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373話

アレクのこの言葉に集まっていく貴族達は騒然とした。名もなき田舎貴族、いや貴族当主でもない者が宰相などと言われては普通納得できるはずもない。


「おお待ちください。。」

「何かな。」

「アレク王、このカルメン王国の宰相に貴族の当主でもない者に任せるのはいかがと思います。」

「ほー、私の決定に異を唱えるというのだな。其方の名は何というのだ。」

「し、失礼しました、私はカルメン王国レーメン伯爵です。曾祖父が2代前に宰相をしておりました。」

自信たっぷりに返事をしているレーメン伯爵、アレクはこの伯爵が何故ここまで自信に満ちているのかが分からなかった。


「それでレーメン伯爵、何が言いたいのだ。」

「カルメン王国で宰相と言えば王の次に権力を持つ事になります。それをこんな若造にカルメン王国の宰相を任せるなどあってはなりません。」

「元伯爵何か勘違いをしているようだな、カルメン王国はもう無いのだが、私の言ったことを聞いていなかったのか。」

「えあいや、聞いておりました元カルメン王国です、言い間違えました。申し訳ございません。」

「まぁ良い、元カルメン王国の王は死んだ。カルメン王国という国はもう無いのだ。」

「そうですカルメン王国はもうありません。ですがアレク王が新たに爵位を授けております。新しい国と言う事になります。アレク王、いえ陛下、元宰相の家柄である私めにこの国の宰相をお命じ下さい。」

自信満々でアレクに言い放つレーメン元伯爵、今回のアレクに呼ばれこの伯爵は男爵となっていた。それを授与されたその場で伯爵位を名乗り、アレクが任命した宰相を自分にしろなどと言い放つこの者は命が欲しくないのだろうかと思えるほど堂々としていた。


「イムス最初の仕事だ、この伯爵を名乗る者をどういたす。」

「はい、アレク王から授与されました爵位男爵位を名乗らず、元もつけずに伯爵を名乗っておりました。これは貴族としての資質にかかわります。この者の爵位は剥奪が妥当です。」

「分かったそのようにいたせ。」

「はっ、衛兵この元男爵を別室に監禁しろ。」

「ままままってください。何で私が爵位を剥奪されるのですか。」


アレク、イムル、他の貴族も、この元男爵の何故の問いにこいつ今剥奪の理由を話していたではないかと言いたかった。

「元男爵、今言ったではないか、聞いていなかったのか。」

「聞いておりましたが私はカルメン王国の伯爵です。カルメン王国で爵位を剥奪されていません。よってカルメン王国伯爵を名乗るのは間違っておりません。」

アレクはこの元男爵、中々頭が切れると少し見直した。

「あっそうだったな。カルメン王国では爵位剥奪のないままに消滅してしまったのだな。元伯爵の言う通り元カルメン王国の伯爵であったのは事実であるな。」

「そ、そうです。元カルメン王国レーメン伯爵です。」

「まぁそれだけだ、今この場で新たに授けた男爵位は剥奪だ。元伯爵として頑張れよ。つまりは平民という事だな。」


アレクのこの平民扱いにレーメンは怒りに満ちた表情をしていた。今何か言い放てば今度は命が危ないとレーメンは思い何も言葉を発しない。衛兵に両脇を抱えられて部屋を出ていくまでアレクを睨みつけていた。


「よいか皆の者、よく聞け、カルメン王国は滅びたのだ、そして今新しい国となる。このことを頭に叩き込んでおけ、新たな国の宰相はイムスに命ずる。イムスには伯爵位を授ける。ガンジス家の本家を名乗れ、ダイガン・ガンジス子爵のガンジス家は分家とするよいな。」


イムスの父であるダイガンとイムスはアレク対して頭を下げて礼をする。


そこでイムスがアレクに対して言葉を発する。


「アレク王、元カルメン王国が滅びた事はここにいる皆が分かっております、新たな国の名称はいかがいたすのですか。」

「それなんだがな。」

アレクはいきなり歯切れが悪くなった。新しい国の名称を言いたくないのだ。

「・・・ス公国だ。」

「すいませんよく聞き取れませんでした。」

「そうだな、ガンジス公国だ」

「えーーーーーっ、ガンジス公国ですか。それは無いですよ、ガンジスはありえません。」

イムスのこの言葉に他の貴族達も「うんうん」と頷いている。


「それしか思いつかなかったのだ。イムスよ許せ。」

「アレク王、オリオンの名を付けましょうSEオリオン、Tオリオンとアース大陸、タンドラ大陸にもアレク王の国があると聞いております。ならばフロンティア大陸のあるアレク王の国としてFオリオン王国でよいではありませんか。」

「フロンティア大陸でな、オリオンという名が多くなると分かりづらくなるのだ。だからオリオンではない国名を付けようとしたんだが中々いい案が浮かばなくてな。そこで宰相を任せるお前の名を使ったのだ。いい案だろう。」


アレクのどうだーーみたいなこの表情にイムスは怒りを覚えた。これは丸投げの予感がしていたからである。イムスはアレクに対して色々と改革案を提示している、アレクの了解もとっている。自由に再配する事も承諾済みである。


ガンジス公国これはイムスがいずれ公爵位を授かり、ガンジス公国の公王となるの事を示した名称である事はここにいる者であれば誰でも気づくことであった。


「アレク王、それはダメです。ガンジスの名は重すぎます。」

「イムスよ、お前は私にカルメン王国のすべての民が豊かに暮らせるようにすると言ったな。」

「はい。」

「ならば受け入れよ、全ての民の為にお前が責任をもって豊かにするのだ、その後ろ盾はオリオン王国がしてやろう。イムス宰相の為にここにSEオリオン銀行、リア銀、Tオリオン銀行を呼んである。」


イムスはアレクにはめられたような気がしてならなかった。新しい国造りには金が必要だ。絶対に必要だ。その金は普通は国庫から出さなければならないが、元カルメン王国には金がない。王の贅沢で資金が無いのだ。開発をしたくとも出来ない状況が今の元カルメン王国であった。

イムスは当分切り詰めて細々と開発をしていくつもりであった。

だがアレクの考えは違っていた。一気に開発を進め豊かにする考えなのだ。


イムスはニコニコする銀行の担当者と部屋を出ていった。それについていく高級官僚たちニコニコする銀行とは対照的に疲れた顔をしているガンジス公国の高官たちを見送ったアレクは苦笑いしていた。

これからイムス達は何日も徹夜をすることが分かっているのだ。今日来ている銀行員たちはガンジス公国の全土を担当することになっている。タンドラ大陸統一以来の大仕事である。張り切っているのだ。


3行以外にもタンドラ銀行が別室に控えている。アレクの姪たちがタンドラ銀行も参加すると当日の朝に押し込んできたからである。



「がんばれよ、イムス。」心の中でアレクはイムスを応援していた。




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