練のやり方、目的、運用の内容を細かく打ち合わせを行った。
バリオンには、ハロルドが教える。以下の団員はレオンが1対多数で一度全員を叩きのめしてから、訓練を始めると宣言をした。
バリオンは、いくらレオンが強くとも騎士団相手では無理だと言い張り、レオンが負けたら訓練事態を中止をすると言う話になった。
中止になった場合は、ハロルドが国王に報告をする。騎士団は、問題なしと伝える事となった。
王国騎士団練習場
王国騎士団は、騎士一人に従士が3人から5人ついている。
騎士は総勢300人となり集団としては、1500人規模になる。この集団が6つあるのだ。
第1騎士団から第6戦隊騎士団だ。各名称があるようだ。
今回の騎士団は第1騎士団だ。騎士団で一番、優秀で強者と言われている。
「レオン、殺すなよ。」
「手加減しますから。」
この言葉を聞いていたバリオンは、言葉の意味を理解できなかった。レオンが勝つことは無いと思っているからだ。
バリオン団長が、騎士たちにレオンと戦う旨を伝えると、騎士たちは呆れ返ったのだ。王国最強の自分たちが一人の人間と戦うなどプライドが許さない。
レオンは挑発した。
「オリオン騎士団が最強だ。貴様らはオリオン騎士団に敵わない。そのオリオン騎士団は、私に勝てないのだ。」と
騎士たちは、いきり立った。
こいつを、殺す。1対騎士たちの戦いが決定した。
勝負は、あっけなく終了した。そう、ただ終わっただけ。
レオンは武器も持たずに立っている。騎士300人は対面に布陣している。
開始の合図がすると、騎士たちはレオンに向かって、襲い掛かろうと走ってくる。
レオンは、「バインド」とつぶやく。
300人の騎士は、全員が拘束されたのだ。身動きが取れず、近寄ることも出来ずに終了したのだ。
納得のいかない騎士たちは、個人戦、1対10のバインド無しで、何度も勝負を挑んだがすべて負けた。
レオンは、すました顔で騎士をけなし、罵った。高いプライドをへし折ったのだ。
こうして王国騎士団の訓練は、始まったのであった。