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299話

マルテナ王国王城内


「マルテナの貴族どもがやっと来たか。私はSEオリオン王国のアレクだ。王族の血をひく公爵はどいつだ前に出ろ。」

「・・・・・・・」

「来ていないのか。」

「・・・・・・」

「ハーー、おいそこの王の代理どうなのだ。」

「はい、この場には来ておりません。」

「分かった。この場に来ないと言う事は死刑とするしかあるまいな。」

「お、お待ちください、つ、連れてきます。」

「そんなことをする必要などない。」


アレクはこの場にいる貴族達に大臣たちに説明をさせた。マルテナ王国公爵がドワーフ王国とエルフ王国への嫌がらせを行ない、オリオン王国が仲裁にきたがマルテナ王国に不手際がありオリオン王国と戦争状態になってしまった。そしてマルテナ王国はアレク、カインに降伏したことを伝えたのであった。

貴族達は何とも言えない雰囲気になっていた。

マルテナ王国は自分で自分の首を絞めているようなものである。自国で仕掛けて失敗しただけである。

そこで王の死が暗殺ではないのかという疑問が貴族の中から出てきたのである。当然の事だ。だが大臣たちは王の死は本当に暗殺などではないことが説明されていた。王族の度々の死が重なっただけかもしれないが不自然であることは確かである。

だが今回のアレク達には関係の無い話になっていた。王の死は滞在中という事もあり面倒ごとに発展してしまったが悪い話でもない。大きな戦闘無しにマルテナ王国を降伏させることが出来たのだ。成り行きとはいえアレク達に損はないのである。


「王と王族の死因はお前たちで調べろ。今はこのマルテナ王国についてを語らう場である。」

「も、申し訳ございません。」

「王の死因、王族の死因の究明は大事なことだ。その権限を与える、王の代理と大臣たちがその指揮を取れ良いな。」

「ありがとうございます。」

「ではこのマルテナ王国はオリオン王国に降伏した。ドワーフ王国とエルフ王国へ嫌がらせをした者が原因である。マルテナ王国の公爵は処刑とする。ただ原因究明の為に処刑には捜査完了後とする。他の者の関与も関係があるようならその者達も重罪とする良いな。ドワーフ王国とエルフ王国への賠償として国土の5分の1をドワーフ王国へエルフ王国への割譲も5分の1とする。」


ザワザワザワザワザワ。


「よ、よろしいですか。」

「何だ申してみよ。」

「はい、私はレミットと申します、マルテナ王国で伯爵位を承っております。以後良しなに。我がマルテナ王国が国土の割譲をしなければならない程の負け戦とは思えません。国土の割譲はやり過ぎではないでしょうか。」

「ほー、中々の意見だな。だがマルテナ王国は降伏したのだよ。お前はその降伏に従わないのであればいつでもかかってこい。殺してやる。」

「・・・・・・私はマルテナ王国が降伏したことを受け入れられない。」

レミット伯爵は剣を抜いてアレクに前に歩き出す。

この場にいる者達は剣なり何かしらの武器を手にしていた。アレク達が規制しなかったのである。

アレクはレミット伯爵が間近に来るのを待っていた。他の者達はレミットの武勇を知っている、マルテナ王国でレミットの武勇を知らない者はいない。人望もあり、勇敢、マルテナ王国に忠誠を誓っているのである。王に忠誠を誓ってはいない。あくまで王国に忠誠を誓っているのがレミット伯爵である。国の事となると止まる事をしないこの人物はマルテナ王国で重要な人物であった。誰が王になろうと我関せずだが、事、国の事となると首を突っ込んでくるのである。


「アレクス王、私はマルテナ王国の降伏を受諾できない。」

「国の決定に反するという事だな。よかろうでは死ね。」

レミットがアレクに向かって剣を振り下ろすが、そこからレミットは微動だにしない。

「追いそこの衛兵こいつを片付けろ。」

アレクはレミットを片付けるように近くの衛兵に伝えるが衛兵は困惑していた。戦闘のようなものは行われていない、レミット伯爵はただ動かない、もしくは動けない状態になっていると思っていた。衛兵がレミット伯爵に近づく「レミット伯爵、この場を離れましょう。」衛兵はレミット伯爵に声を掛けてレミット伯爵の体に触れる。するとレミット伯爵の首から上が床にドスンと落ちたのである。「ひぃぃぃ」

「「「「「ヒィィィ。」」」」」

衛兵も貴族達も小さな悲鳴を上げていた。まさかレミット伯爵が死んでいるとは思わなかったのだ。

レミット元伯爵の死体を片付けた広間では恐怖に顔を引き攣らせた貴族達がいた。

もう誰も余計な事を言う者はいない。


「よいか此処に居る者達は領地安堵とするが割譲する領土の者達はマルテナ王国に残るかドワーフ王国とエルフ王国へ移るのかを選べ。残る者達は領地は少なくなるが空いた領地に振り分けてやる。」


貴族達は突然の事で悩むが今結論を出さなければいけなくなっている。後日などと結論を後回しにすれば貴族として終わってしまう事が分かっているからだ。ここには貴族の当主が呼ばれているのである。

大部分の貴族達は今の領地から離れる事を嫌った。割譲される領地持ちはドワーフ王国とエルフ王国へ移る事になった。一部の貴族はマルテナ王国に残る決断をしたが9割の貴族は領地を離れる事を嫌ったのであった。これはアレク達にはそこまで今の領地にこだわっていては発展が無いと思わせるに十分であった。

国が変わろうと自分たちの領地に執着を持ち居座る。人それぞれの考えがあるのでどれが正解なのかは分からない。


領地を捨ててマルテナ王国に残る選択をした貴族達は領民までも移動させる考えのようだ。アレクはルドルフに意見を聞いた。ルドルフは、領民の了解と承諾があればマルテナへの移動を許可した。

まだ正式に降伏条件が整っていない状態であるために条件として承諾したのである。

そこで編入される領民にもすべて確認する事となった。

アレクは面倒臭そうにしていたが、ルドルフが承諾したので丸投げすることにしたのだ。

後はルドルフの独壇場となった。細かい降伏の条件等を話し、貴族達に納得させた。アレクはルドルフの才能に感心していた。

自分がこんな相手の事を考えながら対応などまずしない。おおよその事を決めて、あとは丸投げである。

ルドルフがいるおかげでマルテナ王国との降伏条件はアレクが行うより緩めになっていた。


そんなルドルフ主導で降伏条件が話し合われている時にマルテナ王国の公爵がやって来たのであった。


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