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319話

グラムット帝国のスペルシス2世と皇帝崇拝者の教祖は帝都の広場で公開処刑された。

泣き叫ぶ二人を帝都の民たちは冷ややかな目で見ていた。

皇帝の権威と神とあがめる崇拝者たちの信仰心を地に落としている自覚さえない二人は助かる為に帝都を練り歩かされているときに民に助けを求めていた。アレクはあえて喋る事を咎めなかった。

この二人が喋れば喋るほどに皇帝の権威も崇拝者たちの信仰心も無くなっていくようであった。

そのために公開処刑が一日延びるほどであった。皇帝崇拝者たちに見せつけるために処刑を延ばしたのである。


「あれが神なのか・・・・」

「普通の馬鹿な人間じゃないか。」

「教祖様ってあれか・・・。」

「神じゃないだろう。」

「・・・・」




グラムット帝国帝城内


「グレイリット殿、気分はどうだ。」

「これはアレクス王、最悪の気分です。」

「フフ、だろうな、これからのグラムット帝国を考えるとな。」

「私にはグラムット帝国の未来が見えません。」

「そう心配するな、オリオン王国が手助けするんだ。」

「ですがこれからグラムット帝国の貴族達の処分をしなければなりません。」

「それをグレイリット殿が行わなければグラムット帝国の皇帝になれんだろう。」

「そうなのですが、荷が重いです。」

「グレイリット殿は大分性格が変わったな。もっと以前のように堂々とした方がよいぞ。」

「あの時はもう無我夢中でしたから、本来はこういう性格なんです。」

「仕方ない、今回は私が喋るようにしよう。隣で睨んでいればよい。」

「あ、ありがとう。頼みます。」


アレクとグレイリットは大広間の皇帝専用の入り口から広間に入った。

広間にはグラムット各地から集まった貴族達がひしめいている。その数は1000を超え、これが男爵以上のみの出席であった。


最初は皇帝となった。グレイリットが喋り出す。

「皆の者、余がグラムット帝国皇帝グレイリットだ。いまグラムット帝国は危機に面している。同盟関係にある、オリオン王国より協力を仰ぎ、帝国を立て直すこととなった。前皇帝よりこの事をきつく言われている。その後は余が采配を振るうが今回に関しては前皇帝の名を受けているアレクス王に全権を委託する。アレクス王、後は頼むぞ。」

「グラムット帝国貴族の者達、今回のグラムット帝国内乱の経緯は分かっていると思うが、今一度簡単に説明をする。グラムット帝国皇帝崇拝者たちによる反乱だが、これは前皇帝の玄孫である、スペルシス2世が崇拝者どもに担ぎ上げられての反乱だ。討伐はもう終わっている。だがまだこの中でこの反乱に係った者がいると言う情報がある。」


ワザワザワザワ。


「前宰相であったマトリット殿の情報にはすべての事が記載されている。」


ザワザワザワザワ。


「だが今回は一時保留とする考えがある。この内乱でグラムット帝国は疲弊している。多くの貴族当主も亡くなっている。保留とするが処刑を保留とするだけだ。グラムット帝国での今後の働きによって恩赦が出ることも有る。なぜ私が最初から処刑をしないと言ったか分かるか。多分今のお前たちでは誰一人分からないであろう。」


「「「「・・・・・・・・・・」」」」


「よいか今私が今回のグラムット帝国での反乱に関して罪状を読み上げればこの場にいるお前たちのほとんどの者が罪に問われ処刑となるのだ。」


ザワザワザワザワ。


「だが罪は罪だ処刑はしないがそれ相応の罰は与える。すべての貴族の爵位を一段下げ、領地替えとする。」

「何を言っている。爵位を下げる、領地替えだと。ふざけるな。」

「お前は誰だ。」

「フン、よそ者が粋がりおって。ワシはグラムット帝国貴族である。ダンヒル公爵であるぞ。」

「ダンヒル公爵か、お前は崇拝者に資金提供と今回は黒幕気取りでいたそうだな。」

「な何を言っている。ワシは謀反などしていないぞ。」

「しらを切ろうが関係ないのだ。このグラムット帝国は皇帝が黒と言えば白い物でも黒となる事は知っていよう。」

「・・・・・・」

「お前たちの好きなグラムット帝国はすべては皇帝が決めるのであろう。違うか。」

「・・・・・・」

「私の言葉は皇帝の言葉だ。従えない者は処刑となるぞ。」

「ワシは公爵だぞ。グラムット帝国の公爵だぞ。ワシは・・・」スパッー。

アレクの放ったウインドカッターであろう風の刃はダンヒル公爵の首をはねていた。

「よいかお前たちと話し合いの場ではない。通達するだけだ。文句のある奴は戦の準備をするんだな。止めはしないが死ぬだけだ。いまこのダンヒル元公爵に関係する者は爵位を2段下げて、領地は3分の一とする。明日もう一度この場に登城せよ、それまで帝都を出る事を禁止とする。よいな。」


アレクとグレイリットは広間を後にしていた。残された貴族達は一気に緊張が解けたのか各々が好き勝手に喋っている。

「こんな横暴が許されるのか。」

「許せん、我らを何だと思っているのだ。」

「成り上がりの小僧が。」

「伝統あるグラムット帝国貴族を何だと思っているのだ。」

「貴族あっての帝国なのだ。我らが一致団結すれば怖いものなどないのだ。」

「おおーーーーーー。」

「流石、ビルト公爵閣下ですな。」

「我らが盟主になってくだされ。ビルド公爵。」

「おおーーーー。」

今この場に集まっているグラムット帝国貴族の多くはこのビルド公爵を盟主とした貴族同盟に参加した。1000の貴族家の内、600家余りがビルド公爵の元に集まった。

この600家の者達はこの日のうちに帝都を脱出していった。だがアレクが帝都脱出を許す訳はなかった。

夜に紛れて帝都を出た貴族家の者達は、帝都から一時間の場所で捕まっていた。


「は、離せ私はビルド公爵だぞ。偉いんだぞ。」

「いやだ、本当は参加したくなかったんだ。家が参加したから仕方なく帝都を抜けたんだ。」

「嫌だーーー。」

「見逃してくれーー。」


翌日帝都城に集まった者は前日の1000人から400迄減っていた。

広間に集まった貴族達は口数は少なく、顔が引きつっているようであった。この場にいる貴族の多くはグラムット帝国貴族の中では爵位の低い者が多くほとんどが男爵家であった。一部は伯爵家などもいるが領地なしの城勤めの法衣貴族達だ。領地持ちの貴族は昨日のビルド公爵と共に行動したものが多くいたのだ。


アレクとグレイリットが大広間に入ってきた。


大広間は静寂に包まれていった。誰もしゃべられない。


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