405話
ルドルフは久しぶりの7公爵会議がある為に、オリオン王国王都まで戻ってきていた。
「やぁー主(神)さま久しぶり。」
ルドルフに対して話しかけたのはレオンである。
「レオン、何故お前がその事を知っているんだ。」
「兄貴、アース大陸でも有名だぞ。」
「マジか・・・」
「ノースオリオンにも教会が出来る話まで出ているぞ。」
ルドルフは頭を抱えたくなっていた。ここまで大事になるなんて思ってもいなかったのである。
他のメンバーも順次入室していく。全員がそろったところでオリオン王国の王であるハロルドが入ってくる。
「待たせたな。何年ぶりの7公爵会議だ?」
「3年ぶりですかね。」
「そうかこの会議も前は月一だったなぁ-。」
「父上始めましょう、皆も忙しい身ですから。」
「おおすまん。」
王であり、オリオン王国連合の盟主であるハロルドが話し出す。
「ワシは引退する事にした。」
出席している7公爵は唖然としてしまった。父であるハロルドは70を超えて普通であれば引退している齢であるがアレクの能力解放の影響かまだ若く体も動く。
「父上本気ですか。」
「ルドルフ当たり前だろう。こんなこと冗談では言えまい。」
「そうですが、今フロンティア大陸でも色々と問題も抱えています。オリオン王国連合も一枚岩ではありません。」
「それは仕方のない事だぞ、いつかは代替わりをしなければなるまいそれが今だというだけだ。」
「父上、変な噂を聞いたのですがよろしいですか。」
アレクが話に割り込んでくる。
「どうしたアレク。」
「いえねーー、父上。私の良く行く魔道具店の店主がね、父上の事を知っていましてね・・」
「ままま待て、アレク。分かった取り消す。引退を取り消す。」
何故かひとりで焦っているハロルド。
「父上、引退は仕方のない事だと思います。ルドルフ兄に王位を継承させることは賛成します。ですが父上も完全な引退は出来ないでしょう。この数十年で人の寿命が異常に伸びてきています。特に貴族や裕福な者達はたぶんですが120歳ぐらいまでは生きていけると思います。下手したらもっと生きていけます、それも健康な状態で暮らしていけます。民たちの中でも人生50年が80,90歳になると思われます。これはオリオン王国の関係国だけですが、爆発的に人口が増えています。そのために今フロンティア大陸の開発が急務となっているのです。」
アレクの気迫に押され気味のハロルドである。「うむ。」
「もしフロンティア大陸の開発が出来なければあと20年で食料危機となり人口が5分の一にまで減るでしょう。すると大陸中で争いが起こる事となります。そうなってはもう手遅れになります。」
「それは以前お前から説明をされた事だな、だからフロンティア大陸の開発にローエム帝国を混ぜたのだ。」
「そうです、ですが今そのローエム帝国内では争いが起きています。」
「それは他国の事だ、したかあるまい。オリオンが口を挟めることではないぞ。」
「父上の引退と一緒にローエム帝国の皇帝も引退させましょう。」
「はぁーー、お前何言っているんだ。出来るわけないだろー。」
「ええい、父上、マリウスとカトリーヌ様の力を借りればできます。はっきり言いますが今のローエム帝国ではうちと戦争になりますよ。そうなればローエム帝国は滅びます。」
「・・・・・ローエム帝国と戦争は拙いな。」
「そうです、一応まだオリオン家はローエム帝国の爵位を持っていますから。」
この日、話し合った内容はローエム帝国の皇帝を引退させる事、同時にオリオン王国の王であるハロルドも引退をする。デリック公爵も同時に引退となった。ただ仕事は押し付けるつもり満々の兄弟たちである。それを知らないのはハロルドとデリックの二人であった。二人で喜んでいたが、後日仕事を振られて泣いていたとの報告がルドルフに上がったという。
フロンティア大陸のグレーリ王国、ジェントス王国、キンメル王国での聖アース教の事。これはルドルフが教祖という事も含めて議論された。3か国を統一してしまえと言う話にまで発展してしまった。マリアが3か国はもう国としての機能が麻痺していると主張してオリオン主導で立て直しが必要と言ったのだ。普通の国では纏める事は出きないが宗教であれば纏める事が出来ると伝えたのだ。その事でルドルフが反発する。ルドルフは自分が中心になる事を嫌がったのである。だが無駄であった、他の兄弟達が大賛成したのである。みんなから神、紙、髪、かみの大合唱であった。
これには父であるハロルドもルドルフに同情的であった。
そのついでにフロンティア大陸の内容も話し合われていた。フロンティア大陸北部の開発はルガー王国とミント王国、タンドラ機構が協力していることから順調に開発が進められている。
一方、南部に関してはバラバラである。そのために聖アース教の存在を前面に出して広めて行けるならば開発も進んでいくというのである。
アレクも宗教の力を知っている。民が信者となれば纏める事が出来ると思っている。
その中心はもちろん教会都市である。この教会都市をもっと発展させ、聖地であるグレーリ王国の山を聖山としてドラゴンを噴火口の警備に常駐とした。
3か国は統一の報告で話はまとまった。その国の王族たちには新たに公爵位を授け元王族として旧王都を任せる事となった。
勝手に話をしているが王族たちは了解はもちろんもらっていない。これは予定であるのだ。だがここでの話は必ず実行している。世界経済を支配しているマリアとイリア、アース北部をローエム帝国と二強となっているレオン、オリオン王国の次期王であり、神であるルドルフ、獣人の英雄でありアース最強の男カイン(接近戦)、そして迷宮を支配し万能人間であるアレクがいるのである。
3か国を一つにまとめたのちは南部を纏める。これはフロンティア大陸の最南端のカルメン王国(転生者)とリシル王国と協議してタンドラ大陸機構のようにすることで話がまとまった。北部は現状維持で後に統合予定である。
残りはまだまとまっていないアース大陸であるが現状アース大陸の北部はローエム帝国とノースオリオン王国の2強である。纏めるにもまだ多くの国があり簡単にはいかない状態である。
南部はオリオン王国連合の力がある為にアース大陸南部では1強である。グレムット帝国はオリオン王国に対抗する力はもうない。オリオン王国の中にある国との認識が今のグレムット帝国である。そのためにグレムット帝国は急速に発展をしている。今まで軍事に金をかけていた事が必要なくなり開発に力を注ぐことが出来るようになり発展に拍車をかけている。
アース大陸南部の中でオリオン王国と一切の接触を断っているのが西部地域である。アース大陸は大きいそのためにまだ大陸全土まで達していないのである。
今のオリオン王国出ればフロンティア大陸とアース大陸の同時攻略も出来る力を持っている。
だがフロンティア大陸を優先することなった。ルドルフが神であるために優先する事にしたのである。