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342話

ミント領ではこれからの事が話し合われていた。現ミント領に加え旧ミント領とその間に位置する領地が今のミント領に組み込まれたのである。現ミント領の数倍の広さとなっていた。


「家臣が足りません。」

「資金がありません。」

「農民がいません。」

「食料がありません。」


ないない尽くしであった。


「レリウス、ファーレス、ミント伯爵とメルミート殿と協力してミント領内を何とかするのだ。」

「父上、マリアーヌ他タスポの者達も使いますがよろしいですね。」

「タスポ港はお前たちが切り開いた領地だ、私が口を出すことなど出来ぬよ。」

アレクは笑いながらレリウスに答える。

「融資は受けられますか。」

「それは心配するな、SE銀行とリア銀にはもう連絡をしてある。あいつら高速船で来るみたいだぞ。」

それを聞いたレリウスが何とも言えない顔をしていた。

SE銀行とリア銀はライバル関係にある。銀行同士でいつもシェアの取り合いをしているのだ。

同じオリオン王国連合の企業であるために負けた方は潔く引き下がるがそこまでは熾烈な戦いが繰り広げられていた。


「まぁ銀行が来るならミント領の開発は任せておけば大丈夫でしょうね。」

「そうだな、マリーヌを交渉に付ければそれでいいだろう。」

「それじゃ俺達は何もすることが無くなるな。」

このオスカーの一言にレリウスたちは頷いている。


「そんなことないぞ、お前たちはこれから忙しくなるぞ。」


アレクの説明が始まる。


アレクは今のミント領の独立と同時にタスポの独立も同時に行う事、国境の確定、ミントとの同盟の締結、他の国の選別など色々とやる事があると伝えていく。


「タスポはレリウスが王となるようにな。」

「えっ、俺が王。」

「ん、オレガオー。」

「オスカー、違うよレリウス兄が王様になるんだよ。」

「そ、そうかびっくりした、レリウス兄が叫んだと思ったよ。」

「・・・・・・」


「レリウスが建国してからだが、ファーレスとオスカーは一時アース大陸に戻ってもらう。」

「「えーーーーー、やだよーー。」」

「まぁそう言うな少しだけだからな。」

アレクはSEオリオン王国とミルトン王国から攻められていた。特にミルトン王からは一日おきに通信が入っていた。


二人は事情を理解してふてくされながらも一時帰国を了承してくれた。

ホッとするアレク、ふてくされる二人をレリウスとレインは我関せずの態度をしていた。

少しでも言葉を発すれば被害を受けると分かっているからである。


ミント伯爵はアレクの子供たちに対しての態度に驚いていた。一国の王である、それも大国の王であるアレクが子供たちに対して命令ではなくお願いしているのだ。驚かない方が不思議である。

ミントはアレクに思い切って聞いてみた。

するとアレクは笑いながら子供であっても一人の人間ですからねと平然と答えていた。

ミントは衝撃を受けていた。大国の王が一人一人を人として扱い、粗略にすることなく真摯に対応する事がどれだけ大変かを分かっているからだ。

ミントも民を大切に思っているがそこまで出来ないのだ。

アレクの見た目も立派に感じる。レリウスが10代後半でありアレクは30代であるがアレクの見た目がどう見ても20代前半である。最初に会ったミントは兄弟だと思ったほどである。アレクから見た目の説明があった時は少し驚いた。魔法の影響で年の取り方が遅くなっていると説明されたのだ。

その事を聞いていたミント家のメイドたちは沸き立っていた。

アレクはその時、母やローエム帝国の王妃の事を思い出して、苦笑いを浮かべていた。



ミントとアレクは二人で今後の事を話していた。


「アレク殿、今回はありがとうございます。」

「マリアーヌの嫁ぎ先の事だ、協力するのは当たり前だ。それにこのミント領は大陸のど真ん中にある、いい場所だ。」

アレクは何やらよからぬことを考えているようだ。


二人の話はミントの独立後の事を考えていた。独立はいつでもできる状態であるが、ジェントス王国との不仲で独立することがミント伯爵としては何とかしたかった。今まで仕えてきた王国である。

ジェントス王国から疎まれているとしても表面的な対面だけは有効としておきたいのであった。

だがアレクは違った、ジェントス王国を調べるともう国としてはダメであると結論が出ていた。

アレクは家臣たちに調べさせた報告書をミント伯爵に渡す。


ミント伯爵はその内容に驚愕していた。ジェントス王国がこれほど腐敗しているとは思ってもみなかったのである。

「こ、これはまことですか。」

「間違いなく事実です。ジェントス王国はもう国としてはやっていけてないですな。」

「元々陛下には力がなく、貴族達の寄り合い所帯でしたが、ここまで貴族達が好き勝手にやっているとは思いませんでした。」

「ミント伯爵、ジェントス王国は貴族の代表のようなものですね。」

「そうです、貴族達の同意の元に王が決定します。」

「ならミント殿がジェントス王国の次の王になりましょう。」

「へっ。」

ミントはアレクが何を言っているのかが理解できなかった。ミントは独立する。ジェントス王国とは関係なくなるのだ。

アレクの考えは違っていた。ミント領がジェントス王国を飲み込むのだ。ミントが独立しても周りが平和でなければ発展もしない。


「ア、アレク殿、ジェントス王国と戦争するのですか。戦争がやっと終わったばかりではありませんか。」

「ミント殿、このままジェントス王国が黙っていると本気で思っているのですか。」

「・・・・・・・・」

ミントもこのままでは終わらないとは思っている。だがすぐに戦争になるとも思っていない。

これはミントの考えも正しい、アレクの考えも間違っていないのだ。大陸の違いから感覚が違っているのだ。アレクのいたアース大陸ではほとんどがアレクの影響だが短期決着が多い。フロンティア大陸では兵の手配も有り、ほとんどが農閑期だけの戦いである。決着がつかなければ次の農閑期迄の持越しが暗黙の了解であった。



この広大なフロンティア大陸ではそれが一般的な考えとなっていた。何しろ移動だけで時間が掛ってしまうのだ。長引けばそれだけで国が滅んでしまうほどだ。

一年中戦争などしていたら国庫の資金などすぐに底をついてしまうのである。それが農閑期だけの戦争と繋がっていた。


それをアレクがアース大陸の考えをこのフロンティア大陸に持ち込んだのだ。


アレクはフロンティア大陸の大きな地図を広げて説明を始めていた。




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