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395話

「何、ローエム帝国の地域に攻め入っている国があるのか。」


ローエム帝国(フロンティア大陸地域)の開発地域の隣国、ジェントス王国の右隣にあるキンメル王国がローエム帝国地域に攻め込んでいるとアレクに伝えてきたのだ。


位置としてはジェントス王国は大陸のほぼ中央にありそこより北側は今ローエム帝国、オリオン王国などが開発している地域となる。ジェントス王国の左側はグレーリ王国、右側が今回ローエム帝国に攻め込んだキンメル王国となる。

ローエム帝国とキンメル王国では国の規模が違うために全く警戒していなかった。警戒していなかったといっても、ローエム帝国関連の兵は多くいる。1か国や2か国が攻め込んだとしても容易に落とせるものでは無い。


「アレク様、ローエム帝国より援軍要請が来ております。いかがいたしましょう。」

「状況は分かるか。」


キンメル王国はローエム帝国地域に3万の兵で攻め込んでいる。ローエム帝国には合計ではあるが8万もの兵が駐屯している。ローエム地域とキンメル王国の国土だけを見ても約6倍以上もの差があり通常では考えられない事である。

キンメル軍を待ち構えていたローエム帝国側は3万の軍を派遣して合戦となったが、一方的に蹴散らされ敗北した。

同数の兵であるために余程指揮官が無能でない限り一方的に敗北する事はまずない。

アレクもローエム帝国の指揮官が何かへまをやらかしたのだと思ったがそれは違うようであった。

キンメル軍が強かったのだ。


アレクは緊急事態として、ルドルフとカインを呼び出し対策を練る事となった。

ローエム帝国の担当地域への派遣はしなければならない、同盟国からの要請である為に兵の派遣は決まっている。だが3万の兵を一方的に殲滅出来る軍へ無暗に兵を投入する事はどうなのかという話になっている。

アレクとカインはすぐに行こうとなったがルドルフが慎重論を唱えたのだ。

性格上、ルドルフが慎重論という事は分かっていた。アレクも承知していたが、あまりにも慎重すぎるために兄弟喧嘩が勃発してしまった。


「ルドルフ兄、戦は待ってくれないんだ。速く行くことが先決だ。」

「カイン、無暗に自国の兵を出すことは出来ない。」


「この分からずやーー。ボコッ、ヒュン、シュ。」

「キン、スッ、ボコン。」


ルドルフとカインの喧嘩はアレクの仲裁にて幕を閉じた。カインとアレクが先発してローエム帝国の地域に行く事となった。状況に応じてルドルフが軍を率いて第二陣としていく事となった。ルドルフは兵を集めるために、一度オリオン担当地域に戻りタンドラと共同で軍を組織することなった。


「ルドルフ兄、出来る限り兵を集めてください。相手が不明ですから最大兵力で行かないといけませんからね。」

「アレク、分かっている。連絡だけはこまめに教えてくれよ。」

「了解です。」



アレクは艦隊を二手に分けた。アレクが率いる艦は戦艦3隻と空母2隻、小型艦20隻である。

カインはアレクの艦隊に同乗しているがカイン艦隊も同行している。カインの艦隊は戦艦1隻、空母2隻、小型艦10隻、突撃強襲艦2隻となっている。

カインの艦隊の特注は突撃強襲艦である。装甲を分厚くした艦である。敵陣に突っ込み敵のど真ん中に着陸するのだ。その中から獣人部隊が湧くように出てくると言う、びっくり箱のような船である。


「カイン兄、今回は少し慎重に行きましょう。」

「なぜだよ、3万なんて兵は問題ないだろう。」

「そうです、だからおかしいんですよ。ローエム帝国の兵はオリオンには敵いませんがかなり強いです。そこらの国の兵など2倍程度であれば勝つことが出来ると思っていました、ですが今回同数で負けました。余程無能な指揮官でない限りこんな結果にはなりません。」


アレクの懸念は当たっていた。ローエム帝国側の指揮官は有能な将官であった。同数の敵であっても油断せずに戦っていたが。キンメル王国側から一つの小隊規模の兵が出てきたことで事態は一変した。その小隊は人では無かった。魔物の容姿をしている小隊であった。魔物のようにむやみやたらに暴れまわるような事は無かった。統率が取れて、訓練されているような動きであった。それも魔物の特徴をそのまま持った戦いであった。それは不思議な部隊であった。屈強なオーガが5体、そしてうすい青い肌の人(魔物)5体の編成であった。オーガは接近戦用兵、青肌の魔物は魔法系の兵であった。この青肌の魔物が大変な曲者であった。対峙したローエム帝国の兵が悲しがりのような状態になり動けなくなったのだ。そのすきにオーガが暴れまわったのだ。ローエム帝国の兵たちは動けなくなった体だが目だけは動かすことが出来た。周りで暴れるオーガが仲間を引き裂いていく様を目のあたりにして恐怖に震えてしまったのだ。

幾らオーガ5体でも短時間に3万もの兵を殴り殺したり、引き裂いたりは出来ない。金縛りが解けても兵たちは恐怖で動けなくなっていた。そこにキンメル軍本体が突撃してきたのだ。

ローエム帝国軍3万は全滅した。将軍も兵も一人残らず殺されたのであった。


それを遠くから戦場を記録する者達がいた。ローエム帝国では戦場を見て戦術を研究する者達がいる。軍とは関係なしに派遣されるその者達は、軍から嫌われていた。それが今回は離れていたために生き残る事が出来たのであった。ローエムの支配する町に駆け込んだ記録員たちは軍に報告した。だが相手にもされなかったのだ。戦場から一番近い町とあってまだ多くの兵が駐留し集まってきていた。


そして翌日その町はキンメル軍に包囲され軍人は殲滅された。


調査員たちはその街を前日に離れ、ローエム帝国が支配する一番大きな町へと向かっていた。

そしてその街で軍に報告している時に戦場に近い町が落ちたことを知ったのであった。

キンメル軍の歩みはゆっくりであったが。確実に支配地域を広げていた。統治するためにゆっくりと侵攻していたのだ。

ローエム帝国はキンメル王国軍に対して2度も軍を派遣して戦ったが、全て負けたのだ。

ローエム帝国にフロンティア大陸で兵は残っていなかった。


ローエム帝国の支配地域はキンメル王国の隣地を中心にかなり占領されていた。まだ開発途上とあって街道も軍が通るようには造られていない。軍の足を遅くする効果はあったようだ。


魔物軍と噂は一気に広がりを見せていた。ジェントス王国などのキンメル王国と隣接している国は国境を封鎖している。キンメル王国に何かが起こっている。近隣の国々はキンメル王国は普通の国であることを知っている。今まで外交などで交流も有るのだ。


そんな周りの警戒など全く気にしていないカインが到着したのだ。アレクは少しだけ気にしている。

アレク達の到着でローエム帝国の軍幹部は歓喜に沸いていた。最強の二人が来てくれたのだ。もう負ける事はないと安心してしまっている。


アレクはローエム帝国軍の幹部たちを見てため息が漏れていた。「ハーーーーッ。」


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