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312話

「セントリー宰相、アクラーに連絡はしたか。」

「はいアレク様、連絡はしてあります。アクラー殿もやる気満々でした。」

「そうだろうね、アクラーの担当する場所は激戦予定地だからね。」

「はいそれはもう嬉しそうにしていました。」


アクラーの隣に位置する場所は謀反を起こす中心人物が領地とする場所であった。

その貴族は決起に向けて兵を秘かに集め6万もの兵を集めていた。アクラーにまわせる兵は3000となっていたが、アクラーが入る事によって完全な殲滅も可能となっていた。


「他の部隊の配置はどうだ。」

「はい、カイン様の所が揉めています。」

「またか、あそこは激戦区に行きたがるからな、またくじ引きでもしているんだろう。」


SEオリオン王国宰相であるセントリーは苦笑いをしている。カインの獣王国では自分こそが最激戦に行くと皆が争っているのである。今回の最激戦区となるのは帝都である。帝都には数百万もの人々が暮らしている。その中で決起する者のが10万以上いると予想されている。帝国の騎士や貴族等戦闘の専門家が一番多く混ざっている集団となるのである。

そして最大の障害である、グラムット帝国皇帝の玄孫が先導している。皇帝崇拝者たちはこの皇帝の血筋をあがめている為に今回の事が起こったのである。



「帝都に派遣する部隊の準備は大丈夫か。」

「はいアレク隊と空兵隊から1万のを選んでいます。後はカイン様の獣人隊が合流することになっています。」

「まぁカイン兄の所はカイン兄に任せよう。それと30か所以外でも問題は起こるだろう。問題が起きたときに動ける艦隊を準備はどうなっている。」

「それはユリ様が行っております。Tオリオン王国とタンドラ大陸から艦隊の応援が到着の予定です。」

「そうかタンドラからの艦隊は直接グラムット帝国へ向かうようにしておけよ。」

「分かっております。艦隊にも認識障害の魔道具を設置しておりますので問題ありません。」

「そう言えば認識障害の魔道具は全艦隊に設置済みになったんだな。」

「はい低空ですと音で気づかれますが高度が高ければ気づかれません。」

「そうかこれで艦隊も好きなところに行けるな。今まで目立っていたからな。」

「そうですね、機密性の高い作戦の艦隊移動は夜が基本でしたから、これなら昼も艦隊移動が出来ます。」

「運用実績を作ってからだな。」

「アレク様、帝都を抜け出したものが出た場合は如何いたしますか。」

「もちろんすべて捕らえるぞ。そのための木人と機人たちを帝都周辺に配置するんだ。」

「殺してしまってもよろしいのですか。」

「抵抗すれば殺す。投降する者は捕虜とする。後で裁判にかける事になるがな。面倒だ。」

「決起したものは皆殺しになるでしょうが、捕虜も出てくると思われます。その数は予想ですが数万人はいると思われます。」

「ああ心配ない。迷宮に一時滞在してもらう。迷宮に捕虜収容所を造ったから心配するな。食料などの物資も問題ないぞ。」

「流石に食料は用意しない事には不味くないでしょうか。」

「迷宮で用意できるから問題ない。まぁうまくはないがな。まずい食事だが死ぬよりはいいだろう。」

「ちなみにどのような食事でしょう。」

「聴きたいか、ゴブリンの肉と薬草のスープだ。一日の栄養はきちんと確保された非常食だな。もうすぐ賞味期限が切れる物が大量に余っていてな。ちょうどいい機会だから使ってしまおうと思ってな。」


セントリーは一度食べたことがあった。非常食として開発されたゴブリンの干し肉と薬草のスープ、これは万一食料危機が起きたときに食べられるものを作る目的で開発されたものである。ゴブリンは大量にどこにでもいる。通常ゴブリンは食肉にはならない、不味すぎるからだ。それを何とか食べられるように工夫したのがゴブリンの干し肉である。普通に不味い干し肉である。それだけでは栄養が偏るために薬草スープで足りない栄養を補う形を取っている。これも味より栄養優先にしたために不味いスープになっている。

「あの激不味料理ですか。」

「捕虜なのだからいいだろう。実験にもなるし丁度良いではないか。記録もつけさせる様にしておこう。」

「罰ゲームですな。」


アレクはセントリーとの話が終わり、秘かに迷宮国家アルテミスに向かっていた。

次期皇帝になる予定のグレイリットを地上に連れていくのである。皇帝の子はこのままアルテミス内である程度大きくなるまでは過ごさせる予定である。この場所が一番安全な場所であるためだ。


「グレイリット、準備は出来ているか。」

「アレク殿、準備は出来ております。」

「ちなみに聞くが戦えるのか。」

「全く戦えません。」

自信満々で答えるグレイリットにアレクは少しひいてしまった。全く戦えないのにこの自信は何なのだ。いくら守られていようと戦場では何が起きるか分からないのである。

「戦えないのに大した自身だな。」

「もう世継ぎがいますからいつ死んでも構わないのです。私は死にたいのですよ。」


そういえばこのグレイリットは親も子も親戚さえいないと言っていた。アレクは興味を持ったが聞く事ではないと思い直しそのままスルーした。

「ああ今回は死ぬことはないな。準備はもう終わっているからな。」

「そうですか残念です。」


アレクはグレイリットが死にたがっている事はグラムット帝国皇帝になっても続く様に思われた。これは少し不味い状態になると警戒するように部下に指示を出したのである。

勝手に死なれては計画が狂ってしまう恐れがあるのだ。

事情は知らないがグレイリットは皇帝になる事を承諾している。もう個人ではない、帝国の物になっているのだ。皇帝なり王などは国の所有物なのだ。勝手に死ぬ事等もうできないのである。



「では戦場に行くとするか。皇帝の玄孫に引導を渡さなければならないからな。」

「アレク殿、出来ましたら捕虜にしたときに私に話をさせていただけませんか。」



アレクんはグレイリットの変化に気が付いた。言葉使いが変化しているのだ。本人には間違いがない、グレイリットから感じる魔力が以前と同じだから間違いはない。ならば先日の言葉使いはわざとか、それか今回がワザとなのかは分からないがグレイリットに変化があった事だけは事実である。アレクはこちらにも気を遣わなければならなくなった事がやる気をそがれていくように感じられていた。

全て予定通りに動いているはずであるが、何かが違うような感覚になっている。

アレクはそれが何かが分からないがピースが一つ抜けているような感覚になっていた。


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