41話 つうしんき
オリオン領都
オリオン家の人たちが集まっていた。
「今日、皆に集まってもらったのは、ローエム王国より、依頼があったからだ。ローエム王国から魔法使いを、育ててほしいと依頼が来た。」
「育てるですか。」
「それはだな」
ローエム王国は、魔法解放と銘打って魔法を使えるようにしたのだが、使えるだけで上手く使用が出来なかったのだ。王国民(平民)に対しては、生活魔法、下級魔法だけの販売だが、平民以外の人々に、高値で中級魔法を売ったのである。魔法を使って魔力がなくなり倒れたり、魔法で決闘等の色々と身分の高いものがやらかしてしまっていた。それがローエム王国だけでなく他の国でも同じ事が起きて、それが問題になっている。
魔法をきちんと使用でき、教える事の出来る人間を育ててほしいとなった。
「オリオン領は、問題ないですよね」
「問題ないね。」
オリオン領では、オリオン領民は生活魔法だけ、家臣たちは下級魔法まで使用出来るようになっている。
家臣たちは、無暗な使用を厳しく指導されているので騒ぎ等は起こしていない。オリオン領の騎士団は、皆中級まで使用している。
「学校を造るとか。」
「無理でしょう、人数が多すぎて教えられない。」
「使用の説明書だけでは、だめでしたか。」
「王国も、誰にでも中級魔法を売るからこうなるんだよね。」
「王国は、儲かったんでしょうね。」
「世界中から来ましたからね。」
「凄いでしょうね。」
「僕に、いい案があります。まず、魔法に関する法をつくる。取締まる人に教育をする。
法の整備は重要です。魔法に関しての法律がない状態ですから。早急に法の作成を行うようにする。
後は、取締まる側が弱いと話になりません。」
「この問題は、全部の問題は解決できないでしょう。だけど基本は作ることができます。本来は王国がやる事ですが今回は仕方ないでしょうね。
法の内容としては、魔法を使用できるようになる時に講習を受ける。講習の義務化ですね。
魔法により、事故、事件を起こした時の罰則。
例としては、街中で魔法の使用の禁止、生活魔法は除く等、問題の起きた事例を元に法律の作成を行いましょう。
王国の騎士団に対して、徹底した訓練、訓練、訓練、訓練です。
講習を出来る人を育てます。これは絶対必要です。この教官が居ないと始まりません。
これだけやれば、少しは落ち着くでしょう。多分ですが。」
「わかった。マリア、イリアは基本の法律を作成、ルドルフとエレメルは講習関係を、騎士団の指導は私とレオンだ。」
「あれ、僕は?」
「アレクとカインは領地開発があるだろう。」
「俺は、領地開発に専念するよ。」
「わ、わかったよ。」
アレクは、一旦引き下がる。諦めてはいないようだ。
一旦、解散となった。明日もう一度、内容を詰める事となった。
次の日
マリア、イリアが作成した法律の原案。
魔法取得は、10歳以上とする。
魔法を取得時に講習を受ける。
最初の魔法取得は、生活魔法、下級魔法のみとする。
1年以上の期間を空け、素養を満たした者は中級魔法を取得できる。
街中での魔法使用の禁止。ただし生活魔法は除く。
街中で許可なく使用した者は刑罰に処する。刑罰の内容は、要相談
ルドルフ、エレメルの講習内容
最初の魔法取得時の講習。魔力制御の講習と実技講習。魔法防衛の講習と実技講習。
中級魔法取得時、魔力制御の実技試験。魔法の試験。合格者のみ取得可。
ハロルド、レオンの騎士団への教育
騎士団員の講習、試験。
防衛、攻撃の訓練。
「父上、騎士団にはそれだけでは足りません。情報によりますと、他国では魔法のせいで戦争になっている国があります。早急に騎士団、国の戦力を強化しないといけません。」
「まぁ、そうなんだが私たちは、いち領主に過ぎない。王国の事は国王が決める。」
「なら、オリオン領の騎士団の強化をやらせてください。」
ハロルドは思う。王国の騎士団に子供が教えるのは無理だが、うちの騎士団なら納得するな。
今の王国、外国の状況はよくない戦力の強化は急務だ。
「よし、アレク。オリオン騎士団の教官に任命する。早急に戦力強化を達成せよ。」
「はい、謹んでお受けいたします。」
「私は、国王に法律制定等の提案に行ってくる。準備はしといてくれ。」
ハロルドは王国からの依頼に対し、提案を持っていき認められた。
こうして、法律制定等の準備に入った。
アレクは、ハロルドとレオンに、実技講習と訓練方法の教本を渡した。ルドルフ、エレメルにも講習、実技試験用の教本も渡した。マリア、イリアには何も渡さなかった。マリア、イリアの方が法律に詳しいからだ。
オリオン領都の幹部が王都に移動したため、オリオン領の内政が滞る可能性が出ていた。
そこで、アレクにまた指示が出る。オリオン領と王都で連絡を取れるようにすること。
アレクは思った。父はのび太。僕、ドラえもん。ポケットから取り出す。「つうしんきぃ。」
アレクは、簡単に通信機を出した。迷宮産の通信機だった。
だが、オリオン領都と王都の距離が、離れすぎて使えなかった。
通信を可能にするために、アレクは山の上に、鉄塔を建てアンテナを付けた。
こうして、オリオン領都の、自称領主代行代理の騎士団の教官が俺の天下だぁぁぁ、と言って走り回っていた。ある領民は、「いつもの事だね。」「面白い子だね。」
だがオリオン領騎士団員は、がくブルであった。 ブルブル。