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304話

アレクはオリオン王国王都へ来ていた。グラムット帝国の事を話し合うためである。

今いるのはアレク、カイン、ルドルフ、ハロルドの4人である。


「アレク、グラムット帝国迄ご苦労であったな。」

「いいえ父上、マトリック宰相が動きましたので今回は何もやっていません。」

「そんな事はない。アレクがグラムット帝国へ行ったことが重要なのだからな。アハハハ。」

「そうだぞアレク、お前が動けばみんなが動くからな。」

「カイン兄、何かずいぶん含んだ言い方ですね。」

「そんなことないぞ。ただ俺の所の獣人達の不満解消でアレクに模擬戦をお願いしたいだけだな。」


アレクは嫌な顔をした。模擬戦はまぁいい。だけど相手が問題である。獣人相手ではいつ終わるのかが分からないからだ。下手したら数日間模擬戦という事も考えられるからだ。

アレクは聞かなかったことにして話を進める。

「父上、これからの対グラムット帝国ですが、一度計画を全面的に見直さなければいけないでしょう。」

「今のままでは拙いのか。グラムット帝国からは戦争は仕掛けてくることはないだろう。」

「はいグラムット帝国からはオリオン王国へ戦争は仕掛けてくることはないでしょう。ですがグラムット帝国以外からは戦争を仕掛けられる可能性はあります。」

「アレクそれこそないと思うがな。今のオリオンに対抗できる国はグラムット帝国とローエム帝国ぐらいしかないんだぞ。」

「そうです。」

「アレク、まさかローエム帝国が仕掛けてくると思っているのか。」

「いいえ思っていませんよ。」

「仕掛けてくるのはグラムット帝国です。」

「アレク矛盾してないか、お前はグラムット帝国からは仕掛けてこないと言ったな。」

「そうですグラムット帝国からは仕掛けてきませんがグラムットの者達が仕掛けて来ます。グラムット皇帝と宰相以外ですね。」

「それじゃグラムット帝国は拙いじゃないか、国が潰れるぞ。」

「最終的には滅びるしかないでしょうね。」


アレクはハロルド達に一連の動きを説明した。

そしてこれからのオリオン王国と王国連合としての対グラムット帝国対策の検討を始めたのである。


「アレク、その皇帝の玄孫か何かの血統者以外はグラムット帝国にはもういないのだな。」

「そうです、そのことは宰相にも確認を取っています。」


グラムット帝国の皇帝は高齢だ。実際いつ死んでもおかしくないのである。アレクがグラムット帝国の皇帝の治療を行って寿命は延びたがその時が140歳の高齢であったのである。この世界の平均寿命は約80歳ぐらいである。その事からしても異常な高齢者であった。


「今の皇帝は永くないか。」

「分かりませんがもしかするとあの皇帝なら300歳ぐらいまで生きるかもしれませんし、明日死ぬかもしれません。」

「そうだな人の生き死になど誰にも分からないな。」

「皇帝が高齢すぎて今の血統者が玄孫なのかは分かりませんが、グラムット帝国としてはその玄孫を殺すことはしないでしょう。今は宰相が軟禁しているようですが、いつまで続くか分かりません。」

「アレクの予想だとその者がオリオン王国に仕掛けてくると言うのだな。」

「そうです。グラムット帝国の皇帝、宰相はグラムット帝国の存続を望んでいると思われます。グラムット帝国存続を一番に考えるとしたならば、オリオン王国との戦争も視野に入れて来るでしょう。」

「まさかあの皇帝と宰相がそんな事はしないだろう。」

「はい私も皇帝と宰相はしないと思います。ですからその他の者達がオリオン王国に仕掛けてくるのです。グラムット帝国は黒幕である玄孫を殺すことは出来ないでしょう。本人もその事は分かっているのでしょう。」

「グラムット帝国のどこかに隠れていれば安全と思っているのだな。そして家への妨害等は配下の者にやらせると言う事か。」

「そうです、多分絶対に表には出てこないでしょう。少なくとも今の皇帝が生きているうちは表には出てこないでしょう。」

「何とも厄介だな。」

「グラムット帝国の一番の狂った集団は宰相の方で始末してくれています。グラムット帝国としてはそれで精一杯でしょう。何しろ主犯を殺せないのですからね。」

「オリオン王国がもしその玄孫を殺害できたとしてその後グラムット帝国はオリオンの戦争を仕掛けてくると思うか。」

「分かりません。グラムット帝国として滅びようとするかもしれませんね。」

「そんな理由での戦争などしたくはないな。」

「父上、グラムット帝国ともう一度交渉してどうでしょうか。」

「ルドルフ何を交渉するのだ。」

「はい後継者を探すのです。実際その皇帝の血統者ではグラムット帝国は持たないでしょう。いずれ滅びます。その事は皇帝も宰相も分かっているはずです。」

「ルドルフ兄、それでも宰相はその者に引き継がそうとしているんですよ。その血統者の子供に期待しているのかもしれませんね。」

「アレク、その血統者には子供はいないのか。」

「多分いませんね、いたら宰相はその子供を皇帝にしていますよ。」

「子供を作らないようにしているのかもな。」

「それはありえますね。自分が唯一の血統者としていられますからね。」


「グラムット帝国は狂信者の黒幕の事は帝国民には知らせていないのだな。」

「はい父上、その事は公にはしていません。表に出たなら帝国皇帝の指示は得られないでしょう。まぁ指示が得られなくとも皇帝にはなれるでしょうが民が離れていくでしょうね。」

「そうだな、オリオンとしてのこれからの対応だが。グラムット帝国との戦争を視野に入れて行動するように。」

「父上、良いのですか。」

「ルドルフやるときはやらないといけないだろう。お前もそのつもりでいろ。」

「はい分かりました。」

「それからカイン、アレク。お前たちは軍備を整えておいてくれ。メインの戦力はアレクとカインになるだろうからな。」

「任せてくれよ、父上俺の所はいつでも行けるから。」

「私のことろも艦隊はいつでも行けますよ。」

「準備を頼む。後は民が狙われる可能性だな。」

「それが一番可能性が高いでしょう。何しろ国土の至る所にオリオン王国連合の民が住んでいますから。」

「すべてを守る事は出来ないか。」

「警備を増やすぐらいしか対策はないでしょうね。」

「アレク、何か考えろ。」

「えっ、それは無理でしょう父上。」

「お前以外いないだろう。こんな無理難題を解決できる者はいない。」


ルドルフとカインも黙ってうなずいている。


アレクはそれはいくら何でも無理だろうと思いながら、方法を考えてみる事を了解したのである。


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