36話 捜索隊
「雷電の斧が戻って来ていません。」
「どのくらい戻ってない。」
「10日です。」
「普通はどうなんだ。」
「通常は10日ぐらい潜りますが、今回は3日おきの報告がありますから。」
「他のパーティーは大丈夫なのか。」
「そちらは大丈夫です。」
「探しに行くか。」
「他の2組に依頼しますか。」
「いや、もう一つの迷宮調査があるからそのままでいい。」
「では誰がいくのですか。」
「僕が行く。」
アレクは、デリック他の人たちに止められたが聞かなかった。
洞窟型に入るメンバーを決めた。
アレク、リック、マック、ユリの4人で潜ることに決まった。
デリックはついていて行くといったが指示を出す人がいないと困る事になるので留守番となった。
アレク達4人は迷宮に入っていった。
「迷宮ってこんななんだ。」
「洞穴です。」
「もっと違うのを想像してたよ。」
「今までの調査で5層までは洞窟ですが、6層からは草原になっています。それ以降はまだわかりません。」
「もう一つ、迷宮内で魔法を使う時は声を出してください。」
「なんで。」
「連携をとる為です。無言で魔法を撃たれると他の人が連携をとれなくなります。」
「了解。」
すると突然前面にコブリンが現れた。とっさに無言でウオーターカッターを出してしまった。
「あっ声に出すのが難しいな。」
「慣れてください。」
「俺たちが連携を見せますから参考にしてください。」
リック達3人の連携は見事の一言だった。
ユリが指示役になり魔法を撃ち、牽制したり、ユリの指示が的確なのだ。リックとマックは指示に従い攻撃して防御する。
アレクは思った。僕も指示に従おう。
ユリに4人での連携のやり方を話し合い。後衛はユリを指示役と遠距離攻撃
中堅をアレク、リック、マックの防衛と隙を見て攻撃。前衛をリックとマックだ。
「師匠は、基本はシールドでリックとマックを守りながら、隙を突いて攻撃をお願いします。攻撃については自由にやってもらって構いません。その都度、指示を出しますから。」
「それならできそうだね。シールドで敵の攻撃を受け止めればいいんでしょ。」
「優先は守りです。」
「了解、やってみよう。」
前方からゴブリン10匹こちらに走ってくる。
「ユリ指示を頼む。」
「リック、マックは前の4匹をやって、師匠はその後ろの敵を一瞬でいいので足止めを。・・・・・」
10匹のゴブリンが、ぎゃぁぎゃぁと言いながら突っ込んでくる。
それを待ち構えていた、リック、マックに団子状態で突っ込んできた。先頭の2匹を剣を鞘から抜くように斜め下から切上げる。リック、マックは同時に1匹ずつ殺す。上げた剣を次の2匹に振り下ろした。4匹は一瞬で死んだ。
アレクスは、リック達が攻撃を剣を出した瞬間に後からくる6匹のゴブリンに対して風の障壁を展開してぶつけて足を止めた。6匹の先頭を走っていたゴブリンに短槍を投げて頭を貫通させ1匹殺した。
次にいたゴブリンにも短槍を投げ同じく頭を貫通させた。その隙にリックとマックは、残り4匹を振り上げて斬り振り下ろして斬り、4匹を一振りずつ命を奪っていた。リック、マックが最初に剣を振り上げてから5秒しか経っていなかった。
「これならやれそうだね。」
「次も同じようにやりましょう。」
2回、3回と同じ感じで仕留めていく。
そうしているうちに、5層を抜け6層に入る。
6層は草原だった。広い。
「これ、どうすればいいんだ。」
「えっとですね、2時の方向に行くと下に行く階段が有るようです。」
草原を進んでいくとコボルドが出てきたが同じように殺していった。
また何回か繰り返した。
「今度は僕一人でやるよ。見てて。」アレクは一人で前に歩き出す。
前方に7匹のオークを見つけた。相手もこちらに気づき近づいてくる。
オークは、横に広がりこちらに近づいてくる。アレクを標的に決めたようだ。
横に広がった7匹のオークは、じりじりとアレクを囲むように近づく。距離約30メートル。
アレクは一匹のオークに人差指を向けて魔力弾を頭に撃ちこむ。次の一匹又次の一匹とアレクは7発の魔力弾を撃ちこみオークを殺した。
「連携なんて必要ないだろう。」
「ですね。」
「まぁ、師匠ですから。」
「ほら、強い敵が現れたときに、携は必要でしょう。訓練しとかないとね。」
「師匠、オークって強いんですよ。」
「えっ、そうなの。ゴブリンと同じだと思った。あんまり変わんなかったよ。」
「魔法一発だしね。同じに思うかもしれない。」
「そういえば雷電の斧の人いないね。」
「まだいないと思いますよ。6層ですから多分ですが10層まで同じような感じです。」
「雷電の斧の人たちは10層以降にいると思いますよ。」
「じゃぁ、急ごうか。」
アレク達は順調に下に降りて行っている。
この迷宮5層まではスライム、ゴブリン、コボルドが出てくる。あと洞窟内で鉱石も採れるようだ。
6層から10層は草原であるが、草原だけではなく川もある。森もある。森の木々には果実などが採れるようだ。魔物はゴブリン、コボルド、オーク、リザードマンが出てくるようだ。
ようやく10層に到着した。11層に下りる階段に近づくとそこにはひと際大きいオークと普通のオーク10匹がいた。
アレクたちは近づいていく。相手も気づいているがこちらに来ない。
約30メートルに近づいた時に10匹のオークが一斉に襲い掛かってきた。アレクはオークに向けて泥沼とひと言。オークは一瞬で腰まで土に埋まった。アレク、リック、マックはオークに駆け寄り首を跳ねていく。残りの大きいオークは、アレクが魔力弾をオークの頭に一発放つ。
討伐終了であった。
「私、いらなくないですか。」
「ほら、雷電の斧の人達を探すので急いでいるから行くよ。」
アレク達は10層にある階段を下に降りていく。
そこは森だった。
「さっきと逆ですね、10層までは草原が多くて少しの森。11層は森が多くて、平原が少しですか。」
「森だと敵を見つけにくいな。」
「用心しながら進みましょう。」
アレク達は、慎重に進んでいく。
どちらに進んでいいのかも分からず。森の中を彷徨う。