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368話

カルメン王国の捕虜の中に第一王妃、第二王妃、第三王妃がいる。

アレクと面会していたのが第三王妃である。

この第三王妃は、カルメン王が見初めて無理やり王妃としたことで第一王妃と第二王妃との仲はすこぶる悪い。

第一と第二が手を組みその家臣たちも第三王妃をないがしろにしている。王城での生活もひっそりと息をひそめ目立たぬように生活をしていた。

暗殺の危険さえある毎日に心身共に疲れ果てていたのである。そこに今回の城消失事件である。最初は捕虜となってもう終わりかと思ったのだが、第三王妃から見ると今までの警戒した生活より楽な生活となっていた。

周りの者達は第三王妃に構っている暇さえなくなっていたのである。

城が無くななり生活必需品も無くなってしまい、第一王妃第二王妃たちは騒ぎまくっている。

執れにつられて家臣たちも右往左往しているだけである。


この練習場内で王族だけは隔離されている。第一から第三王妃には小屋ではあるが寝泊まりする場所が用意されている。お付きの次女も一人配置されている為に第三王妃は何の心配もすることなく生活をする事ができたのだ。幼い子供とお喋りしながら暗殺の心配もすることなく暮らせたのである。


「王妃様、私たちはこれからどうなるのでしょうか。」

「心配する事はありません、先日アレク王と話しましたが罪のない者はおとがめなしと言葉をいただいています。」

「つ、罪ですか。わ、私は罪があるのでしょうか。」

「それは私にもわかりませんが、あなたが罪と思うような事があれば正直に伝えれば多分よほどの事でない限り許されるでしょう。」

「私が思う罪ですか。・・・・んーー、分かりません・・」

「フフフ、なら大丈夫ではないですか。」

第三王妃と侍女の会話は的を得ていた。この侍女第三王妃に仕えている者である。


第三王妃と会話をしていると周りがざわざわしだしている、何か外からの連絡か通達が来たのかもしれない。

この日から毎日10名から20名の者達が取り調べを受けるようになっていた。

毎日毎日取り調べが行われる。毎日連れだされるものから一回も連れ出されない者もいる。毎日連れだされる者は毎日第一王妃と第二王妃に呼び出さられ、同じ質問を繰り返し喋っているようだ。

それでその者達は朝からアレク達の事情聴取、夕方から真夜中まで王妃たちからの事情聴取を受ける羽目になっていた。

その者達はもうボロボロの状態になっていた。


アレク達の事情聴取はもの凄く簡単な物であった。城内の事、噂話、アレク達は押収した資料の中から事実関係を調べていただけであった。詳しい者が毎日呼ばれることは仕方のない事であった。その者達は疲弊している為にアレク側は取り調べの合間に甘い物とカツ丼を食事として出していたのである。


そして夕方からは捕虜たちの食事の時間から王妃たちの取り調べが行われていた。王妃は粗末な食事を食べながらその者達に質問をしていく。その者達は食事もとらずに受け答えを強要されていくのだ。同じ質問、知らないことを答えるように強要していく。

「何故じゃ、何故分からない。いつこの場所から出れるのじゃ。」

「分かりません。」

「お前は外に出ているのであろう、何故分からぬのじゃ。」

「外に出ているのは取り調べを受けているからです。別室に連れていかれているだけです。」

「それでも外の様子は分かるであろう。外はどの様になっている。」

「分かりません、この練習場の隣の建物に連れていかれるだけです。」

「何故分からぬのじゃ。様子を見るために逃亡せぬのじゃ。」

もう何を言っても聞き入れない第一王妃と第二王妃には家臣たちも飽き飽きしていた。アレク達の話ではもうカルメン王国自体が消滅するという話である。こんな王妃に構っていること自体無駄に思えてくる自分を今まででは考えられない事であると実感する毎日となっていた。


ヒステリックな第一王妃とねちっこい第二王妃も取り調べに呼ばれることとなり。

何やらウキウキとしている。

この王妃たちは大きな勘違いをしている。王妃たちはお出かけでも行くような様子である。


第一王妃がまず外に連れ出され、その後に第二王妃が連れ出されていった。


「第一王妃ですかな。」

「そうじゃ。」

外に出れて嬉しいが不機嫌な様子を醸し出す第一王妃。

そんなことはまったく気にしない、取調官は機械的に王妃に質問をしていく。

「あなたは第二王妃と共謀して家臣Aを陥れましたね。」

「知らぬ。」

「あなたは宰相と密会を毎週行っておりますね。」

「し、知らぬ。」

「あなたは王へ貴族Bに嫌がらせをされたと嘘の報告をしましたね。」

「しらない。」

等々と色々な事が第一王妃に質問をされていく。

王妃は分からない、知らないの繰り返しであった。それが朝から夕方まで続き第一王妃は疲れ果て練習場に戻されたのだ。第一王妃も第二王妃もその日は家臣たちを集めることもせずに静かに就寝していったのだ。

その日の家臣たちは捕らえられてから一番静かな安らいだ夜であった。


そんな取り調べ、時間稼ぎが行われている間にカルメン王国の各地でアレク達による、摘発や自治回復が各地で行われていた。

カルメン王国はフロンティア大陸では大国であるが国土としてはSEオリオン王国の半分程度の広さである。カルメン王都(港)以外は都市といえるものは5つである。その5つの都市には公爵1人、侯爵が4人が領地として治める場所である。

この5人は国を好き勝手に治め民に重税を課していた。

アレク達はこの5人を捕らえるべく各艦隊を分けて各領地に派遣したのだ。各領主たちも騎士団をもっているが相手にもされずに全滅してしまっていた。

カルメン王国の重要拠点とされる王都と5つの都市を占領したことでカルメン王国の流通を握ったアレク達は各領主に王都への出頭を命令したのである。


この命令はカルメン王国の名ではなく、SEオリオン王であるアレク名で行われていた。


領主へ命ずる。


4月20日までに旧カルメン王都への出頭を命ずる。この命に背くときは反逆と見なし領地没収とする。


簡単に伝えるとこのような事柄を各領主に送っていた。各領主は大急ぎで王都へと向かったのだ。アレクに服従するつもりも無かったのだが情報が一切入ってこない状況に各領主たちは焦りを感じていたのだ。王都と都市が占領されたことは伝わっていたがその他の情報が一切入ってこないのだ。王都へ斥候を放っているが誰一人として戻ってきていないからである。


カルメン王国の200もの領地持ち貴族達は大勢の家臣たちを引連れて王都へ向かっていた。


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