40話 迷宮改造
戻ってきたアレク。
「師匠、おめでとうございます。」
「うん、ありがとう。これからもお願いね。」
「領主様ですね。」
「いやぁぁ、照れるね。」非常に嬉しそうだ。
「これからの事だけど、方針と予定を伝えておくよ」
正式な領主であるアレクは、今後、冒険者ギルド、商工ギルドの誘致を行う。
冒険者と職人を多く誘致できれば、発展すると考えている。何しろ迷宮が2つもあるのだ。それに北部と南部の中継地点なのだ。人が沢山来るのである。発展しないわけがない。
アレクは、迷宮に1層から10層に魔物を入れない様に指示を出した。
採掘場と農業、酪農、果実園を本格的に稼働させるためだ。
11層以降も改造に入った。11層の反転を止め普通にし、ゴブリン、スライム、コボルドの魔物を12層も同じに、13層をコボルド、オーク他、14層を同じに15層でボス戦を出来るようにした。
16層から19層では環境が変わり遺跡型だったので、宝箱を多く出るようにした。魔物も強めだ。20層はボス戦になる。
21層からは魔力を貯めてからとし、進めない様にしたのだ。
もう一つの迷宮は現状維持とした。
都市予定の街も拡張をして大都市に出来るように造り直している。
「迷宮都市には、何が必要だろう。迷宮都市だから。ドラゴンかな、ドラゴンだよな。ドラゴ・・・・」
「鉄道だな。」
都市や人がいれば物がいる、物を大量に運ぶには鉄道である。
「鉄道か、線路と汽車と駅だよな。」
また独り言をぶつぶつ言いながら、部屋の中をぐるぐる回っている。ようやく考えが纏まり、突然駅を建設している(模型)。先に線路だろ。
アレクは、迷宮前ぇー、迷宮前ぇーと言いながら楽しそうに、駅の看板も造っていた。
鉄道計画は、都市と迷宮を繋ぐ貨物の輸送と通勤用だ。次に北部と南部を繋ぐ。
線路造りの指揮はマックに任せて、アレクは汽車の作成に入った。
「機関車は煙突がないと雰囲気が出ないよなぁー。武骨に見せないとな。」
アレクは、形から入るタイプなのだ。
機関車の作成も飽きたので途中でやめ他に顔を出す。
「リック、マック、ユリ、僕は領主になった。家臣が3人はまずいと思わないか。」
「別にオリオン家から人は来ますから大丈夫ですよ。」
「ほらだって小隊の部下とか拠点にいる孤児院出身の人とか何人か集めてよ自分で聞くからさぁ。」
「諸君、よく集まってくれた。今度、この地の領主となった。アレクス準男爵である。」
「この度、私は家臣の募集を行なう。希望者は名乗り出てくれ。」
「・・・・・・・・・」
アレクは偉そうに、長々とセリフを言ったが希望者は3人、リック、マック、ユリを兄弟のように思っている元孤児院出身者の子たちだ。他は、アレクに待遇面でオリオン家より良くなるのか等の説明を求められたが答えられず。名前をアレクスの家臣に変更すると伝えたが、オリオン家直接からアレクスの家臣になると陪臣になるので拒否されたのだ。
アレクはがっくりしたがすぐに立ち直る。
新しい家臣が出来たのだ。カイ、ホリー、バレーの3人だ。
「これから、宜しく。」
「「「よろしく、お願いします。」」」
「リック、マック、ユリの下に付けるから、面倒見てやってね。」
「仕事があって、雇ったのではないんですか。」
「・・・・・・・・・」
「あっ、機関車。造ってたんだ。早く造らなきゃ。後は頼むねー。」
そしてアレクは、いなくなった。
残された、リック、マック、ユリは、アレクの人となりをじっくりとカイ、ホリー、バレーに説明をした。
カイ、ホリー、バレーはオリオン領でアレクの噂を聞いていたので別段問題は無いようだ。
カイ、ホリー、バレーはリック達と一緒に居れる事が嬉しいようだ。
この後はリック達に訓練、訓練、訓練をさせられ鍛えられていった。
剣と魔法を使う魔法剣士が誕生した。かも知れない。
アレクの直臣は、大した仕事もなく。訓練ばかりしている。
アレクは自分の好きなことをしている。
大丈夫なのだろうか。アレクス・オリオン準男爵家。領地の仕事の計画、段取り、手配等はマリアが仕切り、労働者の賃金、物資の支払い等は、イリアが行っている。
だから、安心してみんなが仕事が出来ているのだ。もしアレクが自分でやっていたら都市開発は出来なかったろう。みんな分かっているが何も言わない。
オリオン領のすべての人たちが分かっているのだ。少し気まぐれな天才だと、そして変人である。
そんなアレクは、仕事人間だと思っている。
機関車を早く造らないと、トントン、カンカンと試行錯誤しながら、完成させていく。機関車、貨物車、客車、、客車はこだわりが出てしまった。通勤用長椅子車両、旅行用車両、旅行用車両をどのような形にするか決まらない。個室かな。
豪華な客車ではなく、向かい合って座れる椅子を、囲んで部屋にしただけだった。
これの方が、味が出るよなー。
鉄道会社造らないとなー、切符をつくらないと、切符を切るやつも、とか色々と考えていた。
考えながらでも、手は止まらないさすがアレク。
完成した。だが線路が、まだだった。