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313話

グラムット帝国帝都周辺の森



「各所の配置は大丈夫か。」

「はっ、問題なく配置済みであります。」


アレクは忙しく働いていた。今回のグラムット帝国反乱と戦うためにオリオン王国の陸軍20万と空軍艦隊の3分の2が集結している。

それだけ集まれば事務仕事だけでも大変な量になっていく。カインはあてにならない為にアレクが一人で行っているのだ。

機人を使い事務処理を行っている為に作業自体は出来るのだが気持ちの問題であった。


「まぁやれる奴がやらないとな。」独り言を言うアレク。



隠れながらグラムット帝国の反乱、謀反の決起を待っている。明日には一斉決起が起きる予定である。

決起を起こさせ成功させる前に鎮圧をする。

決起が起きれば間違いなく犠牲者が出る、だが今回は犠牲者が出ても決起させてからの鎮圧となっている。グラムット帝国の宰相マトリットが計画した反乱軍を集結させて殲滅させるこの行為は危ない賭けである。アレクやカインがこの鎮圧に手を貸さなかった場合は反乱軍が勝利する公算が極めて高い。

マトリットの計画はそれ程完璧である。だからこそ慎重な不平分子どもがこの計画に乗ったのである。

まして計画して実行直前までしていた計画者であるマトリットは病死の為にこの世にはもういない。それが反乱軍幹部たちを安心させる材料になっていた。

計画は完璧、裏切る可能性のあったマトリットは病死している。これほど反乱軍に有利な事はない。

そして皇帝の玄孫を皇帝に着けて政を自分たちの思いのまま行う事を夢見ている反乱者たちはもう勝った気でいた。



グラムット帝都城内


地下


「いよいよ余が表舞台に出る時が来たな。」

「さようです、グラムット帝国の唯一の血統者ある。スペルシス2世様にはお父上を越えてもらわねばなりません。」

「当たり前だ、父の名を受け継ぎ2世となりこのグラムット帝国をより大きくすのだ。」

「もうすぐ決起のお時間となりますが。よろしいですか。」

「おおそんな時間になるか、騎士団や衛兵はすべて殺せよ。内政官は殺すな。」

「はいご指示通りに行います。ご安心ください。」

「余は決起後に玉座で待っているぞ。」

「はっ、すぐに城を占拠して皆を玉座の間にお連れいたします。」




いよいよ決起の時間が迫っていた。

各地では気の早い者はもう行動を起こしている者もいた。マトリットは皇帝崇拝者たちをこの計画に参加させた狙いはグラムット帝国貴族達の実態を見せるためもあった。

主戦力である皇帝崇拝者たちは計画の最初は主導権を取り貴族達と話し合い行動を共にしていた。だが一定期間を過ぎると貴族達の横暴や我がままが目立ち少しずつ亀裂が出来てきていた。

崇拝者たちは皇帝を守るため、神として崇めるためにこの反乱に加担している。宰相であるマトリットの計画なのだ信用している。だがここでもマトリットの死が影響していた。マトリットの死によって貴族達は思い通りに企画を進めていくことが出来るようになったが、崇拝者たちはマトリットがいなくなったために貴族達の配下のようにされてしまった。グラムット帝国での身分制度が影響していた。崇拝者の多くは平民であるために貴族の言う事には逆らえないのである。

マトリットがいる時は貴族達も遠慮していた、だがマトリットがいなくなってからは態度ががらりと変わったのだ。


崇拝者たちは皇帝の為と思い行動を共にしているが、新しい皇帝になる神が今の貴族達のようなもの達であれば崇拝者たちは瓦解していくだろう。


盲目な崇拝者たちに現実を見せる事に成功したマトリットの才覚は死しても健在であった。


帝国中に張り巡らされた連絡網で「決起せよ。」と言葉が流れた。


この合図と共に一斉にグラムット帝国国内で反乱がおこったのである。

各地の反乱は兵力としては一か所に集まっていたが他に各重要拠点を占拠するために各地に配置されていた者が多くいた。時間に合わせてその者達は捕らえる予定の者や殺す者の側まで来ていたのである。

それは合図と共に行われ国家として重要な人物たちが一斉にこの世を去ったのである。その数およそ1000人のも及んでいた。


そして反乱軍は各所の都市を占拠しようと移動していた。


「アクラー司令官、報告します。敵反乱軍5万は予定通りに街道を通っております。」

「5万はいくつに分かれている。」

「はい大きくは5つに分かれています。」

「5万か逃げられる可能性があるな。どうするかな。」

アクラーは少しだけ考えるがすぐに指示を出していく。

「よし正面は俺が行く。両脇を小型艦でカバーしていく。歩兵隊は小型艦の隙間を埋めるように配置していくぞ。最後に真後ろはアクラー隊30人に任せる。敵の殲滅だけではないぞ。逃がさないように他もすべてフォローしてくれ。」

「アクラーの兄ちゃん任せてくれよ。」

「ゲル、功を焦るなよ。お前の実力は皆知っているんだ。自分が戦うより他の者のフォローを考えろいいな。」

「ま、任せてくれよ。」目が泳いでいるゲルである。

「トリ、ゲルはきちんと見張っていろ。」

「大丈夫だよ、あんちゃん見張っとくよ。」

「各地配置に速やかに着くように。」


アクラーは一人街道で反乱軍が来るのを待っていた。

すると街道一杯に広がり軍とは言えないような軍行である集団がアクラーの視界に入ってきた。

先行する騎士であろう者がアクラーをどかそうと近づいてきた。

「お前ここから立ち去れ、殺すぞ。」

アクラーは無言でその騎士の首をはねたのである。驚いたのは一緒にいた騎士たちである。

「おおおお、お前何をやったのだ。」

「あーー、反乱軍の者を殺しただけだが何か問題でもあるのか。」

この言葉に驚いたのは騎士たちであった、反乱の事がばれている。仲間の死よりも反乱がばれていることが問題であった。だがこの騎士たちの思考はそこまであった。

アクラーが騎士たちを斬り捨てていたのだ。4騎の騎士を斬り捨てたアクラーは本体がこの場所に到着するまで休憩していた。30分ほどたった時に本隊が見えてきた。


本隊が近づいてくると殺されて放置されている騎士たちが目についたようだ。軍行が止まり敵軍は固まり始めた。アクラーは軍が固まってくれた方が殲滅しやすくなるので嬉しい誤算であった。

敵襲に備えるために一か所に固まる事は間違ってはいない。敵が大群であれば尚更である。だが今回は間違っていた。

少人数しかいないのだ。本当であれば集まらずに散らばらなければいけなかったのである。

それが唯一生き残る道であった。


アクラーが「殲滅せよ。」大声で伝えた言葉が出ると小型艦が上空に浮上したのだ。アクラーもそれを見ると自身も反乱軍に向かい駆けだしていった。



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